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ムック本紹介『懐かしの名作恐怖映画大解剖』 圧倒的な不気味さと緊迫感! サイコホラーの名作『シャイニング』

こんにちは、春うららかな書房の渡辺です。

今回も大好きなホラー映画のことをお話します。

自分の好きな映画ランキングを作るとしたら、トップ10には入るであろう本作『シャイニング』。

もともと、映画を毎日浴びるように見ていた20歳前後の頃、この作品の監督でもあるスタンリー・キューブリックの“『2001年宇宙の旅』がすごい!”という話を映画雑誌か誰かのエッセイで読んで、“何がすごいんだ?”と興味を持ったことが『シャイニング』との出会いのはじまり。

『2001年宇宙の旅』は当時の僕には難解すぎてよくわからなかったけれど、それでも何か“この映画は普通じゃない”というすごみは伝わりました。
そして、その不確かだったすごみは『時計じかけのオレンジ』を観ることによって確信に変わり、『シャイニング』を観たことで、“この監督は天才だ!”という認識を自分自身に落とし込む決定打になったのでした。

それにしてもこの『シャイニング』を最初に観た衝撃は計り知れません。
劇中に漂うのは、圧倒的な不気味さとすさまじいまでの緊迫感。
観るものをどす黒い穴の底に落とすかのような、得体のしれない恐怖に陥れてしまうのです。

シーン1つ1つが緊迫感と狂気を演出

小説家志望であり、アルコール依存症を患っているジャックは、静かな場所での小説執筆のため、冬の間、豪雪により閉鎖されるホテルの管理人の求人に応募します。
そして、そのホテルの支配人から「このホテルは以前の管理人が、孤独に心を蝕まれたあげく家族を斧で惨殺し自殺したという、いわく付きの物件だ」といった話を聞かされます。
しかし、そんな話も意に介さず、妻のウェンディ、息子のダニーを引き連れて管理人の仕事を引き受けることにするのですが・・・。

原作は『キャリー』や『ミザリー』『it』などの名作ホラー映画の原作者としてもよく知られている、スティーブン・キング。
“スティーブンキング×キューブリック”ということで、ホラー好き&キューブリック好きの当時の僕は大変ワクワクしていたものです。

この映画はシーン1つ1つが、張り詰めた緊迫感と狂気を演出しています。
その中でも個人的に印象的なのが、ジャックの息子ダニーがホテルの中を三輪車で走り回るシーン。

子どもが三輪車で走り回るというなんでもないシーンのはずなのですが、静かで不穏な音楽と三輪車がホテルのカーペットを滑り走る音。
曲がり角の先に、あるいは左右にある部屋の扉から、“何か化け物が出てくるかもしれない”と思わせる情景。
これらにより、なんでもないシーンがとんでもなく恐ろしく見えてくる訳ですから、あらためてキューブリックはすごい!と思わされるのです。

圧巻はジャック・ニコルソンの怪演

後半、夫のジャックは豪雪の中、家族以外誰もいない閉塞した空間で精神異常を起こし、幻覚を見たり、奇行を繰り返したり、そして最終的には家族に襲いかかってくるようになっていきます。

この、段々とおかしくなるジャック・ニコルソンの演技が本当に不気味で怖いのです。

『シャイニング』での怪演を観て、すっかりジャック・ニコルソンのファンになった僕は、彼の出演作を立て続けに観ていくことにするのですが、しばらくは『シャイニング』の役柄のイメージが抜けず、苦労しました(特に直後に精神異常者を装った役を演じた『カッコーの巣の上で』を観るのは間違いだったと思いました・・) 。

前回ご紹介した『CUBE』の時にも思いましたが、『懐かしの名作恐怖映画大解剖』はなかなか骨太のホラー映画紹介本だと思います。

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本当にはずれのない名作をしっかり押さえているので、ホラーを観たいけど何から観ればいいだろう・・と思っている方にはうってつけなのではないでしょうか。
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