電子書籍読み放題サービス「ビューン読み放題タブレット」で配信中の作品から、『一杯の魂-ラーメン人物伝-』のコミックレビューをお送りします。
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中国から渡来して100年余り、日本で独自の進化を遂げてきた国民食といえば「ラーメン」。かくいう私も大好きで、初めて訪れる土地では必ず真っ先にラーメン屋さんを探すほどです。
今回は、そんなラーメン界に名を馳せる人気店の数々を作り上げた「人物」にフォーカスした実録作品『一杯の魂-ラーメン人物伝-』をご紹介したいと思います。
本作は1~2話の短編で構成され、エピソードごとに実在するラーメン店の創業者が主人公として登場。若い頃から始まってラーメン職人としての修行時代、独立オープンして人気店になるまでの苦労の日々、現在(作品執筆時点で)のお店の様子などが描かれます。
特徴はなんといっても原作者を務めた「ラーメン王」こと武内伸さんの知識量と人脈、ラーメンへの愛情がダイレクトに表現されていること。そして多くの人が知っている大手ブランド――大勝軒や井出商店、博多一風堂、天下一品、さらにはチキンラーメンを発明した日清食品まで幅広く紹介されているところでしょう。
伝説的な名店を作り育てた創業者たちには、さまざまな経歴があります。元会社員や元コックもいれば夫に先立たれた未亡人もいて、自殺未遂者、ケンカに明け暮れた元チンピラなんて変わり種まで。ある人物は貧しさから抜け出すため、ある人物は生きる意味を見つけるため、ある人物はラーメンの奥深さに魅せられて、自分の店を開きます。
しかし多くの場合、最初は味が未完成なせいでろくに客が来ず、また敗戦後間もない時代は屋台を出しているとヤクザに殴られたりもして、順風満帆とはいきません。そんな苦境から「本当の自分だけの味」を見つけ出して人気を得ていくドラマは感動的で、特にその店のラーメンの味を知っている読者には、こんな苦労があったのか!と心に響くこと間違いなしです。
私個人は血管にこってりスープが流れてるんじゃないかというほど天一(天下一品)が大好物なので、創業者である木村勉さんのエピソードが最高にヒットしましたね。どうして店舗によってあんなにサイドメニューがバラバラなんだろうと不思議だったのですが、木村さんが何かにつけ「お客が欲しいと言うなら前向きに検討しなさい」とオッケーを出す性格だから自然にメニューの多様性が生まれたんですね。長年の疑問が解けてすっきりしました。
さすが国民食だけあって『ラーメン発見伝』を筆頭に、ラーメンを扱った漫画は多いですが、ほとんどは美味しさを中心にした作品でした。本作のように味だけでなく「人物」メインにしたのはかなりユニークな試みです。
楽しく読めて勉強になって少しホロリと泣かされて、ますますラーメンが好きになる。『一杯の魂-ラーメン人物伝-』はそんな漫画ですので、ぜひ手にとってみてほしいと思います。
・原作:武内伸 作画:本庄敬/大泉孝之介
・出 版 社 :グループ・ゼロ(連載時は集英社)
・刊行状況:全3巻
『一杯の魂-ラーメン人物伝-』も配信中!
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