美容室で、顧客管理のための情報として使用されているお客様カルテ。お客様カルテの書き方によっては、その後のリピート率に影響することもあるため、書き方はとても重要です。
カルテの書き方を少し工夫するだけで、お客様とのコミュニケーションがスムーズに行えるようになり、お店の信頼感を高めることもできます。リピート率をアップさせるためにも必要なお客様カルテには、どんな内容を書くべきなのか、ポイントを解説していきましょう。
美容室のお客様カルテとは

美容室では、顧客一人ひとりにカルテがあります。お客様の初回来店時に、カルテに名前や住所などの個人情報や希望などを記入してもらい、それを元にカウンセリングを行います。
カルテは一度作成した後も、お客様が来店される都度、施術内容や髪質、好み、趣味など、あらゆる情報が書き込まれ、美容室全体のスタッフ間で共有されます。カットやカラーを担当した美容師だけではなく、シャンプーやブローなどを担当した美容師によって追記されていくこともあります。
このように、カルテをスタッフ間で共有しお店としてお客様の情報を把握することで、誰が担当してもスムーズな対応が行えるようになっているのです。お客様からすれば、同じことを何度も説明しなくてもすむので、お店に対する信頼感やロイヤリティも向上しやすくなるというメリットもあります。
また、カルテをデータ化して分析することによって、お客様のニーズの把握やサービス改善に役立てるなど、リピート率や売上アップのための重要なツールにもなります。つまり、美容室にとってカルテは財産とも言えるのです。そのため、初回来店時に記入するカルテは、知りたい情報をきちんと引き出せるような内容となるよう、検討することが大切です。
カルテに書くべき内容

リピート率をアップさせるためには、新規カルテの作り方がポイントです。美容室としてカルテを有効活用するためには、どんな内容を書くべきなのか説明していきます。
お客様の個人情報
カルテの核となる情報は、名前、生年月日、住所、連絡先など、お客様の個人情報です。基本的に、美容院が個人情報を使って何かをするということはありませんが、お店によってはDMの送付やイベントのお知らせ、お店側の都合でイレギュラーな事態が発生したなどで急遽連絡をする必要がある場合に電話をすることがあります。また、カルテに記載の年齢層やお住まいの地域などから、大体のお客様の好みの傾向などを把握するために参考にすることもあります。
施術内容
来店日や来店時間、施術内容とその結果について、次のようなことを毎回詳しく記載していきます。
- どんなスタイルにしたかったか
- 将来はどんなスタイルを目指しているのか
- その日のカットはどうしたか
- 薬剤は何を使ったか
- どのくらい時間をおき、結果はどうだったか
お客様が来店される前に、前回までの施術内容を確認しておけば、髪の伸び具合やダメージの状態などをだいたい予想することができます。また、何度も同じことを質問してお客様を不快にさせてしまうこともありません。
髪質や体質
パーマやカラーをする場合には、一人ひとりの髪質によって薬液の調合を変えていく必要があります。また、ダメージレベルや仕上がりの好みよっても、薬剤やトリートメント、保湿剤などの組み合わせを考える必要があるので、髪質は重要な情報となります。
髪質と同時に把握しておきたいのがアレルギーの有無です。薬剤やゴム手袋、ヘアピンなど金属でアレルギーを引き起こす可能性もあるため、未然に防ぐ対策をとるためにも、記載しておきましょう。
良いカルテを作成するための5つのポイント

