「美容室を開くとき、銀行から融資を受けやすくしたい」
「美容室を開業する際にきちんとした手順でやりたい」
そんな美容室開業の悩みを持っている方もおられるのではないでしょうか? 今回は、銀行が応援したくなるような美容室の開業手順について、基本知識から全体の流れ、注意点までご紹介します。
開業資金を確保するためには銀行からの融資が必要?
もし、美容室を開業したいと考えているのであれば、まずクリアすべき大きな壁として資金の問題があるはずです。美容室を開くには多額の費用がかかり、全額が賄えるほど貯蓄をしてから始めるというのはあまり現実的ではありません。
そのため銀行や公庫(日本政策金融公庫)から融資を受けて開業に動き出すことがほとんどです。銀行や公庫から融資を受けるには、充実した事業計画を提出する必要がありますので、きちんとした開業プランの立て方を知っておきましょう。

美容室は廃業が多い! しっかりした計画が分かれ道
美容室は店舗の入れ替わりが激しく、オープン後、短期間で廃業してしまう店舗も多いため、融資をする側も当然慎重になります。一説には新しくできたサロン全体の50~60%は、1年以内に閉店してしまうとも言われています。サロンが生き残るためにはなによりもしっかりとした資金計画と開業計画が必要です。1年後、3年後、10年後を見通した開業計画を立てておきましょう。

銀行が応援したくなる! 美容室の開業手順と流れを解説

銀行から融資を受けて美容室を開業するには、しっかりと手順を踏んで取り組む必要があります。下記のように順序立てて準備すると良いでしょう。
- 資金を準備する
- 美容室のコンセプトを考える
- 事業計画を策定する
- 出店地を決める
- 物件を申し込む
- 店内のレイアウトを決め、内装工事をする
- 必要な備品を揃える
- 各媒体で宣伝、集客準備をする
- 賠償保険に加入する
- 保健所の営業許可を得る
ここからは、それぞれの項目について詳しく解説していきます。
1. 資金を準備する

サロンや美容室を開業するための資金は、条件によって異なりますが1,000万程度とされています。その後も継続して営業するにはさらに多くの資金が必要となるので、働きながら開業の準備資金を貯めていくだけでは正直厳しいと言えるでしょう。
そのため先に述べたように、銀行や公庫などの金融機関から融資も受ける必要が出てきます。政府や地方自治体の補助金や助成金を併用するのもテクニックのひとつです。ただし補助金や助成金は後払いとなるので、先に受け取って開業のための資金源にするという用途には難しいでしょう。自身の貯蓄状況も考慮して、資金面をどうするかの問題に取り組むのがベターです。
2. 美容室のコンセプトを考える

開業してから人気の取れる美容室を作っていくためには、お店のコンセプトをはっきりと決める必要があります。客層、雰囲気、得意とするメニューなど十分に考えていくことで、よりレベルの高い美容室を目指せるでしょう。
ここでコンセプト作りをしっかりとしないと、独自性の弱い美容室になってしまうので要注意です。長く生き残れる美容室になるためにも、コンセプト作りは確実に行い、他店舗との差別化を図りましょう。

3. 事業計画を策定する
前述した通り、開業準備においてスムーズに融資を受けるためには事業計画の作成が特に重要です。審査の際は、事業計画をまとめた「事業計画書」を金融機関に提出する必要があります。銀行や金融機関の融資を確実に受けるためには、担当者を納得させる事業計画の作成が必要不可欠なのです。
中でも
- 経営者の略歴等
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
- サロン経営を存続させるための収支シミュレーション
等の項目は特に正確かつ丁寧に記入する必要があります。

4. 出店地を決める

美容室やサロンの開業において、立地はものすごく大切な要素になります。というのも、立地条件が客層や売上に直接影響してくるからです。そのため出店地を決めるときは入念な分析をする必要があります。
出店地を決める場合は、あらかじめ決めたコンセプトに沿って分析していきましょう。たとえば20代女性をメインターゲットにした美容室を開きたいのであれば、若い人が集まりやすい土地に出店する必要があります。コンセプトとズレがないように出店地を決めることで、より効果的な集客や人気獲得が望めるはずです。
5. 物件を申し込む

