店内でシャンプーやトリートメントなどの商品を販売する、いわゆる「店販」は、美容室の重要な収益源です。ただしお客様は基本的に施術を受けに来ているので、どこまで店販をアピールしても不快感を与えないかの判断が難しいと思われる美容師さんも多いことでしょう。そこで今回は、店販に対する基本的な考え方、自然とお客様の目にとまるディスプレイ方法などについて詳しくご紹介していきます。
ディスプレイするメリット

店販商品をディスプレイすることで、視覚的に宣伝効果が得られます。ただし、お客様は施術を受ける目的で来店していますから、露骨に店販商品を勧めすぎると不快感を与えてしまうおそれがあります。商品を売るどころかお店を利用してくれなくなったら本末転倒と言えるでしょう。
ですがうまく商品をディスプレイできれば自然と目につくので、強く売り込む必要がありません。自宅でのお手入れ方法や髪の毛の悩みを聞きながら、施術中にさりげなく商品を勧めることができるのです。
仕事に集中できる
普段の接客や施術に加えて店販商品も売らなければいけないと、美容師は本来の仕事に集中することが難しくなってしまいます。商品を勧めたあともなんとなくお客様とぎこちない感じになってしまうことがあり、そうした支障が出るのは良くありません。商品をディスプレイすることは、働いているスタッフの負担を減らし、より良いお店作りをするのにも役立ちます。
店販の売上が伸びる
ディスプレイの仕方によってはお客様の視覚に訴え商品を魅力的に見せることができ、購買意欲を刺激して売上アップが期待できます。また、いつもの施術にプラスして商品を購入してもらえれば、顧客単価の向上にもつながります。そのためにはディスプレイに関しての基礎知識を身につけて、マンネリ化しないように装飾品などをうまく利用する工夫が大切です。

ディスプレイするときの注意点

小売店の陳列は参考にしてはいけない
美容室とドラッグストアや雑貨店では、商品を販売する目的が違うので、小売店の陳列を参考にすると売上を出すことは厳しくなるでしょう。
美容室に商品を買うつもりで来店する人はまずいないですよね。ドラッグストアや雑貨店は短時間でいかに商品に興味を持ってもらい購入を促すかという方向性でディスプレイしているので、そもそも美容室とは目的が異なっているのです。
お客様の悩みに答えられるようなディスプレイ
美容室ではどのような目的を持ったディスプレイをすればいいのでしょうか? お客様が美容室に求めるのは、外見をキレイにしたい、髪に対する悩みを解決してほしいといったものがほとんどです。
つまり美容室のディスプレイの目的は、「お客様が抱えている悩みを引き出して、それに応えられると伝える」ことが第一になります。
まずは注目してもらう
徐々にステップを踏みながら商品に興味を持ってもらえるようにしましょう。まずは、ディスプレイに注目してもらう工夫をします。この時点で購買意欲を持ってもらうことは難しいので、無理に勧めると逆効果になってしまいます。
次のステップとして、関心や興味を持ってもらえるキーワードをお客様に伝えることが大切です。その商品がどれくらい実用的なものなのかをお客様に話し、商品を記憶してもらいます。そうすることで購買意欲が少しずつ刺激され、購入につながるのです。

効果的にディスプレイするポイント

ゴールデンゾーンに配置する
店販商品をディスプレイするときは、お客様のもっとも視界に入りやすい場所に配置するようにしましょう。棚の形状にもよりますが地面から100~150センチくらいの高さを「ゴールデンゾーン」または「ゴールデンライン」と呼び、この注目されやすい高さを意識して陳列するのです。さらにスポットライトを当てると違った雰囲気を演出でき、注目度を高めることができるのでおすすめです。
自由に試せるようにする
店販している商品を気軽に試せるようにすることで、商品の良さを体験してもらえます。美容室が取り扱うケア用品に興味を持っているお客様は多く、実際に試してみて効果があると実感できれば、購入してくれる確率は格段に高くなることでしょう。
マンネリ化しない
ディスプレイは季節やキャンペーンなどに合わせて変化させていくようにすると、マンネリ化を防ぐことができ、お客様の興味を刺激しやすくなるでしょう。美容室で商品を販売するときは、まずその商品に親しみを感じて記憶に残してもらう必要があります。
そのためには、季節感を出すために小物を配置したり、「テレビで紹介された成分が配合されています」など、流行や話題性をとりいれていったりすると新鮮さを感じてもらえますよ。
POPを活用する
ディスプレイの効果をより高めるためにPOPを活用して、商品の魅力をお客様に伝えていきましょう。POPの内容には商品名や値段にくわえ、髪に関する悩みに効果が期待できることを紹介するようにすると、同じ悩みを持っているお客様の興味をひけます。
ディスプレイの視覚効果とPOPの説明により、美容師からアピールしなくてもお客様から商品のことを聞いてきてくれるようになる状態がベストと言えるでしょう。

お客様の心理は「誰から買うか」が重要

どこに行ってもそれなりの商品があふれている現代は、何を買うかではなく、「誰から買うか」が重要です。初めて会った美容師に商品を勧められるよりも、自分をよく知っている信頼できる美容師から買うほうが安心できますよね。売るのだけを目的にするのではなく「この人が勧める商品ならよい物だ」と思ってもらえる関係づくりをすることも忘れないようにしましょう。
まとめ
店販は、施術のように時間や労力をかけなくても利益をあげることができるため、経営においてとても有効な手段だといえます。ただし押し付ける売り方になってお客様との良好な関係を崩してしまっては意味がありません。ディスプレイやPOPなどを活用して、お客様のほうから自然と店販商品に興味を持ってもらえるようにするのが大切です。
美容アイテムはおしゃれな見た目のものが多くインテリア的な飾り方もできますので、いろいろなアイデアでディスプレイを楽しんでください。

