美容室を経営するうえでお客様の満足度を高め、リピート率をアップしていくことは重要課題です。そのためには事前のカウンセリングが大きな役割を果たします。
そこで本記事ではカウンセリングの主な目的、カウンセリングシートに何を記入してもらえばいいのか、カウンセリングシートの記載情報をどう活用すればお客様のリピートにつながるか、などを解説していきます。
カウンセリングの目的とは?
カウンセリングの目的は、お客様から得られた情報をもとに理想の仕上がり状態をイメージして、ニーズに合わせたサービスを提供することです。それによってお客様満足度とリピート率を上げる効果、質の高い美容室として口コミやSNSでの評価アップなどが期待できます。
とくに美容室を変えて新規来店したお客様は、以前通っていた美容室に対して何らかの不満があるのでその原因を聞き出していく必要があります。そこでカウンセリングシートを用いれば、お客様の本音を引き出すことができるのです。
顧客の基本情報
カウンセリングシートはお客様の基本情報を聞くのが一般的です。氏名や住所、電話番号、生年月日、メールアドレス、職業などの個人情報の他に、髪質や髪に対する悩み、要望を聞き出していきます。特にアレルギーや皮膚が荒れやすいといった情報は、把握しておかないと事故につながる可能性があるので必須項目です。
カウンセリングシートで得た情報は、適切なサービスの提供、お客様に適したクーポンやメニューの提案などに役立てることができます。カウンセリングシートはこれといった決まりがないので、どんな質問をしたほうがいいのかよく検討するようにしましょう。
お悩みや要望の確認
初対面の美容師に悩みを相談するのは、なかなかハードルが高いものです。そこでカウンセリングシートを活用すると、直接美容師と話さなくても間接的に悩みや要望を引き出すことができます。カウンセリングシートにチェックボックスを設けると、お客様に文章で記入してもらう手間が少なくなり美容師側にもより明確に伝わるためおすすめです。チェックボックスには、一般的に多く見られる悩みや要望を記載しておくようにしましょう。
顧客の求めていることを引き出す
カウンセリングシートで、美容室での理想の過ごし方や美容室に対する不満などを記入してもらう項目を作りましょう。お客様の求めているサービスは1人1人違うので、すべてをマニュアル化してしまっては一部のお客様の満足感しか得ることができません。
カウンセリングシートを活用すれば、的確にお客様それぞれの要望がわかります。お客様のニーズから外れたサービスをする心配が減らせるだけでなく、居心地の良い美容室としてリピート率アップにも効果が期待できるのです。
カウンセリング後の内容を残しておく
カウンセリングの情報は、担当するスタッフ全員で共有するようにしましょう。お客様の細かい好みや生活情報がわかれば、提供する雑誌や話題にする内容も的確になり、お客様もより快適な時間を過ごせます。
また、中には会話することに抵抗を感じるお客様もいらっしゃいます。その場合はスタッフに話しかけられるだけでもストレスを感じて利用してくれなくなる恐れがあるので、個人の好みを把握するのはとても重要です。お客様の立場になって親身に寄り添うことでワンランク上の美容室として認識され、特別な感情を抱いてもらえるようになるのです。
カウンセリングシートの活用法
カウンセリングシートはきちんと要点をおさえ、使い方を理解することで最大限に利用できます。また、カウンセリングはお客様の不安を取り除くのが目的ですが、無理に強要するものではありません。お客様の負担を最小限にする気遣いも忘れないようにしましょう。
そしてカウンセリングから得た情報は、必ず施術や接客の中に取り入れ、お客様により快適に過ごしてもらえるように努めていってください。
顧客の不安を解消し、リピート率を上げる
美容室の失客を防止するためには、カウンセリングシートを活用してお客様の不安要素を取り除くことが大切です。美容室を利用しなくなるのは引っ越しなどの事情を除いて、その美容室になんらかの「不満」を感じていることが原因になります。
不満が施術に対することなのか接客に対することなのかは人それぞれ違ってきますが、いち早く反応して対策をとることを心がけていきましょう。
回答は任意にする
カウンセリングシートの回答は必須にするのではなく、あくまで任意にしておくのがベストです。必須となると強制されているような息苦しさを感じますが、任意にすると「書いても書かなくても大丈夫ですよ」というニュアンスになり、気軽に考えることができます。
お客様の中には、シートに書くより口頭で説明したほうがいいという方もいらっしゃるので、カウンセリングシートを渡すときにスタッフが「担当のスタッフに口頭で説明していただいても構いません」と伝えると、より明確に意見を聞けるようになり、満足度を高めることができます。
顧客に合ったスタイリストを紹介
お客様の要望や施術分野に適したスタイリストを紹介しましょう。お客様の要望とは決して美容師の技術面だけではなく、たとえば「同性の美容師がいい」「あまり話しかけてこない人がいい」など接客の面でも相性があります。お客様の要望に沿った美容師ならリピートしてくれる確率は高くなるので、カウンセリングシートから得た情報を活用してスタイリストとの相性を見極めていきましょう。
ニーズを掘り起こす
お客様のニーズを新たに発見していければ、より支持される美容室を作ることができます。カウンセリングシートに書かれている悩みから、どんなメニューを提供していくべきなのか読み取っていきましょう。そしてニーズが高いメニューに対してクーポンを発行したり、料金設定を見直したりすることで利用者の伸びが期待できます。
たとえば「カラーはしたいけど髪が傷むのが心配」というお客様が多かった場合、カラーとトリートメントをセットにしたお得なメニューを打ち出すと、お客様のニーズに合致するので喜ばれます。求めている要望にすぐ対応してくれる美容室であれば、顧客満足度が高まってリピート率もアップするでしょう。
まとめ
カウンセリングは顧客満足度とリピート率を上げるために、とても有効な手段です。それぞれのお客様に対して丁寧で誠実な対応をすることでお客様の心をつかみ、行きつけの美容室として長く利用してもらえるでしょう。
回転率を上げて売上を稼ぐのも必要かもしれませんが、そのやり方で次回以降も来店していただけるとは限りません。経営の長期安定につなげるためには、細かいところまで行き届いたサービスや気遣いが必要なのです。カウンセリングシートを上手く活用してリピート率を高めていきましょう。