美容室経営者の皆さんは売上をアップするために、新規顧客の獲得が必須だと思っていませんか? たしかに集客は重要なテーマですが、新規顧客を獲得するまでには宣伝費など費用や労力がかかります。そこで今回は、お客様の数を増やさなくても売上を2倍にするにはどうすればいいのか、具体的な数字も示しながらご紹介していきます。
マーケティングの基礎について
売上に関わる要素は3つ
売上には「客数」「単価」「利用(購入)回数」の3つの要素が関係しています。この3つを使って、売り上げの仕組みを方程式として表すことができます。
【売上方程式】
客数×顧客単価×利用回数=売上
例をあげると、客数が150人、単価を10,000円として、1年間のトータルの利用回数が3回だとすると、1年で得られる売上は、「150×10,000×3=4,500,000円」になることがわかります。
売上の仕組み
売上方程式の3要素のうち、どれか1つを多くすれば売上を伸ばすことができるのは当然ですよね。ですが、ここではすべての要素を少しずつ多くするだけでも、結果は同じになるということが非常に重要です。
わかりやすいように、売上を2倍にするために客数を2倍(300人)にした例を見てみましょう。
「300×10,000×3=9,000,000円」
次に、客数2倍ではなく、全体的に25%ずつ多くしてみた場合で見てみます。
「188×12,500×3.75=8,812,500」
両方とも約2倍の売上を出すことができました。
この結果から、売上を上げるためのアプローチは、必ずしも顧客数を大きく増やすことだけではないとわかります。
売上方程式からわかること
売上方程式を使うことによって、お店の現状を知ることができ、より現実的な対策を練るときに役立てられます。
たとえば「単価は相場から見て普通の価格だが、利用回数が平均1.5回くらい」と少ない、また逆に「利用回数は2.5回と多いが単価が相場より安い」ため売上が伸び悩んでいるなど、その美容室の現状を具体的な数字として把握することができるのです。
具体的な目標を設置する
美容室の経営では「とにかく売上を増やす」など、具体性がない目標はやめましょう。「なぜやるのか?」といった具体的な行動を目標として掲げるようにするのがベターです。
目標を高く持つのは悪いことではありませんが、あまりにも現実味がないとそこにたどり着くまでのシナリオを描けません。モチベーションの低下にもつながりますので、まずは身近なところから1つ1つ達成していきましょう。
設定した目標と優先順位が本質から外れていないかの見極めも必須です。売上を伸ばすことに力を入れすぎて、接客がおろそかになってしまってはいけません。数字ばかりに気を取られてサービスの品質を落とさないよう、十分に気をつけてください。
客数をそのままで売上を2倍にする方法とは?
既存のお客様を大切にすることで、売上を2倍にするのは可能です。そのためには、売上方程式の「単価」「利用(購入)回数」を上げることが必要となります。美容室の現状を把握したうえで、どこを改善していけばいいかを考え目標設定をしていきましょう。
単価を上げる
客単価を上げるためには、単純に施術料の価格を高くすると考えられますが、お客様側から見ると「同じメニューなのになんで高くなったんだろう?」と思われてしまう可能性もあります。自然に客単価を上げるためには、どうすればいいのでしょうか。
新しいメニューを提案する
新しいヘアデザインを提案することで、客単価を増やせます。たとえば、「春先におすすめのカラーとゆるふわボブのご提案」など季節にあったメニューの提案や、悩みに対してのメニューの提案など、POPやDM、SNSを使って告知すれば、自然な形で顧客単価を上げられるでしょう。
お客様に合わせたメニューを作る
新メニューを増やすことも客単価アップに有効な手段ですが、むやみに増やすと選びづらくなってしまい逆効果です。新メニューを作るときには、どのようなお客様に提案するのか決めておきましょう。
特定のメニューにグレードを付ける
たとえばトリートメントを例にした場合、2,000円、3,500円、5,000円とグレードを変えたものを用意します。気分やお財布の中身に合わせて選べるため、今までトリートメントをあまりしなかった人も取り入れてくれる機会が増えます。さらにお客様にその良さを丁寧に説明していけば、意外と高めのメニューを選んでくれることもあるのです。
特別感のあるセットメニューを作る
単発メニューを組み合わせて、「おすすめメニュー」や「季節や期間限定メニュー」など、セットメニューに特別感を出す方法もおすすめです。さらに、メニューの表示方法も「カット」ではなくて「デザインカット」など一工夫するだけで、おしゃれな雰囲気に変えることができますよ。
ダイレクトメールを送る
DMは手に取ってもらえる確率も高く、特にイベント前や誕生日には特別感を打ち出したメニューがあると足を運びやすくなります。DMはできれば、手書きで一言添えるとより親近感を持ってもらえるため集客に有効な手段といえます。
メールマガジンを活用する
メルマガを利用して普段から役に立つ情報を発信したり、新メニューの提案をしたりすることも有効です。さらに利用してくれたあとのお礼のメールも送れば、「次も行きたい」と思ってもらうことができます。
SNSを活用する
SNSは若い人を中心に拡散力もあるため、集客ツールとして活用している美容室も多くあります。SNSを利用する場合は、定期的に発信し続けることが大切です。あまり投稿の間隔が空くと興味を持たれなくなる可能性もあるため注意しましょう。
ネット予約できるようにする
美容室を利用している人のほとんどが、ネットサイトから予約できる美容室を選んでいる傾向にあります。24時間いつでも予約やキャンセルができ、時間が空いたら当日の予約状況も簡単に知ることができるため、非常に便利なツールです。
まとめ
新規顧客獲得に力を入れなくても、客単価を上げたり、利用回数を増やしてもらったりすることで売上を伸ばすことができます。的確で具体的な目標設定をして、それに向かって日々努力していくことが大切です。
もちろん客単価を上げるのも利用回数を増やしてもらうのも、お客様と美容師との間に信頼関係があってこそ成功するものです。日ごろからご来店いただいた感謝の気持ちを忘れずに、丁寧な接客を心がけましょう。


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