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小学生の楓は、厳しい家庭に育った忍者(!)の末裔。友だちの誕生日会にも行けず「お稽古ごと」と称する忍術修行のために、学校帰りにみんなと寄り道もできません。
そのせいでクラスでは孤立しがちです。けれど楓のお母さんは、学校よりも立派なくのいちになることを最優先するのです。
お母さんは、楓を逆さ吊りにして鞭で打ったり、深い穴の中に落としてしまったりと、母親とは思えない厳しさ。
そう、実は楓はお母さんの実の娘ではなく、よそから引き取って育てられた子どもだったのです。
「お館様」という会ったこともない偉い人のために修行をし、いずれ自分の相棒となる大きなガマガエルを育てる楓。
それでも数々の修羅場をくぐって、一人前のくのいちを目指します。
ガマガエルのタマは、見た目はグロテスクですが、楓の唯一の友だちと言える存在。たとえクラスで浮いていても、家での修行がつらくても、タマはいつも心に寄り添ってくれます。
全体的に設定はハードですが陰惨ではなく、コメディ要素があったり母からの信頼が感じられるシーンもあったり、なかなか読みごたえがある作品ですね。
表題作の『少女忍法帖』は6話まで続き、あとは7作のプチホラー短編が収録されています。
どのエピソードも家庭内で苦労する女の子が描かれています。それが時々結構グロかったりして、主人公は子どもだけれど、対象読者はもっと年齢を重ねた人かなと思わせられます。
中でも『メッキ星人の罪』と『うちのママは漫画家です』はリアルに怖いです。壊れた家族を描いていて、母親が特に変わり者なのは一冊を通して共通しています。
「本格ホラー」ではなく「プチホラー」なので、気軽に読んでしまいますが、読後に恐怖心がおさまらないこともしばしば。
また、女の子特有の群れ作りだったり、そこからはみ出た子の傷付いた心が描かれたりと、なかなかにリアルな子どもの性質を見せつけられます。小~中学生くらいの女の子は結構残酷ですし、共通の輪の中に入れない子は無視されたりいじめられたりします。これは漫画の中でだけではありませんよね。
読後感はそこまで悪くないので安心できますが、人によっては複雑な気持ちを抱くかもしれません。まだ小さい子どもをお持ちのお母さんや、学生時代のことは封印したい人など、うっかりハマると夢に見そうな場面もちらほら。それでも少女たちは前を向いて、強く生きています……!
・作者:明智抄
・出版社:ぶんか社
・刊行状況:全1巻
『少女忍法帖』も配信中!
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