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美容師と経営者の業務委託の現実! メリットとデメリットを解説

美容師の業務委託の現実

近年、出店数が急増している「業務委託美容室」。めまぐるしく社会情勢が変化する昨今において、「収入に不満がある」「掛け持ちを検討している」美容師は少なくありません。そんな中、業務委託によって営業する美容室は、フリーランスとして働きたい美容師からも支持を受けています。この記事では、業務委託の実態をはじめ、業務委託契約を締結した場合のメリット・デメリットを解説しています。美容室の経営者にとっても有益な情報となるので、今後の働き方や運営の参考にしてください。

美容師の業務委託とはどんなもの?

「美容師の業務委託」について解説します。美容師の働き方には主に3つの契約形態があります。

  • 企業の従業員として働く「雇用契約」
  • 派遣会社のスタッフとして美容室へ派遣される「派遣契約」
  • 企業から個人的に、または企業を介して業務を委託される「業務委託契約」

「業務委託」は、「請負契約」や「委任/準委任契約」と呼ばれることもあります。

雇用者と被雇用者の関係ではなく、事業主同士の対等な契約

「業務委託」が「雇用契約」と異なるポイントは、美容室経営者の「事業主」と、美容師「個人事業主(フリーランス)」が対等に交わす契約である点です。

雇用契約によって雇われた美容師には、「労働法」により「1日あたり8時間以上の労働は禁止」と決まっているため、8時間以上の労働には「別途の手当てを出す」といった対応が経営者に求められます。それに対して、フリーランスの美容師は「完全歩合制」で収入を得ることになります。

しかし業務委託で働く美容師には労働法が適用されません。事業者同士で取り決めた契約事項をお互いに守れば問題がないため、契約内容によっては雇用契約時よりもメリットが大きいケースがあります。

業務委託契約は面貸しと微妙に違う

「業務委託」と混同されやすい働き方に、「面貸し」というシステムがあります。
「面貸し」とは、美容室が店舗の設備やスペースを貸し出す契約形態で、海外では「面貸し」を利用して働く美容師は多く、日本でも都会を中心に増加しています。

具体的には、個人事業主の美容師が美容室の一部を借りて収入を得る代わりに、その場所で業務を行う対価を美容室側に支払うシステムです。対価の支払い方法には、主に「貸出時間あたりの単価」や「売上に対する歩合率」などがあります。

労働基準法の上では、「面貸し」も「業務委託」に分類されていますが、実際の働き方は異なるため認識に注意しましょう。

美容師が業務委託契約を結ぶメリット

美容師が美容室と業務委託契約を結ぶメリットを具体的に解説します。

業務委託の美容師は美容室を掛け持ちできる

雇用契約では、兼業禁止規定によって副業が禁止されているケースがあります。副業が認められている場合でも労働時間の縛りがあるため、複数企業の従業員を兼任する働き方は現実的ではないでしょう。

複数の美容室で働きたい美容師には、業務委託のリットが大きいと言えます。

業務委託の美容師は報酬体系や労働時間を調整できる

業務委託の美容師が得るメリットは、労働法に基づく雇用契約よりも柔軟な報酬体系や勤務体系が実現することです。

業務委託の報酬は、労働時間によって決まる固定給ではないため、たとえば報酬体系を完全歩合に設定すれば売り上げアップが期待できます。普段から指名数が多く、個人での売り上げに自信がある美容師はチャレンジする価値があるでしょう。

拘束時間も自分で調整できるため、出勤日や労働時間に縛られません。また、雑務などで時間外労働が発生している現状に不満がある人の解決策としても、業務委託契約は有効です。

正社員よりも拘束が少ないとはいえ、美容室によっては清掃やシフトなどで、ある程度ルールを設けている場合もあります。業務委託契約を結びたい美容師も経営者も、「完全自由ではない」点を把握しておきましょう。

業務委託の美容師は施術と接客に集中できる

業務委託の美容師は、集客業務を美容室に任せることができます。また、ヘルプなどの掛け持ち接客が減るため、マンツーマンでの施術と接客に集中可能。ある程度の実績がある美容師にとっては、大きな魅力だと言えるでしょう。

業務委託の美容師は収入アップが見込める

業務委託の美容師には、収入アップが見込めるいくつかのポイントがあります。

業務委託を行っている美容室では、集客作業を店舗側が積極的に行っています。新規やフリーの来店者が現れた場合は、業務を委託した美容師へ回すケースが一般的です。そのため、フリーランスの美容師にとっては、顧客を拡大するチャンスだと言えるでしょう。施術の料金設定は美容室側が設定するほか「美容師が個人的に呼んだ顧客の料金設定は自由」という例外もあります。

また、社会保険料などの固定費が発生しない分、正社員で働くよりも「歩合率」や「還元率」が高くなるケースがほとんどです。

 

美容室側にも業務委託契約にメリットがある

業務委託契約のメリットは、美容師だけではありません。ここからは美容室側のメリットを具体的に解説します。

業務委託契約の美容師には労働基準法が適用されない

美容室が美容師と雇用契約を結んだ場合、従業員を保護する「労働基準法」が適用されます。1日当たりの労働時間に上限があるだけでなく、経営者には労働時間を超えた残業や休日出勤に対して美容師に追加報酬を支払う必要があります。また、問題のある美容師を解雇したい場合は、法律に則ったさまざまな厳しい条件を満たさなければいけません。

