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美容室はキャンセル料を請求できる? キャンセル料の相場と法律

美容室キャンセル料の相場と法律

インターネットを通じて手軽に美容室の予約ができる昨今ですが、予約の手軽さとキャンセルの手軽さはある意味表裏一体といえます。特に、美容室を悩ませがちなのが前日や当日のキャンセルや、悪質な無断キャンセルです。その他、キャンセルを繰り返されるようなお客様も、美容室の予約をとりづらくするという意味で他のお客様への間接的な迷惑になりかねません。

キャンセルを100%防ぐことは不可能でも、せめて幾ばくかのキャンセル料は請求したいものではないでしょうか。ここでは、美容室がキャンセル料を請求するために知っておきたいさまざまな知識をくわしく紹介しています。

美容室はキャンセル料を請求できる?

そもそも、美容室は、予約をキャンセルしたお客様に対してキャンセル料を請求できるのでしょうか。キャンセル料の性質や基本とあわせて、請求の可否について詳しくみていきましょう。

美容室におけるキャンセル料とは?

美容室におけるキャンセル料とは、お客様が予約をキャンセルした場合に発生する費用をいいます。その実質は、キャンセルによって美容室が被った損害への補償です。その他、迷惑料ととらえる考え方もあります。

インターネットやアプリで手軽に予約がとれる昨今、残念ながら、キャンセルも同様に気軽にする人が多くなっているのが現状です。インターネットでのキャンセルは電話と違って直接のやりとりがないだけに、心理的なハードルが低くなってしまうのでしょう。美容室やネイルサロンといった美容業界は、特にその傾向が顕著だといえます。

急な予定の変更は予想できないことも多いですし、キャンセルという仕組みがある以上、キャンセルをするお客様が必ずしも悪いわけではありません。しかし、予約を当日や前日にキャンセルされた美容室側からすると、収益にかかわるだけに簡単に割り切れないのも事実ではないでしょうか。

そんな美容室が、キャンセルによる損失をカバーするために導入できるのが「キャンセル料」なのです。しかし、実際のところ、キャンセル料を請求する美容室は多くありません。

美容室のキャンセルにより起こる損害

美容室とキャンセル料の関係についてより詳しく知るために、まずは、美容室のキャンセルによって生じうる損害について定義してみましょう。

一般的に、美容室の損害につながりうるのは、予約の当日や前日といった、直前のタイミングでのキャンセルです。予約の数日前というタイミングでのキャンセルであれば、別のお客様による予約が代わりに入る可能性もあるため、損害は発生しにくいでしょう。

しかし、直前のキャンセルや無断キャンセルだとそうはいきません。飛び込みのお客様がこないかぎり、キャンセルとなった時間分の売り上げがゼロになってしまいます。この、本来なら得られるはずだった売り上げが、キャンセルによる損害です。

「予約」でも法的には「契約」と考えられる

次は、キャンセル料の法律的な根拠についてです。美容室のキャンセル料は、原則として「民法415条」に定めのある「債務不履行に基づく損害賠償」だと解されています。債務とはおおまかに言い換えると「義務」のことであり、主に「契約」によって発生します。

この理論を美容室に当てはめながら、キャンセル料について考えてみましょう。まず、美容室とお客様との間では「予約」の成立がすなわち「契約」の成立だと考えるのが通常といえます。これは、美容室の場合、予約の後にあらためて本契約を結ぶことを想定していないからです。

つまり、お客様によるキャンセルは契約の債務不履行といえ、美容室は民法415条に基づいて損害賠償を請求することができます。

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知っておきたい! キャンセル料に関する法律

キャンセル料が認められる法的根拠は「民法415条」です。しかし、実際にキャンセル料を導入するなら、より深く幅広い法律知識が必要になってきます。ここからは、キャンセル料に関する法律を詳しくみていきましょう。

消費者契約法とは

具体的なキャンセル料を決める前に、必ず確認しておきたいのが「消費者契約法」です。消費者契約法の目的は「消費者を守ること」にあるため、消費者に不利な契約は無効とするといった旨の規定が中心に置かれています。

キャンセル料は、消費者契約法による制限を受けます。どういうことかというと、あまりにも高額なキャンセル料は認められないということです。

具体的には、「キャンセル料のうち、契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分」については無効だと消費者契約法に定められています。

キャンセル料は、美容室にとっての「平均的な損害額」の範囲内に納めなければいけないのです。キャンセル料を高く設定したとしても、その全額が認められるわけではないことを念頭に置いて、平均的かつ相場に照らして妥当と客観的にいえる金額を算出しましょう。

キャンセル料が無効となるケースがある

キャンセル料は、定め方によっては法律で「無効」とされてしまうケースもあります。また、そもそもキャンセル料の請求自体が難しいケースもあるため、そういったケースを反面教師として、法律に則った適切なキャンセル料を設定することが重要です。

繰り返しになる部分ではありますが、キャンセル料が「損害額の平均を超える」と判断された場合は、超えた部分については無効になります。たとえば、損害額の平均が5,000円であるにもかかわらず2万円を請求した場合、2万円から5,000円を差し引いた「15,000円」部分については無効ということです。平均よりも高いキャンセル料を定めていたとしても、平均の範囲内の部分については無効にならないので安心してください。

