美容室を開業するときに初期費用を抑えられる居抜き物件ですが、メリットだけでなくデメリットをよく理解していないと失敗する恐れもあります。居抜き物件で開業するにあたり知っておきたい4つの項目を解説していきます。
居抜き物件とは

居抜き物件とは、廃業した美容室の内装や設備をそのまま受け継ぐことができる物件のことを言います。美容室の場合は営業するあたり、シャンプー台や椅子、照明など、必要な設備がほぼ同じなので揃える必要がなく初期費用があまりかからないのが特徴です。
ドライヤーやローラーボール、ヘアアイロンなども残っている場合があります。
逆に内装のみだけ残っている場合でも、居抜き物件として出ていることがありますので、望んでいるものを明確にし、調べるときには注意しましょう。
内装を解体して原状回復しているコンクリートの打ちっぱなしの状態の物件を「スケルトン」状態といいます。
内装や設備を一から揃えなければいけませんが、自分好みのお店を作ることができます。
居抜き物件のメリットは、通常開業資金として、10坪程度、1~2席の小規模店舗で600万円程度、20坪5席程度のお店では1,100万円程度とされている内装や設備にかける費用が抑えられるので、開業資金が少なくて済むことや少しの内装工事だけで早くオープンできます。
サロンが早く開業できるということはその分早く収入を得られ、設備費が浮く分、費用を宣伝広告費に回せることがメリットです。
開業後も軌道に乗るまで6カ月くらいはかかるので、初期費用が抑えられる居抜き物件を検討する方も多いのです。

居抜き物件の注意点4つの項目

魅力的に思える居抜き物件ですが、注意しなければいけないことがあります。居抜き物件を検討している場合は、よく物件のことを理解して調べるようにしましょう。
外装や内装が決まっている
美容室を開業するにあたり希望の外装や内装、設備があったとしても、居抜き物件の場合は既存のものを使うことになります。もしもイメージしていた内装や設備に変えたいと思っても、解体や撤去費を負担しなくてはならず余計に費用がかかってしまう恐れもあるのです。
自分の理想と近い物件があればいいのですが、なかなか見つからない場合は妥協点を見つけるか、スケルトン物件など1から自分で決められる物件を選んだほうが最善でしょう。
外装も美容室のイメージを決める大切な要素です。美容室の外装があまりにもイメージと違う場合は後悔しないためにも開店前に変えることをおすすめします。
中古の備品や設備
前に使用されていた備品や設備を使用するため、どれだけ劣化しているかによって早めに買い替えをしなければいけない場合があり、どれくらいの年数使っているかを把握しておくことも大切です。
使えそうだと思っていた設備が、故障や壊れて使いものにならなかった場合、修理や解体などの費用が発生し、開業資金が圧迫してしまう可能性もありますので、十分に注意しましょう。
備品も壊れていなくても汚れていたりすることもあり、新規オープンなのに使用感がお客様に伝わるのが気になる、といった場合はそこだけ買い替えたりすることも検討しましょう。
また水道やガス、電気などのインフラ設備も問題があるとかなりの費用を負担することになります。設備や備品の確認は時間をかけてしっかりと把握することが非常に重要です。
前の美容室の廃業理由
前の美容室がなぜ廃業したのか理由を必ず確認しましょう。
事業拡大による撤去
前の美容室が成功して客やスタッフが増え、事業拡大のため広い店舗に移動したというケースが考えられます。
営業不振による廃業
経営することが困難になり廃業してしまったケースです。全国で増え続ける美容室は競争が激化していて、廃業する店舗も毎年増えています。そのため規模の縮小化や経営不振のために撤退してしまった店舗が居抜き物件として存在するのです。
前者の場合は問題ありませんが、経営不振などの理由による廃業の場合は気をつけなければいけません。
前の美容室の評判が「技術が下手」「接客サービスが悪い」などマイナスの場合、イメージを引き次いでしまう恐れがあります。そのイメージを払拭するために、より細かなサービスや宣伝に力を入れる必要があり、そこで費用や労力がかかってしまいます。
同業者がその店舗で上手くいっていないということは、二の舞を踏む可能性があることを考えなければいけません。廃業理由はできる限りインターネットなどを使って調査し、把握しておいたほうが良いです。
立地を考える
いくら内装や設備が充実していて自分好みだったとしても、立地が集客可能かどうか見極めなければいけません。駅前だけどわかりづらい場所にある、駅から遠いのに駐車場がないなど、不便さがあると集客が難しいため、お客様の利用しやすい環境にあるかが非常に重要です。
また周囲に美容室がある場合は、自分の店舗と比較される対象となるので、よく考慮したうえで価格やメニューなどを決めなければいけません。そこのエリアが自分の方針と合っているのか、よく検討してから決めるようにしましょう。
まったく未知のエリアより、土地勘がある地域のほうがどのように経営方針を打ち出せばいいか決めやすいかもしれません。

居抜き物件を探そう
居抜き物件を探すにはどのような方法があるのでしょうか。基本的には住む家を探すのと同じ方法を使います。
美容師向けのサイトで探す
美容師におすすめの物件をまとめたサイトがあり、そこを利用することで居抜き物件を探すことができます。
エリア検索や駅からの距離、物件の細かな情報や周辺情報までサイトひとつで確認ができ、気になった物件があったらすぐに問い合わせることが可能です。
インターネットを使えば気軽に検索することができるため出店予定者・退店予定者・不動産会社の三者に便利なサイトなのです。
おすすめの美容室の居抜き物件検索サイトはこちら
- サロン不動産ネット
- 居抜き本舗
- 居抜き物件情報サイトINUKI
- SALON PRODUCE
不動産屋
地域の不動産屋でも紹介してもらえます。地域密着型の不動産屋であれば店舗の紹介だけでなく、そこの地域性まで教えてもらえる可能性があります。不動産屋も得意分野があるので、テナント・商業用の分野に強い不動産仲介会社を選びましょう。
まとめ
美容室を開業するときに費用を抑えられる居抜き物件にするか悩みどころですが、費用のことだけでなくデメリット、リスクなどをよく把握してから決めるようにしましょう。自分の理想に近い居抜き物件を見つけて愛着を持つことで、居心地のよい素敵な美容室になるのではないでしょうか。



