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美容室の開業資金の相場は? 自己資金額や借入金、資金の内訳も解説

美容室開業資金の基礎知識

これまで磨き上げた美容師としてのスキルや人脈を生かして、「独立して自分の美容室を開業したい」と考えている人は少なくないでしょう。しかし、いざ開業するとなれば「開業資金が何にどれだけ必要なのか」「融資を受けるための条件とは?」など、さまざまな疑問もあるはずです。この記事では、美容室の開業に必要なポイントを詳しく解説。未来のオーナー候補は、開業の準備に役立つ情報を活用してください。

夢は美容室の開業! 開業資金の相場は? 資金調達や融資の流れについて解説

ここでは開業資金の内訳や調達の流れを解説します。

美容室開業に必要な資金はざっと1,000万円台!

2015年に日本政策金融公庫が公表した「創業者の実態」によると、美容室を開業するにあたり、必要となる資金は1,000万円台と考えられています。不動産を購入した企業を除く、「美容室開設費用の内訳」は以下の通りです。

  • 内外装工事50.6%(476万円)
  • 機械、什器、備品等21.0%(197万円)
  • 運転資金16.0%(150万円)
  • テナント賃借費用11.1%(104万円)
  • 営業保証金・FC加盟金1.4%(13万円)
  • 合計 940万円

ただし、開業する地域や立地、店舗の規模や設備などによっても資金額は大きく変わります。また、実際に開業した美容室が公表している費用内訳によると、電子レンジなどの家電製品、パソコンやiPadなどのデバイス、音響機器なども事前に用意しています。

「顧客が快適に過ごせる空間」を作るためには、施術に直接関係のないジャンルの設備も整えておく必要があると言えます。

物件の検討、資金調達の準備は約1年前から

2015年に日本政策金融公庫が公表した「創業者の実態」によると、物件の検討や資金調達の準備は、約1年前から始める人が多く見られます。資金調達については半年以内に済ませた人が約5割となっており、計画的に行うべきポイントだとわかります。

開業場所・物件の検討を始めた時期
  • 3カ月以内が29.3%
  • 3カ月~6カ月以内が14.1%
  • 6カ月~1年以内が22.8%
資金調達(借入)の準備を始めた時期
  • 3カ月以内が31.5%
  • 3カ月~6カ月以内が19.6%
  • 6カ月~1年以内が25.0%

自己資金は開業資金の約1/4程度。200~300万円が一般的

一般的に、美容師の平均年収は200万円台後半~300万円台だと言われています。

1,000万円もの開業資金の準備は容易ではなく、実際には融資を利用し、自己資金の不足分を補填する人がほとんどです。

独立時の自己資金の傾向は「開業資金の約1/4程度」です。会社経営の「自己資本比率」は、「自己資金÷(自己資金+他人資金(借入))×100」の計算式で算出できます。

開業にあたり、金融機関や「日本政策金融公庫」などの公的機関から融資を得るのが一般的です。全額融資は現実的ではありませんが、視点を変えると「残りの1/4程度を自己資金で補えれば開業できる」とも考えられます。もちろん、開業後の運転資金として備えも必要なので、より多くの自己資金を用意できると安心です。

自己資金以外は金融機関からの融資を受ける

自己資金以外を金融機関や公的機関から借りる場合、融資を受けるためのポイントは理解しておきましょう。

融資の審査で最も重視されるのは、お金を借りた人「債務者」の返済能力です。自己資金を貯金してきた証拠を金融機関に示し、開業意欲や計画性があることをアピールできます。オーナー候補としての信頼を得ることで、融資希望額の審査も通りやすくなります。

融資金額の目安は、自己資金の2~3倍だと考えましょう。たとえば、300万円の自己資金がある場合、融資と合わせることで1,000万円の資金調達も夢ではなくなるでしょう。ほかには助成金を活用して開業資金を賄うケースもあります。従業員を雇用した場合「トライアル雇用助成金」や「人材開発支援助成金」を利用できる可能性があるからです。

もちろん、助成金はあくまでも運営をサポートする資金です。開業後の売り上げが想定通りにいかないことも考えて、身の丈にあった借り入れが大切です。また、自己資金と借入金を合わせても目標の開業資金に満たない場合は、少額を親類や両親から借りる方法も中にはあります。

自己資金が少なくても、事業計画書で融資がおりる場合も

たとえ自己資金が少なくても、対処法によっては開業の夢が叶うケースがあります。融資希望先に提出する「事業計画書」で、高い収益性を見込める点や綿密な収支計画を作成し、将来性をアピールしましょう。

融資先が重視するポイントは「信頼できる返済能力」です。たとえば、これまで働いていた美容室に近い場所で開業する場合、自分の指名客を引き抜ける可能性があります。このように「まったく人脈がない地点からのスタートではない」とアピールすることで、融資がおりた実例があります。

とは言え、審査結果は担当者や社会情勢によっても左右されるため、最後の手段として考えておきましょう。

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美容室の開業資金、何にいくらかかる? 内訳を解説

テナント費や内装費など、美容室の開業で発生する費用を、項目別に解説していきます。

テナント費は開業資金の約2~3割程度

美容室はテナントを借りて開業する方法が一般的です。物件の契約で生じる費用は「物件取得費用」と呼ばれ、内訳はおおむね以下の通りです。

  • 前払い賃料…家賃1カ月分
  • 店舗保証金(敷金)…家賃3~12カ月分
  • 礼金…家賃1カ月分
  • 仲介手数料…家賃1カ月分

首都圏の賃料相場は、1坪あたり約1万円~2.5万円ですが、店舗の規模や立地条件によって物件の相場は大きく変わります。郊外や地方部ではさらに賃料を抑えることができるでしょう。

