世間から見ると、美容師という職業は「オシャレな人たちである」という印象が強いです。お客様に髪型を提供する際、顔かたちから似合うかどうかだけではなく、ファッションを含めさまざまな角度からお客様を分析した上で髪型の提案させていただきます。そのため、常にファッションの勉強もしている美容師は多くいるでしょう。
しかしサロンに立つことに慣れてくると「ファッションに少し手を抜いてしまう」という人も多いようですが、実はファッションがあなたの指名率に少なからず関わっていることをご存じでしたか? そこで今回は現役美容師のponがあなたの指名率を上げるために「ファッションで気をつけること」について解説します。
ファッションに気を使っている美容師は指名率が高い!?
みなさんはおしゃれなお店に行った際にどんなことに目を向けるでしょうか? お店の雰囲気や接客対応、店員さんの所作やサービス内容などさまざまな箇所を見てしまうでしょう。そして気にかけてしまうことの1つに店員さんの「外見」があります。
外見と言っても美醜の話ではありません。私の場合は「ファッションはおしゃれなのか」「服装に清潔感があるか」「おしゃれで似合う髪型なのか」について確認してしまうことが多いです。みなさんも心当たりはありませんか?
実はこの心理は美容室でも同じことが言えます。つまり自分のお客様でなくても、美容室に来店する方は「美容師の外見」を見ているということ。だから気をつけなければいけません。「おしゃれでファッションが似合っている美容師」は雰囲気だけで指名を多くとることができます。なぜなら、ファッションに気を使っている美容師は「流行がわかっていそう」「丁寧な施術をしてくれそう」「頼りがいがある」といったイメージにつながるからです。
美容師がファッションで気をつけること
ファッションが美容師の指名率に関わってくることをおわかりいただけたと思います。しかし、美容師は美容室が職場であるため、いつの間にかこの空間に慣れてしまいがちです。でもお客様のほとんどは「美容室に行くことは特別なこと」という認識で来店されています
技術への満足度はもちろん重要ですが、「美容室の空間」「美容師の接客」「美容師の人柄」など、さまざまな部分を見ているお客様が非常に多いです。その中の1つが「美容師のファッション」であるため、お客様の心をつかめるくらいとても重要なものなのだという意識を持ちましょう。
そうは言っても美容室で働いている以上、適当な服装で勤務している人はほとんどいないと思いますし、まったく何も考えずに服を選んでいる人もいないでしょう。では、指名につなげるファッションにするために、さらにみなさんが気をつけるポイントは何があるのでしょうか? 4つの項目に分けて解説します。
1.清潔感
1つ目は「清潔感」です。何から変えたらいいのかわからない人は、まず清潔感を意識したファッションを取り入れてみましょう。「服にカラー剤が付いている」「シャツがシワシワになっている」「セーターに毛玉がたくさん付いている」「よれよれの服を着ている」などというファッションでは清潔感があるとは言えません。「カラー剤が付いた服は洗う」「シャツのシワはアイロンをかける」「セーターはクリーニングに出す」「よれよれの服は捨てる」など、服自体をきれいに保つように意識するといいでしょう。
2.作業のしやすさ
2つ目は「作業のしやすさ」です。美容師は立ちっぱなしですし、体を動かす仕事なので作業しやすいファッションのほうが効率がいいです。以前、同僚が「袖が大ぶりのフリルのファッションで出勤したら、お客様のシャンプーがやりづらかった」ということがありました。フリルがシャンプーの邪魔をしてしまい、とても気になったようです。
このように施術以外で気になることがあると集中できませんし、お客様にも失礼です。そうならないためにも「作業のしやすさ」で選ぶファッションが大切なのです。「袖周りが邪魔にならない服にする」「歩きやすい靴を選ぶ」「重ね着しすぎない」など、対策できることはたくさんあるので意識してみましょう。
3.流行を取り入れる
3つ目は「流行を取り入れる」ということです。世間の人から見た美容師は「おしゃれに敏感」「流行りの情報を知っている」「常に流行を追っていそう」というイメージがあり、美容室に行けば流行やトレンドがわかると思っている人も多くいます。
