美容室での集客で大切な役割である口コミ。新規のお客様にとっては美容室選びのきっかけとなると同時に、固定客にとっても美容室の現状をチェックするためのツールとして活用されています。予約サイトや検索エンジン経由での口コミも増えており、美容室の評判の「見える化」が進みつつある傾向です。
今回は、美容室の口コミの増やし方や口コミの返信例を紹介します。悪い口コミを書かれた場合の対応方法も前もって確認しておけば安心です。
口コミは美容室の集客に重要! カットメニュー以外の情報も求めている

お客様が美容室を選ぶ時は施術メニューや値段だけでなく、利用した人の感想も参考にしています。そのため、口コミは美容室の集客ツールとして重要な役割を果たしているのです。
口コミは美容室の認知、人気店のきっかけになる
美容室の認知経路はフリーペーパーやチラシ、街頭でお店を見かけたなどさまざまですが、近年では口コミによる認知が圧倒的多数です。現に、女性・男性とも美容室利用者の6割が、現在利用している美容室を口コミで知ったと回答しています(出典:株式会社リクルートライフスタイル『ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2020年上期』)。
予約サイトや口コミサイトで美容室の口コミをチェックする人も多いですが、友人・知人との会話で美容室が話題に上がるケースも少なくありません。ヘアスタイルの変化をきっかけに「どこの美容室に行ったの?」という会話につながり、美容室を紹介してもらったという人もいるようです。
美容室を選ぶきっかけにもなる
利用する美容室を選ぶ情報として、自宅からの近さやリーズナブルな料金に並んで口コミが重要視されている傾向です。
女性では20代・30代がネットの口コミが良いことを最も重要視しているのに対し、20代・15歳〜19歳の男性では友人・知人の口コミが良いことを最も重要視しています(出典:株式会社リクルートライフスタイル『ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2020年上期』)。
口コミでは施術後の仕上がりをはじめ、美容室の雰囲気や接客態度などがお客様の実体験をもとに記載・表現されています。そのため、美容室が発信している情報よりも具体性に富んでおり、美容室選びのきっかけにつながっているのが口コミの特徴です。

口コミを増やすための方法

口コミの投稿数が増えると、お客様にはさまざまな視点から美容院を比較・検討できるようになり、美容院にとっても低コストで集客アップが実現します。口コミを増やすために、お客様へ投稿をお願いするアプローチ方法について考えてみましょう。
お客様に口コミサイトへの投稿を促す
会計の際に、口コミを書いてもらえるようお客様に直接お願いすると印象に残り、早期の投稿につながりやすいです。ポップやチラシを設置して、サービス向上のために口コミを大切にしているとアピールしても良いでしょう。予約サイトなどへの投稿数には反映されませんが、友人・知人紹介用のカードを用意しておけば、回収できたカードの枚数(反響数)が口コミの数と推定することもできます。
予約サイトやお店の公式LINE・メルマガを通じて口コミ投稿を依頼するのも効果的です。予約サイトのメッセージ機能を使って、来店のお礼メッセージと共に口コミの投稿をお願いする方法もあります。後述する方法でインセンティブを提供する場合は、キャンペーン期間や投稿の〆切日を設定すると、心理学の「締め切り効果」によって投稿数アップにつながるでしょう。
口コミを書くインセンティブを作る
口コミ投稿の依頼にお客様が応じてくれたとしても、対価がなければ投稿に結びつかないのが現状です。オプションメニューの無料提供やアップグレード、施術料金の割引といったクーポンをインセンティブとして提供すると、投稿数のアップにつながります。口コミを集めるためのインセンティブの提供を禁止する口コミサイトもあるため、あらかじめ利用規約を確認するようにしましょう。
紹介カードを利用する場合は、紹介した人・された人双方にインセンティブを提供すると、固定客アップにもつながるでしょう。