一方で、業務委託契約に労働基準法等は適用されません。したがって報酬を「売り上げの一定割合」と定めて業務時間と切り離すことができ、柔軟なシフトを組めるようになります。

双方が契約内容に従うことが前提ですが、契約終了のタイミングも自由な条件で設定できます。より自由な経営を望む美容室は、業務委託を検討する価値があるでしょう。

美容師が業務委託契約を結ぶデメリット

美容師が業務委託契約を結ぶにはデメリットも存在します。事前に把握しておきましょう。

業務委託契約の美容師は労働基準法の保護を受けられない

労働基準法は、雇用者と「雇用契約」を結んだ労働者が、低賃金や長時間労働など労働者側が不利な条件下で働かされることを防ぐための法律です。すべての労働者の権利が守られる法律のため、正社員のみならず、派遣社員・契約社員・パートタイム・アルバイトにも適用されます。

片や業務委託契約は雇用契約のような主従関係はなく、対等な契約関係にあります。そのため、一方が労働基準法や労働契約法による保護は受けることができません。これにより、「事前に決めた料金設定と実際の報酬が違う」「店舗側の都合で契約を解消された」といったトラブルを解決しにくいデメリットがあります。

業務委託の美容師は国民健康保険など税金が自己負担になる

美容室側には業務委託の美容師を「雇用保険」や「社会保険」に加入させる義務がなく、業務委託契約で働く個人事業主は、法律上では労働者に該当しないため、各種社会保険は適用されません。

社会保険には多数の定義がありますが、一般的には「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つです。その中でも、業務委託の美容師は国民健康保険や年金などの税金が全額自己負担となるデメリットがあります。また加入手続きも自分で行います。

業務委託の美容師は収入が不安定になる

業務委託の報酬は固定給でないため、収入が不安定になります。
完全歩合制の場合、施術を行わなければ報酬は発生しません。この重大な問題の改善策として、「条件に応じて最低保証給を支払う制度」を採用している店舗が増えてきました。美容室側が提示している勤務条件は、契約前に必ず確認しましょう。

「産休・育休」に関する福利厚生が気になる女性美容師も多いのではないでしょうか。
業務委託では福利厚生がつかないケースがほとんどであるため、「産休や育休は取得できない」と考えるのが妥当です。

女性が妊娠・出産などでやむを得ず休まなければならない場合に限らず、男性も何らかの理由で働けなくなったとき、労働基準法が適用されない業務委託者は美容室からの保障を受けられません。いざという時の報酬をどのようにしてまかなうかは、1人ひとりが考えておかなければならない課題です。

業務委託の美容師は確定申告の義務が発生する

美容師が業務委託として働く場合、正社員のように収入から税金が天引きされることはありません。そのため、個人で税金を支払う「確定申告」が必要です。

確定申告とは、「1年間分の所得・所得税」や「源泉徴収された税金」を計算し、過不足を精算する手続きです。2月~3月の間に税務署へ申告する必要がありますが、期限を過ぎると税金が加算されたり、所得が多い場合は脱税とみなされる場合もあるため注意しましょう。

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経営者が美容師と業務委託契約を結ぶ際の注意点

経営者が美容師と業務委託契約を結ぶ際の注意ポイントを詳しく解説します。

労働基準法は適用されないが、契約書は必要

業務委託を行っている美容室は、顧客から委託された美容サービスを、個人事業主の美容師に委託しています。つまり「下請けに出している」と考えられるため、美容室が資本金1,000万円以上の法人の場合、「下請法」が適用されます。

さまざまな規制のある下請法に違反しないよう、契約内容の厳重なチェックは欠かせません。もちろん下請法適用の有無にかかわらず、あらゆるトラブルを回避するためにも業務委託契約書の作成は必要です。

契約書のひな型は、Webからもダウンロード可能です。もし契約内容に不安がある場合は、必要に応じて、弁護士や行政書士へ相談しましょう。

契約書の内容によっては労働法が適用される可能性がある

業務委託契約を交わしても、美容師への指示内容や労働の実態によっては、「雇用契約」に該当するケースがあります。労働基準法が定義する労働者ではなくとも、労働組合法が適用されることがあるので注意しましょう。

たとえば、「美容師・理容師ユニオン」など、業界全体の労働組合が動いた場合、団体交渉の対象になり得ます。その場合、残業代の支払い義務などが生じたり、労働基準監督署の立ち入りがあったりなど、あらゆる負担が生じます。

「業務委託ではなく、雇用契約上の労働者である」とみなされないためのポイントは以下の通りです。

  • 美容師の業務について細かい指示・命令をしない
  • 個別の依頼については美容師の意思を尊重する
  • 出勤日や労働時間は、美容師が自由に選べるようにする

「細かい指示」や「美容師の意思を尊重する」など、どの程度の範囲なら問題ないかの判断は主観になるため、労働法に詳しい弁護士等に相談しておくと安心です。

業務委託は美容室と美容師を結ぶ新たなビジネススタイル

美容師と経営者が結ぶ業務委託には、双方にメリットとデメリットが存在します。業務委託契約を行う際は、事前に労働法に精通した専門家に相談すると安心です。
自分自身がどのような形態で働いていきたいか、また、本当に業務委託で美容師と契約を結ぶべきなのかは、安易に決めず立ち止まって考えてみることも必要です。

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