美容室の将来を決めると言っても過言ではない料金設定。集客と経営のバランスをとるために、どのような基準で設定したらいいか悩みますね。今回は美容室の料金設定で注意するポイントをまとめてみました。
料金が安くないと集客できない?
安い料金だからといって集客力があるわけではありません。大型店のように低価格でも人数をさばいて売り上げを出している店舗なら可能かもしれませんが、そうでないお店の場合はあまりに安い料金設定だと経営が困難になりますし、お客様に「安いから品質があまり良くないのでは?」という考えをもたれることもあります。回転率をあげようと奮闘して施術やサービスがおろそかになってしまうと、結果的にリピート率も上がらず経営がまわらなくなるでしょう。
逆に高い料金設定でもそれに見合ったサービス内容なら、お客様は満足して利用してくれます。ですがそれには高い技術や接客が必要となり、不満をもたれた場合「こんなに払っているのに」と思われやすいので、従業員側が高い意識を持って施術や接客をしなければいけません。高い料金設定にしたい場合は、料金を支払う価値があるかどうかが基準になります。
価格設定をする際には、どの人を対象にするか、どんなコンセプトでやっていくかを明確にすることが重要です。美容室の立地やターゲット層によっても変わってきますので、全体を考慮したうえで決めるようにしましょう。
料金設定の仕方はどうするの?
コンセプトを決める
美容室といってもさまざまなサービス内容の違いがあり、それによって価格帯も違ってきます。まず、どのような方向性でいくかコンセプトを決めましょう。
高級志向の店舗から地域に密着したリーズナブルな店舗まで、経営方針別に価格帯と特徴をまとめてみました。自身の考えにあったコンセプトの料金設定やお店作りを目指していきましょう。
トータルビューティーハウス
- 価格帯: 中~高価格
高い技術をもった従業員が多く、一般的にはヘア、ネイル、エステなどが一度におこなえます。駅前に店舗を構えることがほとんどで、短時間で最高の施術を受けたいお客様が対象になります。
トレンド発信サロン
- 価格帯: 中~高価格
カリスマ美容師が在籍し、雑誌やモデルに取り上げられるようなトレンドの最先端をいく美容室です。表参道などに店舗を構えているお店が多く価格帯も高めの設定です。
最先端の技術を取り入れているサロン
- 価格帯: 中~高価格
駅前などに多く競争が激しく、技術やサービス、教育に力をいれているサロンです。落ち着いた雰囲気で納得のいく施術や接客を望むお客様が対象で、社会人や主婦層がターゲットです。負けん気が強く向上心を持って仕事をしているスタッフが多いです。
ファミリー向けサロン
- 価格帯: 低~中価格
住宅街などに店舗を構え、小さいお子さんをお持ちのお客様が気軽に利用しやすい価格帯を設定している美容室です。キッズスペースがあったりベビーカーが通れるように広めのお店だったり、駐車場が完備されていたりするのも特徴のひとつです。美容師のわかりやすい提案や行き届いたサービスで、学生から年配のお客様まで多くの方に利用してもらいやすい特徴があります。
低価格を重視するサロン
- 価格帯: 低価格
とにかく短時間で安く済ませたいお客様、長い時間座っていることが難しいお子さんにピッタリの低価格サロン。主に、カット専門店やヘアカラー専門店などがあげられます。内装から設備、施術内容までシンプルな分だけ安い価格設定が可能です。お客様の回転率が高いので、駅ビルや商業施設の中に店舗を置くことがほとんどです。
料金設定で注意する5つのポイント
1. 売り上げから料金を設定する
料金設定をするときに考えるのは、1日にいくら売り上げが必要かを算出することです。月の売り上げが〇万必要なら週〇日働くとして、1日に来店するお客様はどのくらいか? 目標金額のためには客単価をいくらにすればいいか? を計算していきます。お店のコンセプトにより必要な売り上げが変わってくるので、自身の店舗にあった価格設定をするようにしましょう。
2. 選べる価格設定にしてみる
たとえば、松竹梅のように3段階から選べる価格設定をしてみてはいかがでしょうか? 高めの価格設定のものには特別感が出ますし、今月は出費を抑えたいというときは安いコースで、今月はちょっと奮発して高いコースで、というように選択の幅も広がると通いやすい美容室としてリピート率のアップが期待できます。意外と高めのメニューでも利用する人がいるかもしれませんよ。
3. あとからの値上げはマイナスイメージ
価格を下げるのは簡単ですが、上げることはなかなかできません。きちんとした理由があれば別ですが内容が変わらないのに値上げをすることは、お客様を失うかもしれないリスクが非常に高いです。そのため最初の料金設定はきわめて重要になります。
4. 周りの美容室に影響されすぎない
周りの美容室を調べることは必要ですが、あまり影響されすぎるのもよくありません。同じような価格帯や安い料金設定をしようと考えがちですが、振り回されず価格を決めてください。
5. 価値に見合った価格をつける
あなたの美容室には、あなたの技術や接客があり、その価値に見合った価格をつけるべきです。安い料金設定だと、お客様の数をこなさなければいけないのがよくわかります。客単価を上げるとお客様が来ないのではないかと不安になりますが、果たしてそうでしょうか?
満足いく技術の提供や接客をすれば、多少高い料金設定でもついてきてくれるお客様はいると考えてください。「この値段はお客様に申し訳ない」と考えるより、「値段に見合った店づくりをするにはどうしたらいいか」を考えること大切だと思います。
客単価が上がれば、多少客数が減っても問題なく経営はしていけますし、ひとりひとりにかけられる時間が増えることで品質向上にもつながります。料金設定をするときには、自信を持って納得する価格を設定するようにしましょう。
まとめ
美容室の料金設定に明確な基準はありません。規模の大きさによる有利不利といったものもなく、個人店の場合は居心地の良さや、信頼関係をお客様と共有できる強みを持っています。個性や魅力で価格に見合う美容室づくりをしていけば、ファンになってくださるお客様も増えていくのではないでしょうか。あなたのお店のコンセプトや個性にマッチした、納得できる価格設定を考えましょう。