悪い口コミを書かれた場合の対応

時には、悪い口コミを書かれてしまうこともあります。美容室やスタイリストの言い分があるとしても、対応を間違えると炎上やお店のイメージ低下といった別のトラブルを引き起こしてしまいます。お客様の立場に立ちながらも、冷静な対応が大切です。
口コミは基本的に削除できない
お客様から予約サイト・口コミサイトに投稿された口コミは、美容室側で内容の編集・削除ができません。
虚偽の書き込みのように、明らかに不適切な内容であればサイト運営者に削除を依頼できますが、口コミが「お客様個人の感想」という位置付けなので削除依頼に応じないことも考えられます。口コミが削除された場合は、投稿したお客様の印象を損ねる懸念もあります。
したがって、お客様からの悪い口コミを美容室として真摯に受け止め、次回以降の接客につなげるのが賢明です。口コミの投稿数を増やし続けて、悪い口コミを目立ちにくくする方法もあります。
悪い口コミも無視せず返信する
普段から丁寧な対応を実践していても、お客様の好みや感じ方はさまざまなので悪い口コミやクレームは必ず発生します。
良い口コミには返信する一方で悪い口コミを無視すると、都合の悪い意見には耳を傾けない美容室だという印象を与えてしまいます。口コミの総数が多いほど、返信されない内容に関する傾向が浮き彫りになりがちです。その結果、口コミを投稿してくれたお客様だけでなく、固定客も失う恐れもあります。
悪い口コミにも必ず返信し、誠実な謝罪とともに再発防止策を明確に示すことが長期的な集客戦略から考えると得策といえます。
改善できる点がないか振り返る
お客様が今後のサービス改善を期待して、悪い口コミを投稿したという考え方もできます。ただし、悪評の拡散や周囲への注意喚起を目的とした投稿の可能性がある点には留意が必要です。
トランスコスモス社が発表した、「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」 によると、購入した商品やサービスへの不満を直接伝える人の割合は54%でした。不満に対する対応が迅速で、満足いく結果が得られた場合には92%の割合でリピート行動につながります。一方、不満を伝えない人(サイレントマジョリティー)のリピート率は24%と低めです。
したがって、悪い口コミが投稿された場合には早急に改善策を考えて、該当のお客様が満足できる対応を行えば高確率で固定客化につながるといえます。さまざまなお客様の意見を取り入れながら、日頃から問題なく提供できているサービスでも内容を振り返ることが大切です。

口コミへの返信例

お客様からの口コミにスピーディーな返信を心がけることが、美容室の評判を高めます。コミュニケーションの一環として、定型的な文面を使う場合でもお客様への個別メッセージを含めるようにしましょう。良い口コミ・悪い口コミそれぞれの返信例を紹介します。
良い口コミに対する返信例
良い口コミに対してはお礼の気持ちとともに個人的なエピソードを加えると、お客様一人ひとりを大切する美容室だと印象付けることができます。評価を受けた施術や店販商品のアピールを加えるのも効果的です。口コミに顔文字が入っていれば、返信にも顔文字を入れるとよいでしょう。
思い通りのスタイルに仕上げてくれて、気分が上がりました! 美容師さんとのお話も楽しかったし、シャンプーも気持ちよかったのでまた来ようと思ってます。今回も居心地の良い空間をありがとうございました!
【お客様名】様、先日はご来店いただきありがとうございました。
口コミへご投稿いただきまして、ありがとうございます!
今回はスッキリとしたショートボブにこだわってみました。
気分が上がったと聞き、私自身もうれしくなりました。
当店では3種類のシャンプーからお好みの香りを選んでいただけます。
次回は○○の香りはいかがでしょうか?
何かありましたら相談してくださいね。
またのご来店、心よりお待ちしております!
【担当の美容師名】
悪い口コミに対する返信例
悪い口コミに対しては、感情を害したことへのお詫びの気持ちを伝えた上で、指摘を受けた内容への対応策を返信するようにします。美容室としての言い分がある場合でも、見込み客への印象を考えると返信での反論を避けるのが無難です。
自宅に帰って鏡を見ると、お願いしたよりも明るいカラーの仕上がりでびっくりしました。やり直してほしくて電話しましたが受け答えが悪かったので、今回は我慢します。前回の仕上がりがキレイだっただけにとっても残念です。
【お客様名】様、この度は【美容室名】をご利用いただき誠にありがとうございます。
お忙しいところ貴重な口コミ投稿ありがとうございます。
この度はカラーの仕上がりと接客対応でご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。
今後このようなことがないよう、また【お客様名】様のご期待に添えるよう、技術の見直しや接客面の向上に取り組んでまいります。
【お客様名】様のまたのご来店を、スタッフ一同心よりお待ちいたしております。
【美容室名】

まとめ
お客様の生の声である口コミは美容室にとって大切な集客ツールであると同時に、サービス内容の見直しのきっかけとなる重要な情報源となります。口コミの数が増えれば、美容室選びの決め手となる情報をより多くお客様に提供できるため、来店客には積極的に口コミの投稿をお願いしてみましょう。
口コミの内容が悪かったとしても、返信を通じて誠実な謝罪を行って今後の対応を提案することで、次回の来店につなげられるでしょう。既存客のリピート化にも、口コミは有用なツールです。



