美容室の経営では「税理士を雇うべきかどうか」は一つの悩みどころです。実は、税理士に相談するメリットは多数あるほか、美容室のサポートに特化した税理士も存在します。そこで今回は、開業を予定している美容師や美容室オーナー、経営者へ向けて、税理士の必要性について解説します。税理士を雇う場合の注意点や、税理士を選ぶ際のポイントについても説明しますので、スムーズな美容室経営に活かしてください。
美容室が税理士を雇ったほうがいい理由
美容室が税理士を雇ったほうがいい3つの理由について具体的に解説します。
美容室で税理士を雇うと経理対応をお任せできる
経理に関わる業務の負担を大幅に軽減できることが、美容室で税理士を雇うべき最大の理由です。美容室を開業した場合、接客はもちろん、清掃や在庫管理などの雑務に加えて事務作業が発生します。特に、請求書や領収書を整理して記帳する経理業務は、専門家でない限りかなりの時間と手間が発生します。
多くの美容室経営者が税理士事務所に依頼しているものは、記帳代行サービスです。経営で重要な「お金の流れ」が正確に整理でき、記帳まで任せられるため、経理ミスや人為的トラブルも防ぎやすくなります。さらに、税務申告を代行してもらえる点も魅力です。税務申告で不備があった場合、延滞税などの追加課税が発生することがあることを考えれば、プロに任せると安心できます。
美容室で税理士を雇うと経営者が事業に専念できる
美容室を開業するには「開業届」や「青色申告承認申請書」などの各種届出が必要です。提出期間を過ぎると罰金などのペナルティが課せられるため、開業準備に追われていても後回しにできません。
そこで税理士に経理業務を依頼することで、美容師の本業に専念できます。時間的な余裕が生まれればサービスのクオリティも上がり、開業直後の集客率アップにも繋がるでしょう。
また、開業に向けて融資を受けたい時も、税理士は心強い相談相手となってくれます。個人で事業計画書などを作成するには、膨大な時間と手間がかかります。納得のいく融資を受けるためにも、経験豊富な税理士に依頼することをおすすめします。
依頼するなら専門知識のある税理士がおすすめ
一般的な税理士事務所には「税務相談」「税務申告書の作成」「記帳代行」などの業務を依頼できます。しかし「税理士」と一口で言っても得意分野がそれぞれ異なるため、美容室の財務を専門に請け負っている税理士への依頼が望ましいでしょう。あらゆるサービスやツールを駆使し、美容室の経理業務を効率化してくれる場合があります。
また融資や資金繰りの相談に乗ってもらったり、節税に関するアドバイスをしてもらえたりと、得られるメリットは多数。専門分野に特化した税理士の顧問料には幅がありますが、月額で約5,000円~3万円くらいが相場です。もちろん、契約前には具体的にどのような作業をお任せできるかの確認が必要です。
美容室の財務に強い税理士に依頼するメリット
美容室の財務に強い税理士は、頼りがいのある存在です。業務を依頼することで得られるメリットを具体的に解説します。
美容室の税理士の報酬のほうが経理担当を雇うより低コストになる可能性がある
一般的に「専門性が高いほど依頼料も上がる」イメージがあります。しかし、実は美容室に特化した税理士に依頼するほうが、経理スタッフを雇うよりもコストがかからない傾向があります。
と言うのも、美容室経営では掛売りや手形取引などの作業がないぶん、他の業種と比較すると経理スタッフの負担は少なめです。そのため、美容室側としては「経理スタッフの給与と業務内容が見合わない」という不満がありました。
一方で近年は、本当に必要な業務のみを請け負うパックやプランを用意し、リーズナブルな料金で美容室向けの経理代行サービスを行っている税理士事務所が増えています。不要な料金を支払うことなく、美容室の経理業務を任せられる点は嬉しいですね。
専門性の高い経営アドバイスが得られる
美容業界に強い税理士を雇うと、専門性の高い経営アドバイスが得られます。節税対策などのノウハウを提供してもらえるだけでなく、コストパフォーマンスが悪い点を指摘してもらう機会もあるでしょう。利益が上がっても節税に穴があれば、税金の負担ばかりが肥大してしまいます。長くお店を経営していくためにも、プロのアドバイスや見解を聞いておきたいところです。