また、キャンセル料を請求する根拠となる「キャンセルポリシー」も重要です。キャンセルポリシーとは、「キャンセルについての定めたルール」のことをいいます。キャンセルポリシーを定めていない場合や、キャンセルポリシーをお客様に開示していない場合はキャンセル料を請求するのが難しいため、きっちりと定めて開示しましょう。

キャンセルポリシーの開示

キャンセルポリシーを定めていたとしても、お客様へ開示していなければキャンセル料の請求は難しくなります。キャンセル料を順当に請求するには、どのような場合にキャンセルとみなされ、キャンセル料が発生するのかなどについてキャンセルポリシー中で具体的に定め、事前にお客様が閲覧できる状態にしておく必要があるのです。

キャンセルポリシーは「作成して終わり」ではなく、お客様に開示できる環境を整えるのが肝心です。なお、キャンセルポリシーの開示は、一人ひとりに口頭で説明したり、書面を配ったりして行う必要はありません。基本的には、美容室の公式ホームページやサロン総合検索サイト上のお店のページに記載しておくだけでも十分といえるので、忘れずに手配しておきましょう。

キャンセル料の支払い義務と上限

キャンセルポリシーを開示した状態でお客様が予約をした場合は、基本的に「キャンセルポリシーの内容について納得したうえで契約した」と推測することができます。この場合にお客様がキャンセルしたならば、美容室はキャンセルポリシーに基づくキャンセル料の請求が可能です。請求したキャンセル料を即座に支払ってもらえないケースにおいては、キャンセルポリシーに定める延滞料をあわせて請求することもできます。

ただし、たとえキャンセルポリシーに定めていたとしても、消費者契約法第9条第2号に定める金額を越える延滞料を請求することはできません。消費者契約法第9条第2号には、次のとおり定められています。

第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

つまり、キャンセル料の延滞による損害金としてキャンセルポリシーに定めた金額が、年換算でキャンセル料の14.6%を超えると判断される場合は、その超える部分については消費者契約法第9上第2号に照らして無効ということです。

損害賠償の請求について

キャンセル料は消費者契約法の制限により「平均的な損害額」を超える部分は無効だとされています。しかし、「平均的な損害額」について明確な基準があるとも言い切れず、ケースバイケースで判断されるのが一般的です。

たとえば、タイミングが悪いキャンセルや、無断キャンセルなどの悪質性の高いキャンセルでは、通常のキャンセルよりも美容室が被る損害が大きくなることもめずらしくありません。

この、通常のキャンセル料だけではとてもまかないきれないような損害については、お客様の事前の同意があれば「キャンセル料」とは別の「損害賠償」として請求することが可能です。なお、事前の同意を要する関係上、損害賠償については、予約前に目を通す「利用規約」や「約款」の中で明記しておくといった段取りが必須となります。

 

美容室のキャンセル料の相場

美容室のキャンセル料の相場は、基本的には下記の計算式を使って算出することができます。

「予約がキャンセルされなければ得られたはずの粗利益」×「予約日時に他のお客様が来ない確率」

この式の答えが「キャンセルによって美容室が被る損害の平均額」です。

計算式によらずに、キャンセル料のおおまかな相場を知りたいのであれば、

  • 当日キャンセルや無断キャンセルは「予約メニューの施術料金の50%」
  • 前日キャンセルは「予約メニューの施術料金の30%」

をひとつの目安とするのが良いでしょう。ただし、上記はあくまで相場なので、必ずそうあるべきという性質のルールではありません。美容室それぞれの考え方によってキャンセル料の設定方法が違うのはある意味自然なことです。消費者契約法に触れない範囲内でキャンセル料を設定し、可能であればキャンセルポリシーを含めて法律のプロに問題ないかどうかをチェックしてもらうことをおすすめします。

キャンセル料設定のリスクは?

キャンセル料を設定することで、突然のキャンセルによる損失を少なくできます。しかし、キャンセル料を設定することで、予約減のリスク発生は否めません。キャンセル料を設定している美容室と、していない美容室、お客様からするとどちらが予約しやすいでしょうか。

常連のお客様ならともかく、初めてのお客様の場合は、キャンセル料が予約の心理的な障害になる可能性は大きいでしょう。キャンセル料の導入を検討する際は、予約そのものが減ってしまうリスクと、キャンセルによる損失とを、慎重にてんびんにかける必要があります。

まとめ

美容室は、お客様に対してキャンセル料を請求することができます。キャンセル料の請求は、民法415条に基づく正当な権利なのです。

ただし、キャンセル料は消費者契約法の制限を受けるため、高額すぎるキャンセル料は無効になってしまいます。キャンセル料をスムーズに請求したいのであれば、民法や消費者契約法についての知識が必要です。過去の裁判例や法律の専門家の意見などを参考にしながら、適正なキャンセルポリシーを作成しましょう。

また、キャンセル料設定によって予約の数そのものが減ってしまうリスクも忘れてはいけません。諸刃の剣であることをしっかりと認識しつつ、メリットを最大限活かせるような道筋をたててから導入することをおすすめします。

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