カルテに記載すべき項目はなんとなく分かったとしても、書き方によって活用しやすいカルテにもなれば、そうではないこともあります。ここからは、良いカルテを作成するためのポイントを5つあげて説明します。
お客様の情報を全て書く
カルテを作成する目的の中には、お客様の希望するヘアスタイルに近づけるためと、美容室で心地よく過ごしていただける接客ができるようにというものがあります。そのために必要な情報は、すべて書き込みます。
お客様の個人情報やアレルギーの有無などはもちろん、接客中に気になった点や会話した内容なども情報化しておき、接客に活用してお客様の満足度を高めていきましょう。たとえば、趣味や好きなファッション、性格なども提案内容に影響します。また、ちょっとした会話であっても、次回来店時に「この間お話されていた〇〇には行かれたんですか?」というように話しかけられれば、「覚えていてくれた」と悪い気はしないものです。
カウンセリングの内容も書く
カルテを元にカウンセリングで確認した内容を記載します。カウンセリングで分かる次のようなことは、全て記載するようにします。
- 髪の悩み…髪質、髪のダメージ、スタイリングやアレンジ方法など
- 希望するヘアスタイル…手入れが簡単、自分でも再現しやすい、有名人のような髪型、若々しくなりたいなど
- してほしくないことやしたくないスタイル…髪を傷めるカラーやパーマはいや、毛先を軽くしすぎないで、短くしたくないなど
- ライフスタイルや悩み…子供がいるのでヘアケアの時間がない、職業柄カラーはNG、普段はまとめ髪のことが多い、スポーツが好きなど
- 美容師の立場から提案したいこと…デザインや施術方法、ケア方法など
とても多くの情報が得られるカウンセリングですが、進め方によってはお客様も回答しにくいことがあります。たとえば、いきなり「髪の悩みはなんですか?」と聞かれてもうまく回答できないかもしれません。
そこで、カルテの記入用紙にアンケートを設け、回答を選択してもらうようにしておきます。これを元にカウンセリングすれば、お客様とも話がしやすくなり、希望や悩みを把握しやすくなります。
施術内容を詳しく記載する
施術内容をカルテに記載しておくことは基本です。デザインや部位ごとにどうカットしたのか、使用した薬剤や調合の仕方、薬剤を塗布してからおいた時間、施術中に悩んだことや反省点、将来的なデザインの計画などを記載しておきます。
お客様によっては、「この間みたいにしてほしい」といったことを希望されることもあります。そのような時、「どういう内容だったっけ?」とならないようにしましょう。
また、そのお客様を次も同じ美容師が担当するとは限りません。もしも他の美容師が担当することになったとしても、お客様としては前回までの施術内容も分かっていてほしいと思うことは当たり前です。お店としてお客様の施術内容を把握しておくことができるよう、誰が見ても分かるような書き方で、詳しい施術内容を記載するよう心がけましょう。
アフターカウンセリングの内容も重要
お客様にリピートしていただくためには、不満を感じたままにせず解決してからお帰りいただくことが大切です。そこで、アフターカウンセリングをしっかりと行い、その内容をカルテに記載しておくようにしましょう。
アフターカウンセリングは、施術やスタイリングの最中に会話を通じて行います。具体的な内容は、次のようなものです。
- 今回の施術内容
- 使用した薬剤やスタイリング剤など
- 自宅でのヘアスタイルの再現方法
- ヘアスタイルや髪の悩みにあったヘアケア方法
- 時間の経過によるヘアスタイルの変化(伸び方やカラーの退色など)
- 今後のヘアデザインの提案
- 次回の予約時期の提案
また、アフターカウンセリングを行ったときのお客様の反応なども記載しておきます。たとえば、今後のヘアデザインの提案に興味があるようなら、次回来店時にもスムーズに「本日の提案」をすることができます。
お客様が美容室に求めていることも書き留めよう
お客様が美容室にいらっしゃるのは、何かしらの髪の悩みを持っているからですが、その悩みは千差万別です。また、美容室に求めていることもあれば、求めていないこともあります。そうしたニーズが理解できていないと、「静かに過ごしたい人にたくさん話しかけてしまう」といった接客のミスマッチが起こってしまいます。
お客様のニーズを理解するためには、適切な問いかけが有効です。次のような質問はお客様の本心を理解しやすいので、上手に活用して分かったことをカルテに書き留めておくとよいでしょう。
- 美容室を変えたきっかけや理由(なぜ前の美容室に行かなくなったのかなど)
- 美容室を選ぶ基準(メニュー内容、料金、雰囲気、接客など)
- 美容室ではどのように過ごしたいか(静かに過ごしたい、仕事をしながらなど)
まとめ
美容室のカルテは、お客様の悩みや希望を理解して、適切な接客や提案をするために活用するものです。お客様のニーズを理解するための書き方や項目、質問内容などを工夫しましょう。
カルテがあることで、担当者がいなくなってもスムーズに引き継ぎができればお店の信頼感が高まりますし、カルテの情報を元にお客様が感動するような接客や施術を提供することができれば、リピート率アップにもつなげることができます。しっかりカルテを活用していきましょう。
