仕事中に汗が止まらなくなると、汗ジミやニオイがお客様に不快感を与えていないか気になってしまいますよね。汗やニオイはお客様からのクレームにつながる恐れもあるため、日頃からケアが欠かせません。ですが、美容師はシャンプーしたり、美容室の中を動き回ったりする仕事なので、汗対策の難しさに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回は元美容師ライターのRYOが、汗の原因と汗対策についておすすめの方法をご紹介していきます。
汗がたくさん出るのは多汗症?
多汗症とは?
日常生活の中で常に顔から汗が出ていたり、緊張しただけで流れ落ちそうなほど汗をかいたりしてしまう人は、多汗症なのかもしれません。
本来、汗は運動時や食事をしたときに体温が上昇しすぎるのを抑える働きをしています。しかし多汗症になると体温調整に必要ないほど多量の汗をかいてしまい、日常生活や仕事に支障が出ることがあるのです。
多汗症が起きる部位
多汗症には「全身性多汗症」と「局所性多汗症」があり、全身性多汗症はその名前の通り全身から出る汗の量が増加します。
局所性多汗症は手のひらや足の裏、頭部や顔、腋(わき)など特定の部位から大量に汗が出てしまいます。手のひらと足裏に多汗がみられる場合は「掌蹠多汗症(しょうせきたかんしょう)」、手のひらだけなら「手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)」、足の裏なら「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」、わきなら「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」という病名がついています。
多汗症の原因
全身性多汗症
- 温熱性発汗:運動、高温環境、発熱など
- 内分泌、代謝性発汗:更年期障害、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肥満症
- 神経障害による発汗:パーキンソン病など
- 薬剤副作用による発汗:向精神薬、睡眠導入薬、非ステロイド抗炎症薬、ステロイド薬などの服用
- 特発性発汗:原因不明
局所性多汗症
- 精神性発汗:精神的緊張によるもの
- 味覚性発汗:辛いものを食べたとき
- その他:皮膚疾患によるもの
多汗症の予防
疾患が原因の場合
疾患の場合は病院で治療をする必要があるので、重症になる前に早めに受診しましょう。
生活習慣が原因の場合
普段の生活習慣の乱れも多汗症の原因と考えられています。睡眠不足、飲酒・喫煙など、乱れていた生活習慣が改善されると症状もおさまるかもしれません。
食生活の見直し
辛いものや酸っぱいものは交感神経を刺激して、汗をかきやすい状態になってしまうので、汗をかきたくない場面では控えるようにしましょう。コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインも同様の働きをするため注意が必要です。
多汗症の治療
外用薬を使用する
「塩化アルミニウム液」を気になる部位に塗ることで汗腺を塞いで、汗の分泌を抑える方法です。美容師の場合は、手を使う仕事なので手のひらには使用できませんが、わきや足の裏には有効な方法です。
内服薬を使用する
多汗症の飲み薬には保険が唯一適用できる臭化プロパンテリン、適用外のオキシブチニン、コハク酸ソリフェナシンなどがあります。薬によっては副作用や効果の程度が異なるため、医師や薬剤師の説明をよく聞いて使用するか検討してください。
漢方薬を使用する
代表的な漢方としては防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)に、多汗症改善の効果・効能が認められています。他にも白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)や竜胆潟肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、大承気湯(だいじょうきとう)などが効果的です。漢方を取り扱っているクリニックもあるので、何が合うか分からないときは、そちらを受診するのもいいでしょう。
ボツリヌス注射
欧米ではよく行われる治療法で、ボツリヌス菌を患部に注射することで汗を抑える方法です。日本では腋窩以外は保険適用外の治療になるので、費用などをよく確認しましょう。
イオントフォレーシス
イオントフォレーシスとは水を貯めた容器に患部を浸し、10~20mAの電流を約30分間流す保険適用の治療です。手足の多汗症に用いられ、8~12回ほど行うと症状改善が期待できるといわれています。
多汗症のほかに考えられる汗の原因と対策
食生活の乱れ
多汗症の原因にもあげられているように、食生活の乱れは汗と深くかかわっています。特に脂質の高い食べ物や、アルコールの過剰摂取は汗をかく原因となってしまいます。汗を抑制してくれる水分やカリウムを含むトマト、キュウリなどの野菜を積極的に摂取して、体内の熱を尿として排出するようにしましょう。
運動不足
運動不足で汗をかく機会が減ってしまうと汗腺が衰えて、過剰に汗が出る原因になってしまいます。軽く汗をかく程度の運動を、週2~3回ほどするようにしましょう。
クーラーの効いた環境
クーラーが効いた部屋は、体温調整機能が落ちてしまい自律神経が乱れる原因になります。自律神経の乱れは多汗につながるので、エアコンの温度設定は、外気との差が3~4℃になるようにしましょう。
ストレスがある
ストレスを溜めすぎると自律神経を乱すので汗腺にも影響が出てしまいます。ストレスを感じたらなるべく早く発散して溜め込まないようにすることが大切です。
美容師の汗の対策について
手汗の対策方法
手に汗をかいてしまう体質の方は、カットのときなどに困りますよね。刃物を使うので、施術中は集中しなければいけませんし、汗をかいた状態でお客様の髪をさわるのも抵抗があります。
手汗は緊張汗ともいわれていて、カットするときは慎重になり緊張しやすい状態なので手汗が出やすい状況であるといえます。手汗にお困りの方におすすめなのが、手汗専用の制汗剤です。汗腺に蓋をすることで手汗が出るのを防いでくれます。
購入したい場合はネットなどで販売されているのでチェックしてみましょう。あまりに手汗がひどい場合は効果が薄れる可能性がありますので、そのさいは病院に相談することをおすすめします。
わき汗の対策方法
わき汗は、制汗スプレーなどが販売されているので、接客前につけたり、わき汗パッドを肌着につけたりすることで、汗ジミを防ぐことができます。肌着を吸湿速乾、消臭作用があるものに変えるのも対策になるでしょう。
背中の汗の対策方法
インナーを吸湿速乾のものにしても背中の汗ジミが目立つという方におすすめなのが、背中用の汗取りパッドです。ベストタイプのものや、パッドを取り換えるだけで何度でも使えるものもあるので、これなら背中の汗ジミを気にすることなく仕事に集中できます。
ニオイ対策にはボディーソープを見直す
ニオイ対策用のボディーソープに変えるだけでも、効果が期待できますよ。ニオイ対策のボディーソープには、ニオイの原因になってしまう雑菌の繁殖や活動を抑える成分が配合されています。「カテキン」「柿タンニン」「イソプロピルメチルフェノール」などが配合されているものがおすすめです。
湯船に毎日つかる
夏場はシャワーだけで済ませてしまう方も多いと思いますが、湯船につかって体を温めることで新陳代謝が改善され、汗腺も正常に機能するようになります。1日の終わりはできるだけ湯船につかるようにしましょう。
まとめ
汗が出る原因はさまざまなことが考えられますが、まずは生活習慣など改善できる箇所を見直してみましょう。それでも治らないときは病院で受診してみるのがおすすめです。汗対策グッズも多く出ているので、自分の合ったものを取り入れてみると仕事に集中できるようになると思います。
美容師は接客業なので、汗やニオイに敏感になってしまいますよね。毎日快適に過ごせるように、記事を参考にして対策や改善に役立ててください。