街のいたるところに見かける美容室は、年々増え続ける傾向にあります。そのため自店舗の強みをうまく打ち出せないと赤字経営になってしまう場合もあり、立て直しの対策をとる必要が出てきます。今回の記事では美容室が赤字になる主な原因、さまざまな黒字転換のための対処法などをご紹介します。
美容室が赤字になる原因とは?
宣伝方法が合っていない
宣伝方法が集客につながっていなければ、売上も低迷から抜け出せません。宣伝が足りていなかったり、アピールしたい顧客層へ宣伝が届いていなかったりすると赤字の原因になってしまいます。
固定費が高い
お店を経営する上で必要経費として固定費と変動費があります。固定費とは、賃料や人件費、光熱費、保険料、減価償却費、広告宣伝費などの経費のことをいいます。また、変動費は売上によって左右される経費のことで、材料費、商品仕入高、外注費、販売手数料などの経費を指します。
固定費はお店を経営するのに必ずかかる費用です。いくら売上を出していても固定費が高いとその分収益が減ってしまい、最悪の場合赤字になってしまうことがあります。
お店の方針に問題あり
お店のコンセプトと実際の経営がマッチしていないことも赤字原因として考えられます。ターゲット層の興味をそそらないようなメニューだったり、メニューが多すぎてお客様を混乱させたりしていませんか? 接客もお客様が満足しないような内容だと、リピート率を下げてしまう場合があります。
スタッフの定着が難しい
人を雇って売上を伸ばしていこうと考えても、美容師の仕事は激務なうえ給料が低いお店も多いので、離職率は高めの傾向にあります。そのため、他の業界へ転職したりとなかなか定着が難しいのが現状です。人材育成に投資した費用を回収できずに辞められてしまうと赤字の原因になります。
お店を赤字から脱却させる方法
効果的な宣伝方法を探す
売上を伸ばすには、集客に効果的な宣伝方法を見つけることが大切です。赤字の危険性があるなら、宣伝方法を見直してみるようにしましょう。ほとんどのお店は開業時に「20代女性」など明確なターゲット層を決めているはずですから、それに見合った宣伝方法を取り入れましょう。
たとえば、ホームページを開設していたとしてもアクセス数が伸びていなければまったく集客につながっていません。主婦をターゲットにしようと思っていても、SNSでしか宣伝をしていないと主婦層には響きにくいため、これも改善が必要です。
1種類の宣伝しかしていない場合は、ほかに複数の宣伝方法を試してみるようにしましょう。それぞれの方法が効果的だったかどうかを確かめるためには、実際の反響・来客数・売上などを定期的にデータ化することで把握できるはずです。反響が大きかった宣伝方法に力を入れ、効果的でなかった方法は縮小または停止することで、無駄な経費を削減しながら集客力アップを目指していけます。
ネット予約サイトを利用できるようにする
予約する方法が電話しかない場合は、ネット予約サイトを利用できるようにすると集客効果が上がりますよ。スマホから24時間いつでも美容室を予約することができるので、若い人を中心にほとんどの方がネット予約を利用しています。これからの美容室経営には必須となるツールです。その他にも、LINEやメールから予約できるようにするなど、選択肢は多い方がいいでしょう。
メニューを見直す
ターゲット層に合ったメニュー作りも集客につながります。そのためには、ターゲット層に需要があるメニューをメインとして売り出していくことが大切です。
あれもこれもとメニューを増やしすぎるとお客様がどれを選んでいいか分からず、逆に利用しにくくなるため要注意です。シンプルで利用頻度の高いメニューを残すようにしましょう。メニューを増やしたいときは、期間限定にすると特別感を感じてもらえて注目度も上がりますよ。
客単価を見直す
客単価が低すぎるといくら集客がうまくいっていても、売上に結びつきません。価格とは「あなたの美容室の価値」を意味しますから、慎重に設定してください。
値段に相当するサービスを提供し、お店の魅力が十分に伝えられれば、他店と安値競争しなくても集客は可能です。そのためには、オリジナリティあるメニューを開発したり、成人式や卒業式シーズンを見込んだ着付けサービスを展開したり、ホームページ・SNSで積極的に情報発信したりするなど努力と工夫が必要となります。
接客方法を見直す
リピート率を伸ばすためには、接客でお客様の満足度を高めていかなければなりません。忙しさのあまり接客が雑になってしまったり、待ち時間が長かったりしてしまうと不満につながるので、ワンランク上の接客を目指すために一から見直すようにしましょう。特にカウンセリングに力を入れることが大切です。
カウンセリングでは、お客様が美容室に何を期待して来てくれたかをよく聞き出すことで、美容師側から効果的な提案ができ、仕上がりも満足のいくものにすることができます。さらに、適切な言葉遣い、態度、清潔感、笑顔などは接客の基本といえるので、日頃から気を配るようにしましょう。
固定費を見直す
先にも赤字原因として少し述べましたが、収益を上げるために簡単に実践できる対策は「固定費を見直すこと」です。費用がかかるサービスや設備を増やすときは、本当に必要なものかどうか見定めないと固定費をどんどん増やしていくことになります。美容室の場合は、1日に施術できるお客様の数にも上限があるため、いかに無駄な固定費を減らしていくかが収益を増やしていく秘訣ともいえます。
スタッフの定着率を上げる
美容室はスタッフの入れ替わりが激しい業界でもあります。特にアシスタントは収入が低く拘束時間も長いために辞めてしまう人が多くいます。また、経営者と年代の差があるなどしてコミュニケーションが上手くとれずに、職場環境が悪くなってしまうことも原因といえるでしょう。
長く美容室の戦力として働いてもらうにはどうしたらいいでしょうか? それには従業員を教育する過程をシステム化して、全員で共有していくことが大切です。丁寧に指導することで技術面は確実に成長していきます。
それにプラスして個人面談を定期的におこない、モチベーションの維持を目指しましょう。スタッフとお店の間に信頼感が生まれて精神的安心感を得られれば、続けていく意欲が湧いてきます。また、適度にランク分けして実力を視覚化していくと、さらに成長を実感してもらうことができますよ。そのためにも日頃から良好な関係を作れるように、オーナー自ら声かけを忘れずにおこなっていきましょう。
まとめ
美容室を安定して経営していくためには、美容師としての技術だけでなく、接客方針や宣伝方法を決めるといった経営者としての能力も必要です。赤字になったと落ち込んでいても、事態は悪化するだけです。まずは赤字になった原因をきちんと見直し、状況に合わせた対策を計画・実行して黒字転換へ進んでください。
赤字改善したいからといってお金ばかりにこだわらず、目の前にいるお客様、そしてスタッフを大切にするという広い視点から考えてみるのが、良い結果をもたらす鍵になるかもしれません。