そのため美容師がどんな服を着ているか気になるお客様もいるでしょう。そのような方は「おしゃれな美容師に切ってもらいたい」「流行をわかっている人に切ってもらいたい」という心情になりやすいので、流行を取り入れた服装にすることで指名につながると言えるでしょう。
4.美容室の雰囲気に合わせる
4つ目は「美容室の雰囲気に合わせる」ということです。美容室の雰囲気に合わせた服装を意識することで、空間とマッチしやすく、悪目立ちせずに自然な雰囲気を出してくれるので、服装を選ぶときに意識するといいでしょう。
たとえば「自然でナチュラルな雰囲気の美容室」にロックバンドのようなパンクな服装を着ていたらどうでしょうか? きっとその人だけ浮いて見えてしまいますし、「自分の個性を貫いているんだな」という印象を持たれてしまいます。そうすると「自分の希望の髪型にしてくれるのか不安だ」と感じるお客様もおり、あまりいい印象は持たれないでしょう。だから、店の雰囲気に合わせて服装を選ぶことは重要なことなのです。
憧れを持たれるヘアスタイルで顧客の心をつかもう
ファッションだけではなく「自分のヘアスタイル」も重要です。美容師がおしゃれな髪型をしているだけで、お客様は「この美容師さんはセンスがありそうだな」と感じるので、センスのあるヘアスタイルやスタイリングを意識しましょう。
また女性であればいろいろなアレンジを試してみることも大切です。お客様は「自分の髪をアレンジしたいけどできない」という方が非常に多いため、美容室に来店した際には女性美容師のヘアアレンジを目で追ってしまう方が多いです。そこで、おしゃれなアレンジをしているあなたがでお客様の目に留まることで、存在をお客様に認識してもらうことができます。
ファッション選びに迷ったら参考にすべきもの
美容師のファッションが大切であることがわかりましたが、実際に服装を選ぶときに「自分の判断だと心配」と感じる方もいると思います。確かに自分で選ぶファッションだと好きなテイストに偏りがちですし、色も今までと同じようなものを選択してしまう可能性があります。そんな時におすすめなのが「ファッション誌」と「人気美容師のSNS」です。では、この2つを見るときに「どのような点を参考にしているのか」をご紹介します。
ファッション誌
ファッション誌は最新のトレンドを掲載しているので、参考にしている美容師は多くいます。その際にポイントにしている点は2つ。「自分がいつも読まないような雑誌を読む」「このスタイリングの何がいいのかを自分なりに分析する」ということです。
みなさんがいつも読んでいる雑誌を見ても、新しい発見に結びつきにくく参考になりにくいので、いつも読まないような雑誌を選んで読んでみましょう。また掲載のスタイリングが自分なりに何がおしゃれなのか分析してみると「色使い」「全体のバランス」「ヘアとのバランス」など、さまざまな発見があると思います。それを参考にしながら実際に購入すると、よりおしゃれな雰囲気に近づくでしょう。
人気美容師のSNS
最近ではSNSを通して自身の情報を発信している美容師が多くいて、ファッションチェックもできるのでぜひ活用してみましょう。その際に見るべきポイントは、その人が「何を基準としてその服装を選んでいるのか」「どのショップの服を選んでいるのか」という点です。
SNSで発信している美容師の多くは、洋服のブランドをタグ付けしていることが多いので、そのショップのサイトも覗いてみましょう。どんなショップなのか認知することで、服装のテイストに幅が広がります。また「今日はこのバランスを重視しました」など、何をポイントにその服を選んだのかを書いている美容師も多いので、ここもチェックしておくとあなたが服を選ぶ際の指標となります。
まとめ
美容師はおしゃれな人の集まりという認識が世の中にはありますが、実際におしゃれなファッションを毎日選ぶというのは大変ですよね。しかし少し努力したり、今までのファッションに変化を取り入れるだけで、お客様があなたに持つ印象はぐっとと変わり、それが指名率につながることもあります。それくらいファッションは重要なものだという意識をまずは持ちましょう。
ポイントは「清潔感」「作業のしやすさ」「流行を取り入れる」「美容室の雰囲気に合わせる」ということ。これらを意識しながら新しい自分の発見を楽しみつつ、おしゃれな服装を取り入れてみてはいかがでしょうか?