美容室の開業を考えるさいに選択肢の一つとなるのが、自宅を改装し自宅兼店舗として営業する方法です。自宅を改装した美容室は実際にたくさんありますが、「本当に大丈夫なの？」と不安や疑問を感じる人もいるでしょう。
自宅開業で後悔しないためにもポイントを押さえておくことが大事です。この記事では美容室の自宅開業に伴う費用やメリット・デメリット、注意しておきたい点などを紹介します。

自宅で美容室を開業するメリットは？

開業・運営費用を抑えられる

美容室の自宅開業はコスト面が安く済むのが最大のメリットです。店舗を構えて営業するなら、毎月の賃貸費や土地代、内装工事費など多くの費用が必要になります。物件の場所や環境によっては毎月の賃貸費が高額になりがちで、営業コストが予想以上の負担となってしまうでしょう。しかし、自宅兼用であれば店舗を構えるよりも安く済ませることが可能です。

通勤時間が不要で家事・育児とも両立させやすい

自宅開業は通勤が不要で、在宅で仕事ができることも大きなメリットです。外に店舗を構えるなら通勤が必要なので、朝早く起きて準備する、毎月の交通費の計算を行うなど手間がかかってしまいます。
しかし自宅兼用なら朝起きる時間も調整でき、また家事育児との両立もいくらかハードルが下がるため、子供がいる人も仕事がしやすくなります。

お客様との距離が近くなる

お客様のターゲットを絞り込みやすくなるのも、自宅兼用のメリットです。お客様の層としては、子連れである人は気軽に入店しやすくなり、また感染症のリスクを避けたいなどの理由でプライベートサロンや個室のサロンを好むお客様もいます。
在宅であれば店舗と違って時間に追われることが少ないので、お客様と密接な関係を築いてリピーターを増やしやすい利点もあります。

 

自宅で美容室を開業するデメリットは？

立地が悪いと集客力が弱くなる場合も

美容室を自宅開業するなら店舗の立地を選ぶことができません。すでに自分が住んでいる場所なので動かすことができず、もし住宅街で人通りも少ないエリアであれば店舗の存在に気づかれない可能性もあります。
そうすると集客力が弱くなり、期待した利益を得ることができず経営が難しくなることもあるでしょう。自宅開業のさいは自分の立地条件を考え、不利だと判断したら宣伝活動に力を入れるなど対策が必要です。

仕事とプライベートの切り替えが難しい

美容室に改装する以上、たとえ自宅であっても仕事場のような雰囲気に変える必要が生じます。そのため、改装の内容にもよりますがプライベートとの切り替えが難しくなることもあります。人によっては自宅開業したことで、家にいても落ち着かなかったり常に仕事を意識してしまってリラックスできなかったり、デメリットに感じる状況も出てくるでしょう。

生活感が抜けない・コンセプトやこだわりがない

自宅開業は改装費用を抑えられますが、自分が希望していた通りの店舗とはならないこともあります。自宅という環境でもあるため、店舗のコンセプトやこだわりが薄くなり、居住スペースと隣接している場合は生活感を出してしまうことにもなります。美容室の雰囲気作りにこだわる人は、納得できる仕事場とならないことも覚悟しておきましょう。

自宅を公開する必要がある

自宅兼用の仕事場となれば、プライベートの情報をある程度公開してしまうことになります。たとえば、集客のためにはインターネットを利用して店舗情報を表示しますが、自宅住所も一緒に公開されます。
集客のためには仕方がない部分ですが、事前にプライバシーやセキュリティ対策を考えてトラブルにならないようにしておきましょう。

 

自宅開業の注意点は？

作業面積は13平方メール以上が必要

美容室を開業するときは作業面積を確保しておく必要があります。必要な要件は保健所によって異なりますが、一般的に作業面積は13平方メートル（約3.9坪）以上必要とされています。自宅だと大体8畳ほどのスペースとなるようです。
また、洗い場や消毒設備の確保も必須です。業務に使える敷地の面積が十分にあるのかきちんと確認しましょう。

店舗用の入り口確保が必要な場合も

美容室の開業では店舗用の入り口を確保することも大事です。入り口を分けておかないと家族とお客様の導線（人間の移動するルート）がぶつかってしまう可能性があります。仕事時とプライベートの導線が重ならないように分けたほうが、家族もお客様もリラックスできるためおすすめです。

防犯カメラ設置などセキュリティ対策も検討を

セキュリティの観点から防犯カメラの設置などを検討しましょう。在宅業務はお客様とはいえ見知らぬ人が出入りすることになります。トラブル防止のためにセキュリティ対策を講じておいた方が安心なので検討してください。

 

自宅を美容室に改装する費用はどれくらい？

改装の場合の坪単価は30万が目安

美容室を開業するさいは、一般的に物件改装の工事費用が坪単価25～30万円ほどになると言われています。10坪くらいのテナントであれば工事費用の相場は約200〜400万円とされ、またランクや場所によっても価格は多少変動します。
自宅を美容室にする場合は坪単価30万円ほどを目安にして、予算を計算しながらどこまで改装するのか考えましょう。

全体の改装費用は100～200万円が目安

美容室の改装をするとき、仮に4坪の作業スペースを改築する場合は100～120万が相場ということになります。改装費用としては「そこまで高くない」と感じるかもしれません。
ただ、自宅を美容室に改装するなら追加工事が必要になる可能性が高いです。きっちり120万円の資金ではなく、やや多めに200万円程度は見積もっておいた方が安全です。さらに美容室は、改装費用のほかに備品代や運転資金の準備も必要なので、その分の資金とは別に考えておきましょう。

改装に必要なリフォーム工事は？

水道工事

自宅を美容室に改装するさいはシャンプー台の設置、つまり水道工事や給水・排水設備が必要になってきます。水圧を上げるには道路本管から水道管を引き込むため、およそ20〜50万円、立地条件によっては100万円ほどの出費になることをおぼえておきましょう。

電気・ガス工事

美容室ではシャンプーなどに給湯器を使うので、ガス工事も必要になります。もしガスメーターがないなら工事会社と不動産業者に相談して工事を検討してもらいましょう。また、ドライヤーやパーマなど美容室ではたくさんの電気を使用する関係で、契約電気容量をアップする工事が必要になる場合もあります。どこまで電気容量がアップできるのか電力会社に相談したうえで、必要上限まで電力アップをしてもらうと良いでしょう。

まとめ

美容室の自宅開業には通勤時間がゼロだったり育児と両立させやすかったりとメリットが多いですが、同時にさまざまなデメリットも存在します。そのため、なんとなく自宅を美容室にするのではなく、本当に開業しても大丈夫か、営業を続けられるだけの集客が見込めるかなど慎重に考えてから行動に移しましょう。特に費用面やセキュリティ対策は見落としがちなポイントなので、そこも重視しながら検討してみてください。

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