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男性にとって、突然恋人から「子どもができた」と聞かされたらどうでしょうか? 驚く?喜ぶ? 困る? 反応はさまざまですが、未婚で独身主義の恋多き男性ならば、迷惑に感じてしまうかも知れませんね。
売れっ子作曲家の青山には恋人が多くいて、主人公の薫は自分がその中の1人でしかないと自覚しています。
そんなある日突然、2人の子どもを連れた「子どもたちの叔母」を名乗る人物が青山の前に現れ事態は激変。1人は青山と5年前に別れた女性との子どもで、もう1人の父親は行方不明になり、女性はすでに亡くなってしまっていたと告げられます。
結局子どもたちを引き取って初めての育児に奔走する青山ですが、薫は別れを切り出すつもりがタイミングをなくしてしまい、仕方なく一緒に面倒を見るようになります。
そんな表題作『KIDS』の後日譚が『ワイルドBOY』で、下の息子の俊太が自分の出生の秘密を聞いてショックを受けるお話。
この2つは連作になっていて、後半は青山と薫が結婚した後が描かれています。子育てドタバタ劇ですが、子どもの心理描写が秀逸です。
前2作品とは独立した『どこにもいない僕』も離婚寸前の夫婦の間に挟まれた子どもの物語。父親の不倫相手を見に行くなど、意外と大胆なことをします。
自分は両親を仲直りさせるために事故から生き残ったと言いますが、両親は……。
全体的に子どもの心模様が丁寧に描かれていて、大人の身勝手さが浮き彫りになる本作。
子どもは何もわかっていないというのは大人の勝手な判断であって、感情的になっている大人よりも余程しっかりしています。そして傷付いているのです。
夫婦の間に問題が持ち上がれば、子どものことを「この子さえいなければ」と感じてしまいがちでしょう。しかし、子どもがいるからこそ絆を結べる部分もあるはず。
個人的には『どこにもいない僕』のしっとりした雰囲気が好きで、子どもだからといって甘く見てはいけないなと感じました。
離婚は夫婦間の問題でもありますが、一番大きな被害を受けるのは子どもなのです。
けれど夫婦喧嘩中は子どものことなど考えられないのでしょうね。それはとても悲しいことです。
「子どものために我慢している」とか「子どもがいなかったらとっくに離婚している」と言う人も多くいますが、離婚できない理由を子どものせいにしないで欲しいと思います。
最初に望んで子どもを生んだのは親なのですから。
3編の短い物語ですが、充実した内容にはいろいろと考えさせられることも多くあります。
この一冊を読めば、子どもの繊細な心をより深く感じられるでしょう。
・作者:はざまもり
・出版社:A-WANGON
・刊行状況:全1巻
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