電子書籍読み放題サービス「ビューン読み放題タブレット」で配信中の作品から、『満員御霊パーティー』のコミックレビューをお送りします。
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霊が視える少女・桂木 杏は、祓うことはできない。けれど、その人の良さゆえに成仏しなかった霊は杏を気に入って憑いてくる。これといって悪さをするわけではないので、いい距離感でのお付き合い。
そんな女の子が主人公の『満員御霊パーティー』は、明るく楽しいホラーコメディです。
一方、自称「新世紀をしょって立つ美少年」の桜田 圭は、最近息苦しさや吐き気、全身の倦怠感に悩まされていました。病院に行っても原因不明。
それがある日、たまたま杏と接触すると症状が嘘のようになくなったのです。離れるとやはり苦しい。杏に相談した圭は、自分のうしろに何か憑いていると言われてしまい……?
2本立てのもう1本は、死んだ姉の存在に心を蝕まれている少女を救う話です。自分を責め、「呼ばれてる」と言って屋上から飛び降りようとする少女。タッチの差で圭が助けますが、本人は「飛び降りるつもりはなかった」と話すのです。
霊と仲の良い杏が、憑いている霊に力を借りていろんな人助けをするという展開が面白いですね。
そして視えるだけ、聞こえるだけで、霊には何もしてあげられない自分の経験から、圭に「いつか自分の無力に凹むよ」と言って遠ざけます。
人間にも霊にも優しい杏は、自分と一緒にいると霊が視えてしまう圭には傷付いてほしくなかったのでしょうか。コメディ成分が強めである分、シリアスシーンにはグッとくるものがあります。
自分のエゴで人助けをするのは、誰のためにもならないのですね。
本編とは別に『沈黙の声』という短編も収録されており、こちらも死んだ兄の霊が視える少女が主人公。バラバラになった家庭の中で「良い子」を演じ、霊の兄にだけ愚痴をこぼすという設定がユニークです。
どの収録作も「霊が視える」主人公にすることで、見えない相手との会話が可能になります。そこで主人公の過去や本音が明らかになることも。
人の死にはさまざまな原因やきっかけがあり、もしそれが視えてしまったら心に負担もかかるでしょう。しかし同情しても悔いても死者は戻ってきません。
大切な人を亡くしても、決して自分のせいだと感じないでほしい。そんな優しいメッセージが根底に流れている本作でした。ぜひじっくりと読んでみてくださいね。
・作者:片山こずえ
・出版社:オフィス漫
・刊行状況:全1巻
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