電子書籍読み放題サービス「ビューン読み放題タブレット」で配信中の作品から、『水のサフィール』のコミックレビューをお送りします。
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みなさんは占いに興味がありますか?
いい時は信じて悪い時は聞き流すくらいがちょうどだと思いますが、女性は特に恋愛で追い詰められたとき、どうしても占いなどにすがってしまいがちなもの。それだけで少しは気持ちが軽くなりますしね。
さて、今回ご紹介する『水のサフィール』は、占いとコーヒーの店「アストリア」が舞台。「ラピスラズリ」の名で占い師をしているミステリアスな美女・瑠璃を中心にした、5つの短編が紡ぐ連作集です。表題作では瑠璃がメインキャラクターを務めますが、他の4編は瑠璃を介した女性たちが、愛する男性と幸せになるために、さまざまな手段で愛にいざなう物語となっています。
「水のサフィール」とはウォータサファイアのフランス語名で、女性の願いを叶える石と言われているとか。瑠璃はこの石に特別な彫刻をして大切に持っています。希望する客には普通のウォータサファイアを高額で売り、占い師以外の謎めいた依頼も受けているのが本作のひとつのポイント。
他に、自由恋愛を描く『琥珀色の女』、浮気男とセフレ女の執念を描く『もっと・つよく・抱きしめて』、おっとりした老婆が主役の『ピンクの未亡人』、無意識に男性を不幸にする『天使にはなれない』が収録されています。
個人的に好みなのは『ピンクの未亡人』です。お金持ちの後妻の未亡人と使用人が、亡くなった夫の若い頃にそっくりな訪問販売員に巨額の金でさまざまな「お願い事」を叶えてもらうお話なのですが、読後のゾクッとした感じが忘れられません。老後の退屈しのぎというにはちょっと怖いですが、ページをめくる手が止まりませんでした。
また『天使にはなれない』は若い女性が主人公ですが、天使のような見た目で男性を不幸にする、悪女のお手本と言ってもいい魔性におののいてしまいます。現実にもいますよね、カワイイのに無自覚で周囲を不幸にする女性って……。「美しいバラには棘がある」という言葉を思い出しました。
あくまで女性は真剣に男性を愛しているのですが、どこかで歯車が狂ってしまい、男性を不幸にしてしまったり、恐ろしい手段を実行してしまったり──ミステリアスな作品なので、女性の笑みの裏側に何が隠されているのかが気になります。
男性は女性に隙があれば肉体目当てで近づいたり、都合よく利用しようとするイメージがあります。しかし本作を読めば、女性の裏の顔や心の底のほうがよっぽど複雑で恐ろしいと感じるかも? 女の性(さが)をあぶり出すような作品たちに、心を奪われてしまいそうになります。
ここに登場するキャラクターで、あなたに思い当たる女性はいませんか?
・作者:小林紗斗子
・出版社:オフィス漫
・刊行状況:全1巻
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