BGMはお店の雰囲気や居心地の良さを演出してくれるものですが、音楽には著作権があることを忘れてはいけません。
無断で使用すると著作権侵害に該当し、賠償金や刑罰の対象となるので注意が必要です。
店舗でBGMを使用するにはどのようにすればいいのでしょうか。また、著作権侵害に問われた場合にどんなペナルティが発生するのか解説したいと思います。
音楽・BGMの著作権制度について
著作権制度を正しく理解することはBGMを使用するにあたり必要不可欠です。
著作権制度の仕組みや、違反するとどのようなことが起こるのか詳しく解説していきます。
音楽の著作権とは
著作権とは著作物を作った著作者に与えられる権利のことを言います。
著作権がないと著作者は自分が苦労して作り出した作品を無断で使われてしまうため、収入が得られず生活することができなくなってしまい、新しい作品を発表することができなくなります。結果としてその分野の発展が困難になってしまいます。著作権は著作者の権利を守るうえでとても大切な制度なのです。
著作権を侵害するとどんなペナルティがある?
BGMを無断で使用して著作権を侵害するとどうなるのでしょうか。
刑事罰の対象となり、10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金になります。
民事の場合では損害賠償を請求されることもあります。
著作権の侵害は、多くが権利者が告訴した場合に起きる「親告罪」ですが、バレなければいいというわけではありません。無許可でBGMを流していた飲食店や理髪店が著作権管理事業者であるJASRACから提訴を受け、損害賠償を命じられたケースもあり、慎重な対応が必要です。
店舗の信用のためにも、正しい手順を踏んで使用しましょう。
著作権には保護期間がある
著作権には保護期間があり、著作者が死亡した年の翌年1月1日から70年が経過すると権利が消滅します。
著作権の保護期間が過ぎた作品はパブリックドメインとして原則として自由に使用できる著作物へと切り替わるのです。
どこから著作権侵害になるの? 著作権侵害に該当するケースを紹介
自分で購入したCDの音楽を流す
自分で購入したCDを店舗で流すことも著作権侵害に該当します。
自分で購入したCDなら使用しても問題ないのでは?と思いがちですが、著作権がある音源は私的なこと以外での使用(=商用利用)はしてはいけません。店舗でのBGMとして流す場合は商用利用に該当します。
音楽配信サイトでダウンロードした音楽を流す
CD同様、著作権侵害に該当します。ダウンロード音源をメモリーカードやCD-ROMなどに複製して流す行為も複製権の侵害に当たるので避けましょう。
YouTubeの音源を使用する
同じく著作権の関係でYouTubeの音源を店舗では流せません。中には違法でアップロードされた楽曲があったり、演奏者のいる動画を勝手に使うと演奏者や録音した会社の権利である「著作隣接権」という権利に触れる恐れがあるため絶対に無断で使用してはいけません。
どうすれば美容室や店舗でBGMが使えるようになるか
複雑なように見える著作権制度ですが、きちんとした手順でBGM配信サービスを利用することにより、安心してBGMを流すことができます。
どうすれば著作権に触れずにBGMを使用することができるのでしょうか。
JASRACなどの著作権管理団体に申し込む
著作権がある作品でも著作権管理団体に使用料を支払うことで使用可能になります。
著作権管理団体として代表的な団体がJASRACです。
JASRACの公式サイトにアクセス・申請し、使用料を払うことでJASRACが管理する楽曲の音源が使用可能となります。
著作権が消滅している音源を使う
お金をかけず安心して使用したいなら著作権フリーの音源をおすすめします。
著作者が死亡した年の翌年1月1日から70年が経過すると権利が消滅するため、クラシックや著作者の断定が難しい民謡音楽などになってしまうのが欠点ですが、著作権の使用料を支払う必要はありません。
ただし、音源によっては著作隣接権(演奏したアーティストや録音したレコード会社の権利)が発生する場合があるので注意が必要です。著作権フリーの音源ライブラリを使用するのが望ましいでしょう。
商用利用可能なフリーBGMを使う
フリーBGMを使うと著作権や使用料を気にせずに音楽を流すことができます。
インターネットで検索すると出てくるので、使い方によってはお店にマッチした音楽を見つけ出すことができます。
デメリットとして、音楽をひとつひとつ自分で確認しながら、インストールしてプレイリストを作成する必要があるためそのような作業が好きでないと、苦痛かもしれません。また、作曲者ごとに利用方法に細かいルールを設けている場合もあるので、その点も注意が必要です。
商用利用可能なBGM配信サービスを使う
費用が多少かかりますが商用利用可能なBGM配信サービスを利用するといろいろなジャンルの音楽を著作権を気にせず使用することが出来ます。通常のBGM配信サービス(サブスク)では多くの場合商用利用を禁止しています。商用利用可能なBGM配信サービスを利用することが肝心です。
たとえばBGM配信サービスのFaRao PROでは月額1,980円から利用でき、専用タブレットをスピーカーにつなげばいいだけなので、手軽にBGMを取り入れたいと思っている方にとても便利なサービスです。
美容室におすすめのBGMとは?
美容室の雰囲気や客層などを考慮してBGMを選んでみましょう。そこでおすすめなのは、邦楽などの日本語を含まない音楽を選ぶことです。歌詞などからいろいろなイメージが連想されてしまい、せっかくの雰囲気作りが台無しになってしまう可能性があります。雰囲気の良い洋楽やインストゥルメンタルを選んだほうが無難でしょう。何よりも立地や客層、お店の内装などにあった選曲をしましょう。
今流行りの曲
季節ごとにヘアスタイルを変えたい、色味を変えたいなど、お客様は変化を求めて来店される方が多いです。そのため、流行の曲をさりげなくかけると良いでしょう。流行の音楽は会話のキッカケになることもありますし、特定のジャンルに絞れば店舗の雰囲気を統一することもできます。
ハウスミュージック
若者が多く利用する地域にピッタリの音楽です。
アップテンポでノリがいいのでお店の内装もスタイリッシュな感じだと音楽とマッチして良い雰囲気を出してくれます。
クラシック
和やかな雰囲気と高級感あふれる時間を演出してくれるクラシックは性別や年齢問わず使用できるので、抜群の安定感です。
さらにモーツァルトの楽曲にはヒーリング効果があるのは有名ですよね。
長時間滞在することも多い美容室には癒し効果があるクラシックはピッタリのBGMです。
ロック
カジュアルな雰囲気を出したいなら70~80年代頃のロックはいかがでしょうか?
洋楽を使用すれば曲からイメージを連想することもなく、アメリカンテイストなお店を作ることができます。
オルゴール
キレイな音色で心地良い空間を作り上げてくれます。
有名な邦楽をオルゴールにしたものも多くあり、聞き慣れた曲がオルゴール音で流れてくると気分も楽しくなりますね。
クリスマスなど冬向きのBGMとして期間限定で流すのもいいかもしれません。
まとめ
BGMは、日常のストレス解放効果やお店の雰囲気作りにもなり、洗練された空間を演出することで、非日常的でありながら心安らぐ居心地の良さを感じさせることもできます。
BGMを流すときは著作権侵害に当たらないように気をつけましょう。
最近では有線を使用する店舗も減ってきて無料のBGMを駆使したり、BGMサービスの利用が増えてきています。
店舗の雰囲気作りやお客様のためだけでなく、毎日働くスタッフの気分転換にもつながる大切な要素ですので、BGMを上手に利用して居心地の良いお店作りに活用してください。