「美容師はなぜ収入が低いのだろう?」
「どうにかして美容師としての収入を上げられないだろうか?」
上記のようにお考えの美容室関係者の方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回の記事では、美容師の収入を引き下げている要因をまとめ、少しでも収入アップにつなげる改善案なども紹介していきます。
美容師の平均給与額は?
厚生労働省が発表した「平成30年の賃金構造基本統計調査」によると、美容師(理容師を含む)の給与は24万5,900円となっています。全体の平均給与が30万6,200円なので、比較するとお世辞にも高いとは言えません。基本の給与にボーナス、諸手当を加えても平均年収は300万円くらいで、これも全体平均を下回っています。特に美容室に入ったばかりのアシスタント時代は平均月収が13~17万円前後なので、業界の平均値を下げている理由の一つとして挙げられます。
ただ、他業種との金額の大きな隔たりを見れば、アシスタント制度だけがすべての原因とは言えないでしょう。次項からは「美容師の収入が低い理由」について、いくつか考えられるものを紹介していきます。
美容師の収入はなぜ低いのか?
美容師の収入が低い原因として、下記のような要素が考えられます。
- 固定費の存在
- 安値競争の影響
- スタイリストになるまでが大変
- 宣伝、広告費が高い
- ボーナスが少ない
固定費の存在
美容師の収入が低いとされる原因として、美容室を維持するために必要な固定費の高さがあります。
- 店舗の賃貸料
- シャンプー台などのリース費用(リース契約している場合)
- 水道光熱費
- 宣伝広告費
- 美容師の人件費
美容室はさまざまな固定費を抱えながら運営しているのが普通です。それを抑えるために美容師の「人件費」がカットされる場合もあり、収入の低さにつながっていくのではないでしょうか。
安値競争の影響
近年美容室では安値競争が激しくなっています。そのため客数は増えても売上が伸びず、人件費をカットせざるを得ないという事情が考えられます。
これは「そもそも美容室の数が多すぎる」という業界の構造的な問題とも思えますが、中には値下げ競争に参加せず、独自の価値を打ち出して成功している美容室もあります。安値競争を続けている美容室にいても収入が上がらない可能性が高いので、働くお店の選び方は注意しましょう。
スタイリストになるまでが大変
美容師はアシスタントからスタイリストになるまでが簡単ではありません。覚えることが多く、スタイリストに昇格するには長い時間を要します。実際に昇格までの平均期間は3年くらいと言われ、どんなに早い人でも1〜2年はアシスタント時代が続きます。
アシスタントは業界内でもさらに薄給な立場ですので、収入の平均値を引き下げているのはおそらく間違いないでしょう。
宣伝、広告費が高い
先述した固定費の一部ですが、宣伝や広告にかける費用が高いことも理由に挙げられます。
- ホットペッパーなどのポータルサイト
- 自社ホームページ
- バナー広告費
- 雑誌広告
- 販促用チラシ、ティッシュなどの費用
美容室が多すぎる現状は値下げ競争だけでなく、広告コスト増大にもつながっていると言えます。これもまた美容師に売上が還元されなくなってしまう一因でしょう。
ボーナスが少ない
厚生労働省による「平成30年の賃金構造基本統計調査」だと、美容師(理容師を含む)のボーナスの平均は7万2,100円です。1回分のボーナスと考えても少なく感じますが、これは年間トータルの数値です。日本人全体の賞与・ボーナスは年間平均93万1,600円となっているので、やはり比較すると非常に厳しいボーナス支払い事情だと言えるでしょう。
美容師が収入を高めるために意識することとは?
早くスタイリストになることを意識する
先述したとおり美容室に配属されると、基本的に最初はアシスタントからスタートすることになります。アシスタント時代は給料もそこまで高くなく、スタイリストの補助がメイン業務になるので精神的にも少し辛い部分があるのが事実です。
- できるだけ多くの人のスタイリングやカットを見て学ぶ
- 毎日カットなどの練習をすることを意識する
- 積極的に職場の人にアドバイスをもらう
上記のポイントを意識しながら、少しでも早くスタイリスト昇格を目指しましょう。
他の美容師との差別化を図る
現在はSNSや動画制作のノウハウなどが普及し、個人で手軽に情報発信できる時代になってきました。そうした場を活用すれば、自分と他の美容師とのハッキリした差別化、いわゆる「セルフブランディング」も容易です。
- 自身のSNSでカットやカラーのモデル、美容のお役立ち情報を公開する
- Youtubeで自分のチャンネルを作り、美容に関する情報を発信する
上記のような活動を行うことでファンが増え、さらなる顧客流入と収入アップが狙えます。また、知名度が上がれば仕事の幅も広がり、いずれ独立するためのキッカケ作りにもなるので非常におすすめな手法です。
まとめ
最後に本記事をまとめます。
- 美容師の年収とボーナスは他の業種と比べても低い傾向にある
- 美容師の収入が少ないことには複数の理由が挙げられる
- 収入を上げるためには早くアシスタントからスタイリストへの昇格を目指す
- 自分自身の差別化を図ってファンを増やせば収入につながり、いずれは独立も視野に入る
たしかに美容師は平均収入が少ないですが、スキルを磨いて積極的に自身のブランディングを行うことで、多くの選択肢が見えてくるはずです。好きで美容師という職業になったのなら、いろいろな収入アップの可能性を探してみるのが良いでしょう。