自分の美容室を開業するにあたり、物件探しはとても重要なミッションです。しかし、いざ「こんなお店を作りたい!」と思いながら探しても、案外イメージぴったりの物件を見つけるのは難しく感じるかもしれません。そこで今回は予算という現実面を念頭におきながら、できるだけコストを抑えて理想像に近い物件と出会うためのポイントを紹介していきます。
物件を探す前にしておきたいことは?
譲れない条件を考える
広さに立地にインテリアに、自分が目指すお店を作り上げるためには、それに見合う物件を見つけ出す必要があります。いきなりすべての点で理想の物件があればベストですが、すぐ見つかるとは限りませんよね。
そこで、まずやりたいのは希望条件をすべて書き出すこと、さらにその中から「絶対に譲れない条件」を絞り込むことです。施術用のイスを何台置きたいのか、何人で働きたいのか、予算は、立地は……。店内にキッズスペースやネイルサロンを併設したい方もいるでしょう。もし理想の物件が見つからなかった場合に備え「絶対これだけは」と思う条件を心に留めておくことが大切です。
お店のイメージを固める
どんな美容室を作りあげたいのか、自分自身でお店のイメージをしっかり固めなければ理想も何もなくなってしまいます。たとえば、流行のカットやカラーを積極的に取り入れ、若いお客様が中心になると考えているなら、場所は繁華街や学校の近くが良いでしょう。親子連れがメインターゲットなら住宅地、メンズメニューを豊富にするならオフィス街、というようにどのようなメニュー・価格帯・客層でやっていきたいかでも物件選びの条件は大きく変わります。
まずはお店を開いて何をしたいのかを整理し、そこにピッタリ合う理想の物件を思い描くことから始めましょう。
予算や売上を計算しておこう
開業後のイメージがつかめたら、次はいよいよ現実問題、お金と向き合うことになります。いくら理想として素晴らしい物件を思い浮かべても、あまりにも現実とかけ離れていては実際に借りることができませんよね。
どのくらいの売上になるかをシミュレーションし、その中から家賃として使えるお金はいくらになるのかを計算しておきます。家賃は最初の1回限りではなく継続して払い続けるものです。何人で1日に何人のお客様を施術できるか、客単価はいくら程度になるかを算出したうえで、理想の物件像と費用とをすり合わせてみてください。
物件はどこで探す?
WEBサイトで検索
最近では数多くの物件検索サイトがあるので、まずそこから条件に合うものを探します。この時、一般的な賃貸を掲載したサイトではなく、テナントや商業向けの物件を扱うサイトを選ぶのがポイントです。生活のために家を借りる場合と美容室として借りる場合では、求める間取りや広さ、そして貸す側が出す条件も異なるからです。
WEBサイトなら、賃料やエリア、最寄り駅の路線、その他こだわりたい条件など、ざっくりと自分で絞り込んで探せるので便利です。サイトによって掲載している物件が異なるため、できる限り多くのサイトを利用すると良いでしょう。
自分の足で候補地を巡る
このあたりで開業したい!と土地の候補が狭い範囲に絞れているなら、自分の足で歩いてみるというのも一つの手です。自分で回る場合、空き物件の外側しか見られませんが、周囲のお店や人の雰囲気、駅やバス停からの道のりなど、実際に足を運ばないとわからない情報を知ることができます。
気になる物件を見つけたら、問い合わせ先を掲載したチラシなどが貼られていると思いますので、そこに電話をして詳しく聞いてみてください。その後、実際に不動産会社の人と一緒に内見に行くという流れになります。
不動産会社に相談する
自分で探してもなかなかピンと来ない、気になる土地が遠くて下見に行けない時は、直接不動産会社に相談するのが早いかと思います。こちらからある程度の条件さえ伝えればそれに見合った物件をピックアップしてもらえます。
ただ不動産会社の中には、何かしら問題があるにも関わらず、それを伝えず契約させるような業者がいるのも事実です。そうならないためにも、できればすでに独立している仕事仲間などに信頼できる不動産会社を紹介してもらえると安心でしょう。また、検索サイトには掲載されていない物件も、不動産会社に直接相談することで紹介してもらえる場合もあります。
美容室として人気の物件ってどんなところ?
居抜きで費用を安く
内装にはそこまでこだわりがなくどちらかと言えば立地や広さを重視する、という人には「居抜き物件」がおすすめです。居抜き物件とは、前に使っていたお店の家具や設備がそのまま残っている状態のことを指します。たとえば受付のカウンターやお客様の荷物を置くためのちょっとしたロッカー、椅子や鏡、水道の蛇口など、必要なものが残されている可能性が高い物件ということです。
欲しいものが全部あるか、希望の配置になっているかは物件により異なりますが、それでも一から全部揃える必要はなくなります。初期費用を抑えることでその分を家賃などに回せるようになり、理想の物件に出会える確率が上がるのです。
1人でやるならマンションの1室でも可
しばらくは自分だけでやっていきたいと考えているなら、当然お客様も1人ずつしか対応できませんからそれほどの広さは不要です。そう考えると、商業用のテナントを借りるより、「お店として使ってもOK」といった条件のマンションを借りる方が安く済む場合もあります。マンションなら大きく宣伝をしなくても、ひとまず住人には存在を知ってもらえるのがメリットです。貸切制にできるので、小さなお子様連れのお客様に対してもアピールできますね。
空きテナントにこだわらなければ選べる物件数も多くなるので、理想の物件を見つけやすくなります。ただ、大がかりな工事が必要になる可能性もあるので、事前にどこまで室内を変えても大丈夫かを確認しておきましょう。
「古すぎない」がポイント
築年数が経っている物件は、同じ土地の他の物件より比較的家賃が安めです。最近ではリノベーションでキレイにしてくれている建物も多いですが、それでもやはり美容室で必須の水回りなどが劣化していることがあります。
もし開業してから、もしくは準備中に不具合が発生した場合、その修理費用が必要になるだけでなく、最悪何日も営業できなくなる可能性が出てくるのです。せっかく軌道に乗ってきたところでの休業は避けたいですし、もしお客様の予約が入っていればずらしてもらわなければいけなくなります。家賃だけを見て選ぶのではなく、その後の展開まで考えて理想の物件を探すことが重要です。
まとめ
夢の新規開業ですから期待に満ちあふれ、いろいろな理想が頭に思い浮かぶことでしょう。しかし現実問題、そこから先の「美容室をしっかり育てていく」ことが大切です。
その第一歩として理想的な物件に出会うためにも、自分が譲れない条件は何なのか、どんなところにこだわりたいのかなどを明確にしておくと、いざ探し始めた時スムーズに進むものです。すでに開業している仲間がいるならアドバイスをもらい、不動産会社などとも相談しながら良い物件を探していきましょう。