本当の恋を知らないままで15年間過ごしてきた主人公・ひなたは、いつか運命の相手と出会うことを信じています。思春期の女の子にはありがちですが、そのひなたにもとうとう運命の出会いが？――というのが本作のオープニング。

電車で痴漢に遭ったところを若い男性に助けられ、ひと目で恋に落ちるのですが、まさに鉄板といえる展開ですね。

その助けてくれた青年・咲良奈津（さくら なつ）は22歳の美術教師で、ひなたの学校に担任としてやってきました。
ただの年の差だけでなく、「教師と生徒」という、恋愛となるには大きなハードルがいきなり立ちはだかります。

無邪気なひなたは「最高の男の子を見つけた！」と有頂天になりますが、やはり15歳と22歳では住む世界が違うようで、絵を描く彼のプライベートでヌードモデルをやってくれている女性がいるだけでも「嫌だ」と思ってしまいます。

ひなたの恋は子どもの恋。一方、奈津は余裕のある大人。彼とモデルの女性とは恋愛関係にないのですが、女性は明らかに奈津を好ましく思っていて、ひなたを邪険に扱うなど暗雲が立ち込めるストーリーの流れにはハラハラすること間違いなし。

結果的に、あるハプニングがきっかけで奈津からひなたへ「愛してる」と告げるのですが、恋仲になっただけではハッピーエンドといかないところが本作の深いところ。

奈津が絵の勉強のため留学することになって、年単位で離れ離れになってしまう2人。
「制服を脱いだら迎えに行く」と言ってくれた奈津を信じ、待っていてもらうのではなく、追いつける女性になりたいと願い、彼のいない間にいろいろと自分を磨いていくひなた。

教師と生徒の恋愛を描いた作品はたくさんありますが、この『制服のイヴ』は離れていても自分を磨いて待っているというのがポイント。

学生の間に本物の恋愛を見つけることは難しいでしょうけど、お互いに高め合っていける関係は非常に良いですね。コドモだったひなたが大人っぽく変化していくのも見もので、思わず感情移入しちゃいます。

そして無事ひなたが卒業し、制服を脱ぐとき、「恋」ではなく「愛」が始まるのだと思います。
学生じゃなくなれば、さほど気になるような年の差でもないですしね。
奈津のイケメンぶりが本当にすごくかっこいいので、大人の男性に憧れているティーンにもぜひ読んでほしいです！