出店地を決めたら、次は具体的な物件を探しましょう。以前にサロンや美容室で使われていた、いわゆる「居抜き物件」だと内装工事や設備の購入費が抑えられ、比較的安価で済みます。ただし居抜き物件では、設備を譲り受ける際の「造作譲渡料」が発生したりする場合もあるので注意です。
一方で、設備や内装がなく、比較的自由に設計デザインができる「スケルトン物件」もおすすめです。しかし、こちらは居抜き物件よりも自由度が高い代わりに、工事の費用が多くかかります。ご自身の資金状況などと照らし合わせて決めましょう。
6. 店内のレイアウトを決め、内装工事をする

出店地や物件を押さえた後は、美容室自体のレイアウトを決めましょう。設計会社などと相談して、どのようなレイアウトにするか綿密に打ち合わせます。シャワー台や席の台数の調整など、決めるべきことは多く存在します。
内装工事をするなら価格だけで選ぶのではなく、美容室をてがけた実績のある設計会社に依頼しましょう。そうすることで、よりイメージに近く、使いやすい美容室が出来上がるはずです。施工会社選びについても、複数の会社から見積もりをとり、適正価格で施工してもらうようにしましょう。

7. 必要な備品を揃える

美容室を開業して運営するためには、きちんと備品を揃える必要があります。具体的には、次のリストのような備品が挙げられます。
- レジ
- 施術に使用する道具(ハサミ、ドライヤー、パーマ台など)
- 固定電話
- 雑誌
- インターネット回線
- ウォーターサーバー
- 防犯カメラ
あれもこれもと挙げていけばキリがありませんが、しっかりとご自身の美容室に必要なものは揃えておいてください。
8. 各媒体で宣伝、集客準備をする

ある程度の準備が整ったのであれば、いろいろな媒体で集客準備をすることが大切です。チラシやDMなどのアナログ媒体、自社サイトや美容系ポータルサイトなどのWeb媒体で積極的に宣伝しましょう。
また、スマートフォンの普及によりTwitter、InstagramといったSNSでの宣伝も効果的です。少しでも新規顧客を獲得できるように、SNSで宣伝を重ねていきましょう。オープン記念のクーポンやお得情報を発信すれば、きっと喜ばれますよ。
9. 賠償保険に加入する

美容室を開業する前に、きちんと賠償保険に加入しておきましょう。というのも、美容室では少なからず施術中にトラブルが発生することがあるからです。
- カラー、パーマ剤が服にこぼれて変色させてしまった
- カット中に耳などを切ってケガをさせてしまった
- 預かっていた荷物を紛失してしまった
- シャンプーやパーマ剤などで皮膚のアレルギーを引き起こしてしまった
お客様に対して上記のようなトラブルが起きた場合に備え、開業前には忘れず賠償保険に加入しておきましょう。

10. 保健所の営業許可を得る

店舗の準備が整ってきて、開業まで近づいたら保健所から営業許可をもらわなければなりません。美容室内の設備など必要箇所のチェックを受け、保健所の基準を満たしているか確認してもらいましょう。
また、保健所の手続きの際には下記の書類を準備します。
- 開設届
- 美容室の設備の概要
- 施設平面図
- 従業員一覧
- 医師による診断書
- 登記簿謄本(法人の場合)
書類に不備があると、開業における審査が通らない可能性もあるので十分に注意しましょう。
まとめ
最後に本記事の内容をまとめます。
- 美容室を開業するためには、まずは資金面を解決するのが第一
- きちんとした開業手順を踏み、可能であれば銀行や公庫から融資を受けられるようにする
- スムーズに融資を受けるためには事業計画書の作成が必要
- 開業には多くの準備が必要なので、抜けがないようにする
より入念に開業準備をすることで、その後の美容室の成功につなげられます。ぜひ、美容室の開業をお考えの方は今回の記事を参考にしてみてください!



