美容室のオープンを控えたオーナーがもっとも気になるのは集客の問題ではないでしょうか。競合の多い美容室業界では、顧客の獲得方法が生き残るためのポイントです。
美容室のオープンまでにはさまざまなやるべき取り組みがあります。オープンの準備が整ったら、まず着手したいのが集客です。本記事では、オープン前に対策する集客の重要性を解説したうえで、具体的な集客対策方法を紹介します。
オープン前の集客は欠かせない

美容室のオープン前に集客が欠かせない理由に、競合が多いことが挙げられます。
厚生労働省が公表した生活衛生関係施設数の統計では、2018年の年度末時点で全国の美容室は25万軒以上、その数は年々増加傾向にあるのです。この数字は、全国のコンビニエンスストアの5倍近くといわれています。
しかし、すべての美容室が繁盛しているとはいえません。2018年に厚生労働省が公表した『美容業の実態と経営改善の方策』によれば、1店舗あたりの1日平均来客数は、平日休日ともに0~4人がもっとも高い割合です。これは、前回調査した2010年時よりも割合が増加しています。
2010年調査時の平日来店数が0〜4人と回答した美容室の割合は42.1%でした。それが、2018年では56.7%と上昇しているのです。年々増加傾向にある美容室数に対し、1店舗あたりの来店者数は下降傾向にあります。
これらのデータからも、美容室業界はいかに競争が激しく、集客が重要なのかがわかります。オープン前の集客は欠かせないので、しっかりと準備しましょう。
オープン前から始めたい集客の取り組み

ここでは、オープン前から効率的に行える具体的な集客への取り組みを6つ紹介します。
広告で使う写真素材を集める
まずは、お店のホームページやブログ、外部の美容室掲載サイトなどへ載せる写真素材を集めましょう。具体的に準備すべき写真は、施術前後のイメージがビフォーアフターでわかるヘアスタイル写真です。
ヘアスタイルのカタログ写真は、どこの美容室でもそれなりの枚数を準備しています。しかし、施術前後をイメージしやすいお客様の写真を多く準備している美容室は多くありません。ほかの美容室と差別化を図り、集客につなげるためにも、お客様の写真素材は重要です。
しかし、オープン前なのでお客様の写真は準備できません。そのため、オープンが決まったらできるだけ早い段階からモデルやプロカメラマンへ依頼し、写真素材集めを始めましょう。
広告に載せる写真は、美容室にとってとても重要な写真になります。ここでは、手間やコストをかけて力を入れて準備しましょう。
チラシを配布する
チラシを配布することも大切な集客活動です。チラシによる効果は、近所の人に新しく美容室がオープンするのを認知してもらえることです。しかし、ただ配るだけではなく、配り方やタイミングを考えたり、内容を工夫したりするなどして配布するようにしましょう。
配り方は、ポスティング、新聞折込、フリーペーパーの折込、街頭などで手配りなどの方法があります。より多くの人へ簡単に周知できるのは新聞折込ですが、チラシ配りのポイントになるのはターゲット層の選定と地域性です。
例えば、学生街など若者の一人暮らし層が多い地域では新聞を購読している人は少ない傾向にあります。しかし、住宅街では新聞の購読率も比較的高く主婦層などへアプローチ可能です。このように、店舗の立地に合わせてターゲット層を意識した配り方がポイントになります。
チラシは一度配ればすぐに集客につながるものではありません。オープン前やプレオープン前、オープン時、オープン後などのタイミングで、違った内容のチラシを配ることが効果的です。
- オープン前やプレオープン前のチラシ内容例
店舗代表やオーナーの挨拶や自己紹介、オープンキャンペーンの案内、プレオープンへの招待 - オープン時のチラシ内容例
新規オープンの案内、オープンキャンペーンの案内、美容室のコンセプト紹介 - オープン後のチラシ内容例
オープンキャンペーンの案内、来店感謝キャンペーンの案内など
オープンキャンペーンは、例えばオープンした月は3割引、2カ月目は2割引、3カ月目は1割引などのクーポンをチラシに盛り込むなども効果的です。また、その後も来店感謝キャンペーンなど、特定のメニューやオプションに絞り、割引やサービスを行うのも来客につながるでしょう。
また、チラシには住所や電話番号、店舗の地図など以外にも、ブログやホームページ、SNSなどの情報を載せ、誘導できるようにするのもおすすめです。


お店のブログを作る
ブログは美容室のオープンが決まってすぐに作ることで、オープン前から情報発信することができます。お店の存在を周知でき、効率的な集客へつなげられるのでおすすめです。
ブログは、まず以下のような内容を盛り込みましょう。
- 美容室の名前とロゴ
- お店の代表者のプロフィールや挨拶
- 連絡先
- 美容室をオープンさせる場所
- 美容室のオープン日
初めは挨拶や自己紹介、オープンしますという告知だけでもかまいません。ブログは、後から書き直すことができるので、詳細が決まり次第、情報をつけ加えていくことも可能です。
また、ブログを書く前に美容室の名前を決めておくと書きやすくなり、ロゴもイメージしやすくなります。
集客に大切なのは早めにお店の予告をしておくことです。オープン前からブログを作ることは、早めの予告につながり集客に有用な方法といえます。

お店のホームページを作る
お店のホームページを作ることも集客につながります。ホームページ作りで重要なのは、美容室の雰囲気やスタッフの情報がわかるように作ることです。
ホームページは、ブログのように頻繁に更新する必要はありません。例えば、新スタッフの紹介や料金変更など、お店に大きな動きがあったときだけの更新で十分です。しかしその分、しっかりと作り込まれている必要があります。
また、オープンしたての美容室のホームページでは、検索エンジンなどからの流入はあまり期待できません。そのためホームページを、ブログやSNSとリンクしたり、チラシや名刺に載せたりと工夫しましょう。

SNSを活用する
InstagramやFacebook、TwitterやLINEなど、SNSを活用した集客も行いましょう。SNSでは、店舗の雰囲気やお得情報などリアルタイムに発信できます。
例えばお客様の許可を取り、施術後のヘアスタイルを投稿すれば、ヘアスタイルカタログでは伝わらない、リアルなヘアスタイルの魅力が伝えられるでしょう。
またSNSは、ブログやホームページへユーザーを流入させるツールとしても重要です。そのため、前章でも紹介したように、ブログやホームページとリンクさせて運用しましょう。

レセプションパーティーを行う
レセプションパーティーとは、オープン直前のお披露目パーティーのようなイベントです。
オープン前に行う見学レセプションの目的は、お客様となり得る人たちに実際の店舗の雰囲気を感じてもらうことです。業界関係者や前に勤めていた時の顧客などさまざまな人を招致することで、新しくオープンするお店のコンセプトやサービスを知ってもらうことができます。
レセプションパーティーの内容が良ければ、口コミなどで宣伝効果が見込めるのでオープン前には必須のイベントです。
また、レセプションパーティーに来てくれた人に名刺や粗品を渡し名前を覚えてもらうこともできます。来てくれた人に名前と住所を記入してもらえれば、オープン時に案内状も送れるなど、さまざまな集客効果を見込めるのです。
まとめ
年々増え続けている美容室ですが、1店舗あたりの顧客数は減少傾向にあります。そのため、これから美容室をオープンさせるには、オープン前の集客活動が重要になります。
美容室のオープンが決定したら、「地域によるターゲット層の選定」「効率的なチラシによる宣伝方法」「ブログやホームページ、SNSを活かした周知活動」「レセプションパーティー」など、計画的な集客活動でオープンに備えましょう。
