美容室のネット予約システムは、顧客の予約管理が簡単に行える支援システムです。外部サービスを利用した予約だけでなく、美容室のホームページから直接予約をとれるシステムも開発されているため、多くの美容室で導入されています。これから導入を検討している経営者にとっては、導入の難易度やコスト面など疑問や不安もあるでしょう。そこでこの記事では、経営者が気になるポイントをわかりやすく解説します。
美容室の予約システムとは

美容室予約システムとは、インターネットを利用して顧客からの予約を受けるシステムです。ここでは、具体的にどのようなシステムかを紹介します。
顧客管理が簡単にできるインターネット予約システム

美容室予約システムでは、顧客自身がインターネットを介して、空いている日時の確認・予約が可能です。そのため、美容室は顧客の予約管理の大幅な効率化が図れます。受付担当の従業員を増やしたり残業代をかける必要がなくなる分、人件費を節約できます。
画面上で予約が完結するため、電話口で予約確認のために顧客を待たせる問題もクリアできます。加えて、オーナーは外出先でも店の稼働状況や予約状況をリアルタイムに確認できるため、従業員管理の効率化も図れます。
【予約システムとは】
- 顧客がインターネットで簡単に予約できる
- 美容室も管理しやすい
- 予約管理、従業員管理が効率的に行える
予約システムにはポータル型とオウンド型がある
美容室予約システムには、ポータル型とオウンド型があります。それぞれの特徴などを紹介するので、店舗に合った運用方法を考えましょう。
【ポータル型の特徴】
- 新規顧客を獲得しやすい
- 店の宣伝効果を期待できるが、他店と差別化しにくく競争率も高い
- 広告料のほかにポイント利用料もかかる
- 顧客情報はポータルサイトのものなのでリピーター獲得につながりにくい
ポータル型は、美容室予約のポータルサイトが運営する予約システムです。ポータル型の多くが新規顧客の集客に強く、オープンしたての知名度が低い美容室には有用なシステムと言えます。
その反面、月額利用料や予約1件に対してマージンが発生するほか、特定の店舗だけにリピーターがつきにくいシステムです。
【オウンド型の特徴】
- 顧客情報は店独自の情報源となり宣伝や顧客分析に活用できる
- リピーターを獲得しやすい
- 価格の変動が少なく客単価が安定する
- 新規顧客を獲得しにくい
オウンド型は、美容室独自の予約システムです。導入費用はかかるケースもありますが、無料~月定額料金で利用可能なサービスです。
新規顧客の集客力はポータル型より劣るものの、リピーターには強いため、常連層の多い大手美容室向けのシステムといえます。
ポータル型・オウンド型以外にLINE公式アカウントを活用して予約を取る手段も
ポータル型・オウンド型のどちらにも当てはまらないパターンとしてLINE公式アカウントを活用して予約を取る方法もあります。その場合は顧客にLINE公式アカウントの友達登録をしてもらい、メッセージ(チャット)で予約を受け付けます。また、メッセージのほかにリッチメニューを設定し、予約を入力してもらう方法もあります。個人経営の美容室であれば、お客様と個別に関係性が作れるうえ、定期的にお知らせの配信ができるので、こちらも検討してみましょう。
美容室の利用に特化した予約システムはある?
一概に予約システムといっても、様々な事業者から様々な種類のサービスが発表されており、機能もそれぞれ異なります。

なかには、美容業界に特化した予約システムもあり、例えば株式会社リザービアが提供する予約システム『リザービア』は、美容業界に特化した予約システムです。
リザービアには、ホットペッパービューティー・ミニモ・楽天ビューティーといったクーポンサイト経由の予約を一元管理する機能や、電子カルテ・POSレジとの連携といったサロン業務に役立つ機能が含まれており、美容室の導入に最適化されています。
美容室の予約システムを導入するメリット

ここでは、美容室の予約システムを導入するメリットを紹介します。
予約システムは営業時間外でも顧客を確保できる

予約システムは、営業時間に関係なく24時間集客できます。そのため、美容室にいてもいなくても潜在的な顧客まで確保できる環境が整います。
たとえば、電話でのみ予約を受け付けている美容室なら、顧客は営業時間内に電話しなければなりません。仮に顧客が営業時間外に予約をしたくても美容室側は対応できないため、集客のチャンスを逃すことになります。
一方で予約システムを導入すれば、美容室側は集客ミスを解決できるうえ、顧客は好きなタイミングでの予約が可能です。
【メリット】
- 24時間予約を受け付けできる
- 従業員が業務に集中できる
美容室と顧客双方の時間のロスが減る

美容室と顧客双方の時間的ロスが減る点もメリットです。
例えば電話予約の場合、顧客の希望日時を聞いてから空きの確認をする時間が必要です。その間、電話先の顧客は通話状態で待つことになり、美容室は施術中の顧客を待たせることになるでしょう。
美容室が予約状況を確認して折り返す方法は親切ですが、待たされる側はいつ鳴るかわからない電話を待つストレスも感じるものです。
予約システムなら、顧客が空きの日時を確認したうえで予約できるためロスがありません。美容室側も、営業時間の電話対応が減り業務の効率化を図れます。
【メリット】
- 予約する顧客を待たせない
- 営業時間の電話対応を減らせる
予約のドタキャン・ダブルブッキングを防げる

