美容室が新規顧客を獲得するために、また既存のお客様にリピートしてもらうために「クーポン」配布はとても有効な手段です。しかし一方で、クーポンは使い方を間違えると逆効果になって、お客様を失ったり、お店の利益を減らしてしまったりする恐れもあります。今回はクーポンのメリットとデメリット、さまざまなクーポン配布方法、利用するさいの注意点などについて詳しくご紹介していきます。
クーポンの目的とは

新規顧客の獲得
よく見かける美容室の「初回限定クーポン」などには、料金を安くして来店のハードルを下げ、新規のお客様を獲得しやすくする効果があります。「気になっているけど行こうか迷っている」と考えていたお客様が、「クーポンがあるから行ってみよう」と来てくれるきっかけになるのです。
リピートしてもらう
一度利用されたお客様に固定客になってもらえるよう、次回来店時に使用できるお得なクーポンがあればリピート率をグッと上げられます。そのさいはクーポンに期間を設けたり、回数を限定したりして、行かないと損だと感じてもらえるようにアピールするのが良いでしょう。
顧客単価を上げる
クーポンはお店側が割引分を損してしまうイメージもありますが、うまく利用すれば顧客単価を上げることにつながります。たとえば、普段の顧客単価が5,000円をわずかに下回っているような場合は、「5,000円以上お買い上げの方にトリートメントのサンプルをプレゼント!」といったクーポンを作成してみましょう。お客様も意識的に「プレゼントをもらった方がお得」と感じ、顧客単価を引き上げる効果が期待できますよ。
ほかにも「今だけ+500円でお試しメニューが選べる」クーポンを作成するなど、お得に利用したいという心理をくすぐるような内容を考えましょう。

クーポンの効果を得るための注意点とは

無計画に作るのは危険
クーポンを発行すれば集客できるといった安易な考えでは、集客どころか客離れにつながってしまいます。クーポンは使ってもらいたいターゲットに合わせて、出すタイミングや内容を変えることで効果を最大限に発揮できます。
割引しすぎには要注意
クーポンの割引率を上げれば集客できるのでは?と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。どこの美容室もだいたい20%オフ以内でクーポンを作成しているのが一般的です。
これ以上の割引率にしているお店もありますが、それが必ずしも長期的な利益に貢献するわけではありません。あくまで美容室へ来店するきっかけとしてクーポンが利用されるだけで、そこからは技術力や接客応対の質が問われます。また、あまり割引しすぎると通常料金が高いように錯覚されてしまうおそれもあるため、クーポンでの過剰な値引きは避けたほうが良いでしょう。
クーポンのメニュー選び
クーポンのメニュー選びは発行する時期や利益率などを考慮しないと、お店の経営悪化、既存のお客様の不満につながる可能性があるため要注意です。特に時間や手間のかかるメニュー、季節的に需要の多いメニューをクーポンの対象にしてしまうと、お店が混雑して既存客が予約をとりづらくなったり、待ち時間が延びたりと悪循環を生み出すことになります。
「繁忙期に割引すればもっと集客できるだろう」と安易な考えをもつのではなく、クーポンを発行するタイミングを見誤らないよう心がけてください
既存客にもクーポンを作る
新規顧客向けのクーポンはよくありますが、既存のお客様へのサービスも定期的におこなわないとリピート客として定着してくれません。長期的に安定した利益を出したいなら既存客を大切にしてお店のファンを増やすべきでしょう。
来店しやすいように美容室へ通う周期に合わせたクーポンを提供すると、リピートするきっかけ作りになりますよ。
クーポンの配布方法について

メールは効果が薄い
メルマガ(メールマガジン)を利用してクーポンを配信すれば一括送信で簡単に済ませることができ便利ですが、メールは開封率がとても低く見てもらえない可能性があります。最近では連絡手段としてLINEなどのアプリをメインに使用している方が増え、メールでクーポンを送信したとしても気付かれないことも多いのです。また、メールのクーポンを見てくれたからといって確実に来店してくれるわけではありません。
フリーペーパーはリピート率が低い
美容室情報を載せたフリーペーパーは美容室に行きたいと思っている人が読むので、集客効果が期待できますが、リピート客としての定着は難しいでしょう。フリーペーパーには多くのライバル店が割引クーポンを掲載しており、美容室代を安く済ませたいお客様が利用している場合も多いのです。「初回限定割引」などのクーポン目当てで美容室を転々と変えている方もいます。
固定客の定着を考えているなら、フリーペーパーでの集客に頼りすぎないほうが良いでしょう。
ネット予約サイト
美容室を検索するときに定番となっているネット予約サイトに掲載すれば、新規顧客の獲得もしやすくなります。新規向けのクーポンと既存客も使用できるクーポンを組み合わせることで、定着率も期待できるでしょう。しかし掲載料はかかりますし、掲載できても数多くの美容室の中に埋もれてしまって思うように利益をあげられないこともあるため、必ず効果が出るとは言い切れません。
クーポン配布だけでなくお店のサイトを充実させ、口コミを高評価にすることや興味を引くような紹介文、需要がありそうなメニューの掲載方法を試してみるなど、いろいろ工夫が必要になってきます。
ターゲットによって配布方法を変えよう
クーポンの効果をあげるために、ターゲットによって配布方法を変えるのも有効です。最近ではアプリやLINE、SNSによるクーポンの配信方法も充実してきています。さまざまなサービスやアプリを通じてお客様のスマホに直接届けることで、見てもらえる確率が高まって集客効果も期待できます。
そのためには、お店独自のアプリの導入、LINEを使用した顧客管理に移行するなど多少の手間がかかりますが、スマホが広く普及した現代においてとても有効な宣伝方法と言えます。
若いターゲット層にはアプリやLINE、SNSを活用しながら、ご年配のお客様であればダイレクトメールなど従来型の方法でもクーポンを配って、効率的に集客していくと良いでしょう。

クーポンはきっかけに過ぎない

クーポンがあるからと言って必ずリピート客が増えるとは限りません。たしかに料金を目安に美容室を選ぶお客様は多いですが、最終的に美容室へ通わなくなる理由は料金ではなく、接客やサービス、技術・施術・カウンセリングへの不満があげられます。
料金を重視するだけではなく、丁寧な接客と施術、時間をかけたカウンセリングをおこなうのが大切だということが分かります。クーポンはあくまで来店のきっかけに過ぎません。頼りすぎると集客どころか経営をあやうくする可能性もあります。日頃から接客力や技術力を高めていく努力が必要なのです。
まとめ
宣伝としてクーポンを配布することには新規顧客の獲得など大きなメリットがあり、スマホの普及も追い風となってクーポンが送りやすい、使いやすい時代だと言えます。顧客層によってクーポンの送り方を変えたり割引の内容にも工夫したりすることで、強力な集客方法にもなり得ます。
あまりクーポン頼りになるのはNGですが、適切に活用しながら美容室経営をしていきましょう。
