働くうえで、休日の日数は多くの人が気にするポイントであり、美容師も例外ではありません。一方で美容師には「休みが少ない」というイメージも根強く、実際にはどうなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、美容師の休暇の実態を法律に照らし合わせつつご紹介します。また、美容師がどうやって休日を過ごしているかについてもまとめました。
美容師はどの程度休めるか
美容師がどのくらい休めるのか、休みやすい日はいつなのかとなどの休日に関するデータを紹介します。
法律で最低でも年間105日は確保される
美容師は自分の腕一本で生計を立てる職業で、職人のようなイメージを持つ人も少なくありません。しかし企業に雇われている以上、会社員と同じく労働基準法が適用されます。最初に労働基準法で定められている労働者の「労働時間」および「休日」を確認しておきましょう。
- 被雇用者の労働時間は、1日に8時間、1週間に40時間を超えないこと
- 雇用者は、被雇用者に少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えること
1年はおよそ52週ですから、週1日休むなら年間休日は52日です。しかし、毎週1休で1日8時間働くと、1週間の労働時間が40時間を超えてしまいます。この2つの条件を両方とも満たせる最低ラインが「年間休日105日」で、美容師も少なくとも年間105日は休めることになります。
美容師は週1休がほとんど。土日祝日は休めず
美容師の休日は週休2日制の会社員よりも少ないことがほとんどで、1か月の休日数は6~7日が平均です。つまり週1休が基本で、隔週で週2日休となるペースです。
また、美容師の休日は基本的に「平日」です。一般の会社や学校が休みになる土日や祝日は、顧客が増える繁忙日であることから、美容師が稼ぎ時に休む状況は現実的ではありません。店舗の定休日を中心に、混雑しづらい平日に休む形が標準的です。
ただし土日祝日には絶対に休めないわけではありません。店舗の規模や社内体制によっても異なりますが、事前に申請すれば休める企業も増えています。
美容師の休日は月か火が主流
美容室の定休日は月曜日または火曜日が多く、昔からの慣例で関東は火曜日、関西は月曜日の休みが主流です。と言うのも、昭和初期に、電力不足を解消するために電気の供給を止める「休電日」が設けられたことが発端だといわれています。
休電日には電気が使えなくなるため、美容室や理容室は休まざるを得ませんでした。電力の制限がなくなった今でも、当時のなごりから月曜または火曜を休みとしている美容室が多いというわけです。
ただ、多いというだけであって、実際には店舗によってさまざまな定休日が設定されています。ショッピングセンターに入店している美容室のように、ほぼ年中無休の店舗も少なくありません。
休日体制が整った美容室が望まれる
「ブラック企業」や「サービス残業」が社会問題となり、「働き方改革」が提唱されている近年では、美容師の働き方にまつわる意識も変わってきています。
基本は「しっかり働いてきちんと休みを取る」考え方です。そもそも働き詰めでいつも疲れているような状態では、よりよいサービスの提供は難しく、モチベーションも上がりません。
具体的には有給休暇を取得しやすくしたり、定期的に連休を設けたりと、休日体制が整っていることが望まれています。店舗の休日設定に悩んでいる美容室経営者は、働く側の意識の変化も視野に入れた体制づくりが必要になるでしょう。
業務委託や面貸しは休みが多め
美容師の休日は店舗の定休日に設定されやすいものですが、働き方によっては比較的自由に休日を取得することもできます。たとえば個人事業主として独立する「業務委託」や「面貸し」といった制度を利用してフリーランス美容師になれば、働きたいときにだけ働く方法も不可能ではありません。ただし収入の保証はなく、顧客がつかなければ稼げないという不安定な一面もあります。
「休日数が少ない」「休みが取りにくい」といった悩みを抱える美容師は、休日の数や有給休暇の取得率で勤務先を選び、転職する手段もひとつの方法です。昨今では、休みが少ない美容業界のイメージから脱却し、「働きやすさ」を掲げる企業も増えてきています。
美容師は休日に何をしているか
基本的に月曜・火曜に休むことが多い美容師の、休日の過ごし方を事例を交えて紹介します。
出かけてリフレッシュする
美容師は朝から晩まで室内で働く職業柄、「休日は外に出てリフレッシュする」人はめずらしくありません。お気に入りの店で買い物をしたり、好きな映画を見たり、大自然の中でアウトドアを楽しんだりと、心と体の解放が仕事への活力にもつながります。
友人や恋人と会って楽しく過ごしてリフレッシュする人もいるものの、平日休みがネックとなり、予定が合わせにくいという美容師ならではの悩みも。そのためジム通いや料理など1人でも楽しめる趣味に打ち込んだり、習いごとに通ったりして、自分なりのリフレッシュ方法を実践している人がたくさんいます。
また、土日祝に混雑するテーマパークや人気の観光地へ平日に出かける人もいます。またレストランのビュッフェやアミューズメント施設などは平日のほうが土日祝日よりもリーズナブルな料金で楽しめるケースもあり、平日ならではの恩恵を存分に生かせるのがメリットです。
リラックスする
仕事で最高のパフォーマンスを発揮するためにも、心と体のリラックスは大切なことです。美容師は1日中立ちっぱなしだったり、お店が混雑している日はまとまった休憩が取れなかったりなど、何かと体力を使う職業です。そのためマッサージや整骨院に通って体をケアするケースもあります。
ほかにも「岩盤浴や温泉施設に行く」「時間を気にせずゆっくり眠る」「自宅でゆったりと過ごす」といったものもあります。仕事の疲れを癒やす自分なりのリラックス方法を見つけておくと、休日を有意義に過ごせるでしょう。
スキルアップする
休日を利用してセミナーや勉強会に参加し、スキルアップを目指す方法も有益な休日の過ごし方です。美容師として新しい技術の習得はもちろんのこと、接客について学んだり、店舗運営のためにパソコンを習ったりすることも重要です。休日にできるスキルアップには、次のようなものがあります。
- モデルを招いて行う撮影会に参加し、周囲から刺激をもらう
- 街に出て実際に流行しているスタイルを観察する
- 美術館や芸術展に足を運び、美意識を高めて感性を磨く
自分の目指す理想のために休日を使うことはすばらしい行いです。美容師はクリエイティブな仕事ですので、好奇心を持って新しいものに目を向けることがプラスの刺激となります。仕事に行き詰まっている人や、休日を目的なく過ごすことに罪悪感を感じる人は、スキルアップにつながる休日の過ごし方を考えてみましょう。
美容師の休日の基準は会社員と同じ
美容師業の休みの少なさは、すでに過去の認識になりつつあります。労働者として企業に雇用されている以上、労働基準法で定められている休日を取る権利があります。休日を有意義に過ごすのは、心と体の健康を保ち、万全の状態で仕事に臨むためにも重要です。美容師や美容室経営を計画している人は、休日の取りやすさにも目を向けてみましょう。