予約システムはドタキャンやダブルブッキングを防ぎやすくなります。
ドタキャンやダブルブッキングは悪意で行われるものより、失念によるケースが多い傾向にあります。予約システムでは、予約した顧客に通知やメールを送り、予約のリマインドに役立てることができます。
予約前日に予約状況を通知するタイミングで「予約キャンセル機能」も設置しているので、ドタキャンも防ぎやすくなります。
また「受付内容の変更機能」を利用することで、キャンセル行為による集客の喪失を防ぐだけでなく、顧客の定着にもつながります。もちろん、独自管理なら同じ顧客が予約を重複させるダブルブッキングも防げます。
【メリット】
- 通知機能で顧客のウッカリを抑制
- 予約重複も抑制
店舗の宣伝・新規客の確保、ファンの囲い込みが可能に

ポータル型は、大手美容室ポータルサイトが運営しているので、お店の宣伝効果や新規顧客の確保に効果的です。
一方オウンド型は、ファン客の囲い込みに特化したシステムです。顧客データの蓄積や分析が簡単にできるので、リピーターの獲得や業績アップが期待できます。
顧客データを蓄積できるオウンド型は、予約機能のほかにも情報発信としてもメリットのあるシステムです。
【オウンド型の主な機能】
- リピーター限定クーポン配信
- 来店履歴やポイントの確認
- スマート決済機能
- 来店履歴を分析しプッシュ通知で来店を促す

美容室の予約システムの問題点

メリットが多くある予約システムですが、ここでは注意すべきポイントをオウンド型とポータル型に分けて紹介します。
【オウンド型】集客に工夫が必要
前述したように、オウンド型の特徴は、固定客やリピーターの囲い込みに重点を置いたシステムです。そのため、大手が運営するポータル型のシステムのように、サイト公開直後の集客は期待できません。
オウンド型の集客には工夫が必要です。SNSなど他の拡散型ツールと組み合わせるなどして運用する必要があります。
【ポータル型】他店と比較されやすい

ポータル型の顧客はあくまで「ポータルサイトの会員」であり、「クーポンで安く施術が受けられる」「ポイントが多くもらえて得する」といった、ポータルサイト独自の付加価値から美容室を選ぶ利用者が多い点に注意が必要です。
そのうえ、同程度の付加価値のある美容室が同じページ内に複数表示されるため、各美容室がアピールしたいポイントが利用客にうまく伝わらない可能性もあります。
大手サイトならではの集客力を利用できる反面、ポータル型で得た新規顧客をリピーターとして定着させるには、ターゲット層を絞るなど独自の工夫が必要です。
【ポータル型】掲載料などコストがかかる

ポータル型は、オウンド型よりもコストがかかるケースがあります。
エリアによりますが、おおむね月額10万円以上の掲載料と予約1件につきマージンが必要です。そのうえ、リピーター率は3割以下とも言われています。
これらのデメリットを踏まえたうえで、集客が見込めるかの検討が必要です。
【ポータル型】自分の店独自のSEO対策はできない
自分のサイトを、Googleなど検索エンジンで上位に表示させる対策を「SEO対策」と言います。検索結果の上位に表示できれば、知名度や集客率を高めることが可能です。
美容室予約ポータルサイトは、サイト全体のSEO対策は万全ですが、ポータル内の個々の店舗に対するSEO対策は行っていません。検索からの流入でアクセスを増やす目的なら、ポータル型は向かないシステムです。

美容室の予約システムにかかる導入費はいくら?

ここでは、美容室の予約システムにかかる導入費用について紹介します。
美容室の予約システムは無料から導入OK
美容室予約システムは、無料から導入可能です。しかし、すべてのサービスが無料というわけではありません。予約以外のシステムやサポートメニューは幅広く、価格帯も無料〜数十万円までピンキリです。
【その他システム】
- ホームページ作成
- 問い合わせフォーム
- メール配信システム
- SNS連携システム
- 顧客データ蓄積システム
たとえば、上記のシステムなどによる導入費用や月額料金は異なります。
顧客データ量などで金額が変わるサービスもあるので、店舗に合ったサービスの導入を検討する必要があります。
また、サポートの有無によっても無料と有料の違いがあるので注意しましょう。無料を優先しサポート未対応にしてしまうと、万が一システムが壊れても復旧できないなどのリスクを背負うことになりかねません。
美容室の予約システムはまるっと一元管理できるクラウドシステムやアプリがおすすめ

美容師の予約システムは、以下のポイントを一括管理できるシステムがおすすめです。まとめて管理できると、さらに業務が効率化できます。
【一括管理】
- 予約管理
- 顧客への予約情報自動配信
- 会計処理管理
- 売上管理
- 顧客情報のカルテ管理
最近、美容室で多く使われている予約・売上・顧客情報の一元管理システム。多くはクラウドシステムなので複数端末からログインできるのも魅力のひとつです。クラウドシステムであれば店舗PCと業務用タブレット・スマホで同じ情報を共有できるので、スタッフ間の情報共有に有用です。
美容室予約システムは注意点を考慮して検討しましょう

美容室予約システムは顧客の予約管理を容易にするだけではなく、営業時間中のロスなども防ぎ、仕事の効率化を図れるシステムです。また、顧客にとっても自分のタイミングで予約できたり、予約状況を確認できたりと有用なサービスと言えます。
美容室に予約システムを導入した場合、どのような方針で経営していきたいかをイメージしながら、本当に合うシステムを検討しましょう。