税制度が随時更新されるなど、過去に得た知識が通用しないこともあります。税理士に任せることは、意図しない脱税などの防止にも繋がります。また、「個人事業から法人経営へ切り替えたい」「投資や資金繰りのアドバイスが欲しい」といった時にも頼りになるでしょう。
お金にまつわる対応が楽になる
美容室の開業時に金融機関から融資を受ける際、あらゆる財務資料を用意しなければならない上に、提出後も金融機関とのやりとりを何度も重ねていくことになります。税理士のサポートがあれば、必要書類をスムーズに用意することが可能です。加えて状況に応じて、金融機関に同行してもらえることもあります。
所得税・法人税・消費税など、各種税金の申告手続きでも税理士に依頼できるため、金銭にまつわる対応が総じて楽になるでしょう。美容室の設備など、固定資産の把握や申告作業も手助けしてくれます。いずれの作業も、資料を用意する手間や時間を削減できるという大きなメリットがあります。
美容室の税務を税理士に依頼するデメリット
美容室の税務を税理士に依頼するにあたり、注意しておくべき点があります。
デメリットを事前に把握しておきましょう。
税理士にも相性がある
契約した税理士との付き合いは長期間に及ぶため、相性の良し悪しが気になるところです。
自分の意思や依頼が思い通りに実行されないケースや、価値観などの人間性が合わないケースは稀にあります。自分と相性の悪い税理士に、自身の経営について何度も話をしなくてはいけない状況は、ストレスになりやすいでしょう。
または税理士への説明不足など、意思疎通がうまくいかないパターンも考えられます。とは言え「どうしても合わない」と感じた場合は早めに税理士を変え、より良いビジネスパートナーを探しましょう。
経営に自信のある経営者にはコストがかかるだけ
「時間をお金で買う」と考えれば決して無駄遣いにはなりませんが、経営に自信のある経営者にとっては税理士への依頼は「費用対効果が悪い」と感じることもあるでしょう。ただし税理士は専門家の立場から経営の判断に必要なデータを掲示してくれます。ビジネス上のサポーターと捉えれば、一概にデメリットとは言えないでしょう。
美容室のサポートに特化した税理士を選ぶ2つのポイント
美容室経営のサポートに特化した税理士を選ぶ際に、チェックしておきたい2つのポイントを解説していきます。
明確な料金設定か
美容室に特化した税理士事務所の多くは、比較的リーズナブルな料金を設定していますが、リーズナブルな料金が最も良いわけではなく、「顧問料が高い=税理士の質が高い」とも限りません。
料金の額面だけで判断せず、依頼したい業務内容に対して適切な金額が分かりやすく掲示されているかを必ずチェックしましょう。無駄なコストはかかっていないかどうか、注意することをおすすめします。
相談しやすい税理士か
自分のペースや価値観を基準に話を進めてしまう自己中心的な税理士や専門家は考えものです。長く付き合える相手の理想は、経営者の立場を理解し、「これから開業する美容室の将来」をともに建設的に考えてくれる税理士です。したがって、税理士が美容室経営者の判断スピードや知識量を理解し、常に分かりやすく説明してくれるかを見極めることが大切です。
税理士選びでは第一印象や自分の直感は馬鹿にできません。「気軽に質問できそう」「年が近いから話しやすそう」など、相手の雰囲気に着目してみましょう。また、これまでは依頼者が税理士事務所へ出向く形が一般的でしたが、近年はLINEやオンラインツールで相談できる事務所もあり、よりコンタクトの取りやすい税理士も人気です。
おすすめは美容室経営に特化した税理士
美容室の経営で「経理業務にかかる時間や手間を削減できる」「ビジネスに関するアドバイスがもらえる」など、税理士を雇うメリットは多数あります。美容業界に特化した税理士事務所が増えたことで、依頼料がリーズナブルになり、個人事業主でも気軽に利用できるようになりました。税理士を選ぶ際は、ネット上の口コミが参考になります。専門性の高さはもちろん、料金やサービスの明瞭度や相談のしやすさもチェックしましょう。