1990年代後半に生まれた若者たちが成人を迎える時代にさしかかり、美容室の顧客ターゲット層もそんな「Z世代」へ移行しようとしています。今回は、Z世代の方たちがどのような消費傾向で、どんな価値観を重視しているか、美容室としてはどう集客していけば良いか、などについて紹介していきます。
Z世代の特徴とは
「Z世代」とは1990年代後半~2000年に生まれた世代のことを指し、現在では15~25歳くらいの年齢層になります。今まで美容室業界はその前の「ミレニアル世代」(1981年~1995年前後生まれ)が集客ターゲットの中心となることが多かったのですが、時代の流れとともにZ世代へと徐々に移行しつつあります。
Z世代の特徴
Z世代の最大の特徴は、物心ついたときからスマートフォンに代表される情報機器が生活の中に当たり前にある暮らしをしていることです。情報収集から拡散まですべてを違和感なくこなしていける、まさにデジタルネイティブ世代といえます。その分プライバシーの保護に関する意識が高く、自分の価値観に合ったものを追求する傾向が強いのが特徴です。
Z世代の思考
Z世代は、生まれた時から日本の経済が苦しい状況、就職難など厳しい現実を見て育ち、ネットや各種メディアを通じて環境汚染、世界情勢といった幅広いニュースにも触れており、現実主義の若者が多いのではないでしょうか。
実際に、Z世代はブランド志向よりも「本質」を優先している傾向があり、流行を追うだけでなく個性を大切にしていることが伺えます。そのため必要性がないと感じたものに対してはお金を投資することが少なく、Z世代に消費を促す場合は、そのものに価値観があると判断してもらう必要があるでしょう。
Z世代の美容室の利用状況
美容室に行く回数の変化
まずは2020年9月に資生堂プロフェッショナルが、Z世代の女性にアンケートをとった結果を参照しながら大まかな傾向を見ていきたいと思います。
新型コロナウイルスの影響で美容室に行く頻度に変化があったかという問いに対し、「行く頻度が減った」と答えた人は全体の55.8%を占めています。
【美容室に行く回数の変化】
・減った 55.8%
・変わらない 42.8%
・増えた1.4%
【美容室にかける金額】
・増えた 14.0%
・変わらない 73.6%
・減った12.4%
【使う金額が増えた施術】
・ヘアカラー 65.5%
・トリートメント 51.7%
・カット 32.2%
・縮毛矯正 12.6%
・パーマ 4.6%
・その他 2.3%
(引用元:【コロナ禍で美容室に使う金額に変化が!?】Z世代のお財布事情 in Salon)
新型コロナウイルスにともなう自粛ムードで不要不急の外出を控えたり、感染を懸念して美容室の利用を減らそうと思ったりしている人が多いことが伺えます。
ですが、美容室で使う金額が増えたという回答も一定割合あって、行く回数が減ったぶん施術のグレードをあげたり、トリートメントをして髪のケアにこだわったりしたいと考えている傾向が見られます。アプローチ次第では、集客して利益につなげることが可能だと考えられるでしょう。
Z世代に来店してもらうには
Z世代の情報ツールの定番となっているSNSを、宣伝方法として活用しましょう。今やTwitterやインスタグラムは情報を得るだけでなく、コミュニケーション手段として使用している若者も多いので、Z世代を集客したい場合は必須といってもいいツールです。
とくにインスタグラムは写真をメインに投稿するため美容室との相性が良く、Twitterは拡散力が高く宣伝効果が期待できるので、それぞれの特性を理解して積極的に取り入れていきましょう。
SNSで情報を発信する
SNSでは、興味を引き付けるような情報を発信し、いかに拡散してもらうかがZ世代集客のポイントとなります。多くの人に見てもらって広く拡散されれば、フォロワー数が増えてさらに大勢から見てもらえるようになる、という好循環が作り出せます。Z世代の利用率が高い施術にクーポンを付けたり、流行のカラーやカット、美容成分などの情報を発信したりするなど、いろいろと工夫してみましょう。
SNSを利用するときのポイント
ハッシュタグを工夫する
SNSを活用するときは、Z世代が興味を持ちそうなキーワードをメインに投稿して、必ずハッシュタグを付けるようにしましょう。ハッシュタグとは「#」の後にキーワードを入れることで、情報を必要としているユーザーから見つけてもらいやすくできる機能です。
ハッシュタグは便利ですが、いきなり一般的すぎるハッシュタグ(ビッグワードとも言います)を付けてしまうと有名人などのフォロワー数の多い人たちに埋もれてしまい、閲覧されにくくなります。
ハッシュタグは大きく分けて3種類あるので、最初のうちは検索数が中くらいの「ミドルワード」、狭い範囲でピンポイントに検索される「スモールワード」を使用して、徐々にフォロワー数や「いいね」を増やしていくことを目指しましょう。
動画を投稿する
SNSは文章や写真だけでなく動画も投稿できるのが強みです。動画を投稿することで、より情報を直感的に伝えられます。美容室の場合は、ヘアアレンジの様子や施術前と後の変化などを動画化することで、実際に体験したかのような効果が得られるため、実用性を重視するZ世代の興味を引き付けやすいでしょう。
投稿するときはわかりやすく字幕を表示したり、後ろ姿だけでなく全体を見せたりすると、さらに伝わりやすくなりますよ。
個性的な投稿内容にする
SNSは1日1回以上投稿するのが理想ですが、どうしても忙しかったりネタが尽きたりして続かなくなってしまうパターンもあるのではないでしょうか。
投稿内容は、宣伝や商品のPRばかりだと見ている側も飽きてしまうので、仕事中のエピソード(お客様の個人情報はNGです)だとか、風景写真や個人的な面白エピソードなどを投稿してみるのも個性が出せておすすめです。面白いと感じればファンが増えますし、より身近な美容室として認識してもらえるようになるでしょう。
プロフィール欄を充実させておく
意外と軽視しがちですが、実はプロフィール欄を充実させることは集客へとつながります。SNSのツールからお店の情報が分かるようにしておきましょう。
せっかくSNSから美容室を検索してもお店の情報が十分でないと、予約してくれるチャンスを逃してしまうことになるかもしれません。店名と住所、電話番号に加えて自分の趣味やお店のコンセプト、ホームページのURLを載せたりすると集客効果があがりますよ。
まとめ
今のZ世代は美容室の利用回数は減っているものの、価値があると思ったものは利用してくれる傾向が強いので、値段よりも品質や独自性を重視したアプローチが効果的でしょう。これからの時代を担うZ世代の客層を増やすため、美容室側も時代の変化にあわせて集客方法を変えていかなくてはいけません。SNSアカウントの運用やネット予約の導入、支払い方法の多様化など新しいアプローチを取り入れていきましょう。