華やかなイメージのある美容師ですが、それとは裏腹に実際の業務は思っているより過酷で、職場放棄する社員がいるのも現状です。社員から突然「辞めたい」と言われることは、経営者側としてはとても辛いことでしょう。今回は、社員が職場放棄する背景にある理由、社員に長く働き続けてもらうにはどんな環境作りが必要かについてご紹介します。
美容師が職場放棄する理由
美容室は全国いたるところにあり、美容師として働き続けている方がたくさんいます。ですが、自分の思い描いている世界とは違ったなど、さまざまな理由で辞めてしまうスタッフもいます。10年以内の離職率は9割を超えるとのデータもあり、これはサービス業全体の中でも高いほうだと言えるでしょう。
過酷な勤務時間
美容師は労働時間が長く、新人であろうがスタイリストであろうがそれは変わりません。それに加えて開店前の準備や閉店後にも自主練習をしなければいけないので、自由な時間がなくなると感じるようになってしまいます。
給料が安い
美容師の平均年収は300万前後となっていて、給料の低さが原因で辞めてしまうケースもあります。少ないところでは手取りの初任給が15万円前後、役職がついても20万円を下回るお店もあるため、将来のことを考えれば生活に不安を感じるのは仕方ありません。給料が安いせいで、深夜に副業として別のアルバイトをしているアシスタントもいます。
体調不良
休憩も十分にとれず長い労働時間に加え、睡眠不足や過重労働が原因で体調不良となり、これ以上美容師を続けるのが難しくなって辞めてしまうスタッフもいます。また、アシスタントのときはシャンプーを毎日たくさんしなければいけないので、薬品などが肌に合わずに手荒れが原因で泣く泣く辞めてしまう美容師もいるのです。
精神的に追い込まれる
美容師は接客業なので仕事中に神経を使いますし、自分の技術も高めていかないといけないので、精神的に追い込まれる状況になりがちです。それに加え、職場の人間関係がうまくいってないとさらにストレスを感じながら働かないといけないので、メンタルに限界を感じて辞めることもあります。「この店には自分の居場所がない」と感じたときに職場放棄をするスタッフが多いです。
社員に長く働いてもらうために必要なこと
人間関係を良好にする
過酷な労働条件に加え給料も高くないのに職場の人間関係まで悪かったら、続けていくモチベーションを失くしてしまいます。逆にスタッフ同士、人間関係が良好で居心地が良かったらどうでしょう? もう少し頑張ろうと仕事に対する意欲も湧くのではないでしょうか。お店の雰囲気が良くなることにつながり、売り上げにも関係してくることなので、スタッフの人間関係は常に気にかけておいた方がいいでしょう。
スタッフの悩みに気付く
人間関係が良好だと、社員が抱えている悩みに早く気付き、解決することができるかもしれません。それには気さくに心を開いて会話させてもらえるような状況と信頼関係を築くことが必要なので、個人面談をおこない1対1で話せる機会を作るようにしましょう。特に入社1~2年のスタッフにはよく話を聞いてあげてサポートしてあげると、安心して働くことができます。
感謝の気持ちを伝える
感謝の気持ちは「良かったことの再認識」です。常に言葉できちんと伝え、それを習慣化しましょう。なるべく具体的に伝えれば社員も必要とされていると実感でき、やる気につながります。こういう行動が良かった、挨拶や笑顔がいい、毎日頑張ってくれてありがとうなど、当たり前になりかけていることに対して感謝の気持ちを伝えるだけで大丈夫です。そのときは決して悪かったことを引っ張り出さないようにしましょう。
社員に期待する
例えば目標を作ったり役割を与えたりして、あなたには期待しているよという態度を示すことで、仕事に対する意識が変わってきます。指示されるだけよりも責任のある立場を任せられたほうがモチベーションが上がりますし、努力したり一生懸命考えたり、自分で行動を起こすことにもつながっていきます。
労働環境を整える
働き方改革
近年では、長時間労働が当たり前とされてきた美容師の勤務体制も社会の変化にあわせ、大きく変わろうとしています。「働き方改革」によって業務の見直しや改善・働き方の多様化が美容業界にも浸透しつつあるのです。
働き方改革では、美容師の離職率が上がる原因である「長時間労働」というマイナスイメージを払しょくする必要がありますが、開店準備や閉店後のレジ締め、後片付け、アシスタントの練習時間など従業員の負担はまだまだ大きく、そこをどう改善していくかが今後の課題だと言えます。
労働基準法が定める労働時間・休日
- 1日8時間、1週間40時間を労働時間の基準とする
- 最低1週間に1日の休日、または4週間で4日以上の休日の付与が必要
- 6カ月の継続勤務があり、6カ月期間の8割以上出勤があった場合には、10日間の有給休暇を付与
- 継続勤務1年ごとに1日、3年6カ月を過ぎた場合は日数を2日ずつ増やし有給休暇を付与(最高20日)
時間外労働
- 原則として月45時間、年360時間を上限とする
- 臨時の場合、原則の45時間を超えるものは、6カ月までする
美容師業務の効率化について
POSシステムの導入
POSシステムを導入することで、仕事の効率化と業務削減が見込めます。
- 予約や顧客の管理
- レジシステム・レジ締め簡素化、人的ミスの防止
- シャンプー、パーマ剤など必要備品の在庫管理
- システムによりデータの情報を共有
シフト制や作業マニュアルの導入
業務の効率化が進めば、2部制のシフトを組むことも可能になり社員の負担軽減につながります。また、すべてをマニュアル化することで誰でも同じように作業ができるようにします。欠員が出たときなどの緊急事態でも対応できる体制を目指すとよいでしょう。
福利厚生を充実させる
スタッフが長く安心して働けるようにするには、精神的なケアだけでなく、福利厚生を充実させることが必要です。社会保険への加入やリフレッシュ休暇・慶弔休暇の付与、きちんと残業代を支給することなどが挙げられます。また女性の場合は、産休や育休があると子供を産んでからも復帰して美容師を続けることができます。
福利厚生が完備されていると、プライベートが充実して仕事に対するモチベーションが上がる副次的な効果も期待できます。また、社員を募集したときに集まりやすくなったりして、社員のことを大切にしている会社として信頼される強みになるでしょう。
福利厚生の主な種類
- 社会保険
- 住宅補助
- 有給休暇
- 慶弔休暇
- 育児休暇・産休
まとめ
長く働いてもらえるように環境の改善や、労働状況を見直してみましょう。社員全員に目を配り、日々改善していかなくてはいけません。短期的な売り上げを伸ばすことばかりに目を向けるのではなく、社員を大切にすることも美容室を経営していく上でとても重要です。スタッフと一緒に良いお店を作っていけるように頑張りましょう。


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