ファミリー層を対象にした美容室には親子連れのお客様もたくさん来られます。ただ、お子さんの年齢や性格によっては「じっと座っていられないかも」「大人しく待っていられないかも」など、不安を抱えてしまい来店のハードルになっている方もいることでしょう。そこで今回は、親子連れのお客様が気軽に訪れやすい美容室づくりについて、さまざまな情報をご紹介していきます。
キッズスペースの設置

遊べる場所を用意する
お店の規模的に余裕があるのであれば、美容師たちの目が届きやすい場所、子どもの親御さんから見える場所にキッズスペースを作ることをおすすめします。自分の子どもが遊んで待てる場所があるというだけで、大人たちは少し安心できるものです。ある程度一人でも遊べる年齢の子ども限定にはなりますが、積み木やおままごとセット、車のおもちゃなどがあると喜ばれますよ。
目を離さないように注意
キッズスペースを用意したからと言って、遊ぶ子どもを放置するのは厳禁です。たとえ自分の担当するお客様ではなかったとしても、「そのおもちゃ楽しい?」や「パパやママ、もうすぐ終わるよ!」など、こまめに笑顔で声をかけるようにしましょう。忙しいと声かけは難しいかもしれませんが、ちょっと気にかけるだけでも、たいていの親御さんには思いやりある対応だと感じてもらえます。また、複数の子どもたちがキッズスペース内にいる場合は、けんかやおもちゃの取り合いが始まらないような配慮も必要です。
お店が小さくてスペースがない時は
お店の規模が小さいなどで、店内の装飾や建物の構造上、どうしてもキッズスペースが作れないこともありますよね。そんな時は、あまり場所を取らない絵本や、タブレットなどに子ども向けのアプリを入れて用意するのもひとつの方法です。
多少乱暴に扱っても大丈夫なように、厚めのツルツルした紙を使ったものをメインに揃えるといいでしょう。仕掛けがある絵本も楽しいですが、破れてしまうなど、かえってお客様に気をつかわせる可能性があるため要注意です。

待ち時間ゼロを目指そう

比較的混雑しない日時を提案する
親子連れのお客様にとって、大敵なのは長い待ち時間です。どれだけサービスが良くても、接客に満足していても、子どもが我慢しきれないほど長い待ち時間があれば、親御さんは行きたくても行けなくなってしまいます。美容室は予約制でも多少時間が前後するのは普通なことなので、極力待ち時間がなくなるような対応を取るのがベストです。
リピーターになってくれた親子連れのお客様や、新規でも事前に親子で行きたいとお知らせいただいた場合は、お客様の都合も聞きつつ、比較的空いている・混雑しない日時を提案しましょう。お子さんによってぐずりにくい時間帯、待てる時間も異なるので、午前と午後、違う曜日で複数候補を挙げて選べるようにすると親切です。
大人向けの時短メニューを揃える
美容室には、シャンプーにカット、セット、カラー、パーマとさまざまなメニューがあります。もちろんご希望のお客様にはしっかり時間をかけた施術を提供するのが当たり前ですが、やはり親子連れだとなかなかそうもいきません。そこで喜ばれるのが、「時短」を意識した対応です。カットやカラー自体を早くすることは難しいですが、たとえばシャンプーやカット後のセットがないメニューなら、最低限でさっと終わらせることもできます。
新規のお客様に無理をさせない
美容室には、まれに予約なしで訪れる新規のお客様もいますよね。親子連れのお客様の場合、たいていは待ち時間や子ども向けの施術を行っているかという点を確認して、事前に予約を入れてくれます。ただ、「たまたま今日時間が空いたから美容室に行ってみよう」と気分転換のような意味合いで来てくれるお客様も少なくありません。そんなお客様にも満足いただけるサービスを提供するのが良い美容室ではありますが、あまり長い時間お待たせしてまで無理に施術を行うことが、必ずしも正解ではないのです。
なるべく新規のお客様を逃さないように……そう考えるのも、美容師としては当然のことです。しかし、お客様を疲れさせないためには、待ち時間が長くなる時は別日の予約を提案するのも、思いやりがある対応だと言えるでしょう。
お店の方針を明確に示す

お子様連れ歓迎のムードを作る
たとえばキッズスペースがあるとか、お子さんが飽きないように絵本やおもちゃを用意しています、希望する方にはジュースをお出ししますなど、親子連れを歓迎する雰囲気を前面に出すようにします。美容室の店先に張り紙をしてもいいですし、情報誌などで発信できる機会があれば、そこでアピールをするのもいいですね。今ならSNSで宣伝するのも効果的です。
子どもを連れて行っても安心できそう、受け入れてもらいやすそう、というムードを作ることで、親子連れのお客様も利用しやすくなります。お子さんと一緒だからこそ発生する不安要素をちょっとでも取り除いてもらう、これもひとつの思いやりです。
親と子、両方をフォローする
どれだけ準備をしても、子どもの機嫌が悪くなってしまうことはあるでしょう。どうにも子どもが落ち着かいない時は、一時的にカットを中断するなど、余裕を持った対応をするのも優しい対応です。
もし周りに小さな子どもがいるなら、普段からいろいろとあやし方を研究するのも悪くありません。自分にお子さんがいる方であれば、経験を活かしてフォローすると喜ばれるでしょう。また、親子連れのお客様が来るときは、次の予約時間に余裕を持たせると、お互い焦らず、ゆとりある対応が取れますよ。
万が一に備えた設備を整える
最初に紹介したキッズスペースや絵本、タブレットのほかに、もっと根本的な部分で喜ばれる対応があります。それはベビーカー置き場を準備することです。歩けるくらいのお子さんなら良いですが、もっと小さなお子さんと一緒に美容室を訪れるお客様もいらっしゃいます。ベビーカー置き場がなかったり、ベビーカーの預かりをしてもらえないと、それだけでその美容室は選択肢から外れてしまうのです。
さらに、もし可能であれば、万が一に備えて授乳できる場所、オムツを替えられる場所を用意しておくのも喜ばれます。赤ちゃんと一緒に来たお客様には、施術前にこういう設備があるので困ったらお声がけください!と伝えておくと、いざという時お客様が困らずに済みますね。
まとめ
親子連れのお客様は、パパやママが施術を受ける場合でも、お子さんが施術を受ける場合でも、何かトラブルがあったらどうしよう?という不安を常に抱えています。ですからそんな「いざ」という時に備え、事前に遊べるものやお子さん向けのスペースを用意する、時間が長引かないように配慮する、といった対応が喜ばれるものです。
ちょっと声をかけるだけ、時間に余裕を持たせるだけでも随分気持ちは変わりますので、ぜひ明日からできることを実践してみてくださいね。