駅の近くや人気エリアでは集客率も高まるため、賃料の安さだけで決めることは得策ではありません。開業資金のうち、物件取得費用として15~30%ほど見積もっておくことをおすすめします。

内装費は坪単価約~50万円

美容室の内装工事費用は、一般的に坪数で相場を判断します。業者の見積りも、ほとんどが坪単価で記載されています。

内装費の平均金額は、「新築」の場合「坪当たり40万円~50万円程度」と言われています。自分好みの店舗を作れるため費用に余裕がある人に人気です。ただし、工事費用は天井知らずのため、施工業者に予算を詳細に伝えた上でこだわるポイントを絞りましょう。

価格を抑えたい場合は「居抜き物件」もおすすめです。すでにある設備や内装を再利用できるため、内装費の相場は坪単価で15万円~20万円です。

建物全体や一部を取り壊し、造り直す「改築」の場合、相場は坪単価で25万円~30万円で、新築と居抜き物件の中間ほどの価格です。

設備・備品費

シャンプー・トリートメント・カラー剤・パーマ用品などの材料に加え、ドライヤー・ケープ・ワゴンなどの機材一式も揃えなければならず、美容室での施術に欠かせない設備や備品は多数あります。

メーカーによっては、初期発注としてまとまった個数を注文する必要があります。
1店舗当たりの仕入れでは割引もあまり期待できないため、30万円~100万円ほどを想定しておきましょう。
薬剤系は特定のメーカーにまとめて発注することで、値引きできる場合もあります。

その他、美容室によってはパソコン・タブレット・雑誌・洗濯機・会計レジ・固定電話・冷蔵庫・待合室用の家具などの設備も必要です。アウトレット品やリサイクル品を利用して上手く節約し、開業資金を抑えることも可能です。

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広告費

ただ美容室で待っているだけでは顧客は来てくれません。開業前の宣伝・広告がとても重要であり、軌道に乗るまでの数カ月間は新規オープン前の宣伝によって売り上げが決まるとも言えます。

「新しい美容室」という要素だけでも人目を惹くため、手を抜かずに宣伝しましょう。宣伝にかかる費用は、主に以下のものが挙げられます。

  • 美容室のWebサイトの作成費、運営費
  • ショップカードやチラシの作成費、ポスティングの依頼費
  • ネット広告や美容系検索サイトへの掲載費

すでに顧客を抱えていても、新規顧客の開拓は非常に重要です。新規顧客向けキャンペーンなども検討して、知名度を高めましょう。

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運転資金

家賃・人件費・薬剤や備品の仕入れ費のほか、水道・光熱費、ネット使用料金・広告掲載費など毎月一定のコストが発生します。

これらすべてを「運転資金」として捉え、想定売上の80%程度をコストとして考えましょう。従業員を雇わない場合は、想定売上の約45%をコストとみなします。そして、上手く軌道に乗らず売り上げがゼロに近くても、最低3カ月は経営できるだけの運転資金を開業前に確保しておきましょう。

 

小規模オーナーから始める「1人美容室」も有効

リスクの低い小規模オーナーから始める「1人美容室」の魅力を解説します。

1人美容室は低リスクで開業が可能

1999年にピークを迎えた理美容市場の規模は、近年やや縮小傾向にあります。巨大市場ではあるものの、競争が激しいのが現状です。美容室を利用する人の目的は二極化しており、「低価格な美容室」または「付加価値のある美容室」などが求められています。

その一方で、主な集客ツールが紙媒体ではなくインターネットとなったため、資本力の小さい個人でも開業しやすくなりました。
小規模な1人経営美容室のメリットには「開業費用の負担が少ない」「運営時のさまざまなリスクを抑えられる」といった点があります。雇用したスタッフの事情に左右されることもなく、顧客数(売上高)も自分のものとして正確に把握することができます。

1人美容室は納税に注意を

低リスクの1人美容室ですが、正社員とは納税の方法が違うので注意が必要です。経営者は自ら確定申告を行い、納税する義務が発生します。

「確定申告」には「青色申告」と「白色申告」があり、新規開業の場合は税務署に届け出ることで青色申告の対象となります。青色申告は詳細な帳簿を作成する手間がかかりますが、税金の控除額が白色申告より高いなど節税対策のメリットが大きいため、検討することをおすすめします。

保健所の立入検査・開業届の提出も必要

1人美容室に限らず、美容室を開業する際には、保健所に届け出て立入検査を受ける必要があります。また、独立開業の際、ほとんどの人は個人事業主として開業することになります。その際は税務署に開業届を提出する必要があります。開業届は正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、事業の概要や納税に関する事項などの項目を記入し、提出しなければなりません。開業届の提出期限は開業後1ヶ月以内と定められていますので、忘れずに提出しましょう。

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開業資金は融資でも調達可能! 独立の夢を叶えるなら1人美容室の運営もおすすめ

独立して自分の店をオープンするには、余裕のある開業資金を調達したいものです。夢を夢で終わらせないためにも、具体的な年間計画を立てて準備を進めていくことが大切です。
近年は低リスクの1人美容室も人気です。リスクやメリットを比較しつつ、自分に合った経営スタイルを見つけましょう。

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