新型コロナウイルスの流行が始まってからすでに2年余りが経ち、私たちの生活様式は大きく変化しました。美容室を取り巻く環境も例に漏れず、その影響を大きく受けています。この記事では、コロナ禍により変化したお客様の意識・行動、その中で生き残りをかけて美容室がどのように取り組んでいるかについて解説します。
コロナ禍により美容室にかける金額は減少傾向
コロナ禍によって、お客様の美容室の利用の仕方は変化し、美容室にかける金額も減少しつつあるようです。経済産業省の「経済解析室ひと言解説集」では、2020年以後の理美容サービスへの家計支出はコロナ禍の影響を受けて大きく変化しているとする統計が示されました。
支出金額のピーク傾向は例年とは異なっており、たとえば1回目の緊急事態宣言が出された2020年4月は大幅に落ち込み、それ以降も外出自粛などの影響で例年とは異なる増減傾向が見られました。続く2021年も、繁忙期となる3月が2回目の緊急事態宣言下にあったため、ほぼ横ばいで伸び悩むなど、過去とは異なる動きを見せました。こうした中、理美容サービスへの家計の支出金額そのものが減少してしまったようです。
来店頻度の減少
美容室にかける金額が減少した原因としては、来店頻度の減少が挙げられています。株式会社ゲインの調査によると、コロナ以前は「2~3ヶ月に1回」の頻度で来店するお客様が過半数でしたが、コロナ禍となってから「3~6ヶ月」、または「6ヶ月以上」の頻度で来店するお客様が大部分を占めるようになりました。外出自粛の広がりが理由であることは言うまでもありません。またリモートワークの普及で通勤途中にある美容室ではなく、自宅近くの美容室に通うお客様が増えていると聞きますが、リモートワークも来店頻度を減らす結果を生み出しているのかもしれません。
長引くコロナ不況
2021年9月末以降、感染状況はしばらく落ち着いていましたが、恐れていた第6波が到来しました。お客様の意識・行動も徐々に正常化していくものと期待されましたが、コロナ禍の影響から抜け出せなければ、コロナ不況が続いてしまうリスクが懸念されます。長引くコロナ不況により、美容室経営は大きな打撃を受け、閉店が相次ぎました。実際「あの店が!?」と思うような店舗の閉店をこの2年間で目の当たりにしてきました。
コロナ禍で生き残りをかけた美容室の取り組み
コロナ禍によってお客様の意識・行動が変化してしまった中で、美容室もただ手をこまねいているわけではありません。集客方法や設備充実など、さまざまな対策を行っている美容室も多いです。
Web集客・SNS集客
コロナ禍となる以前からWebをいかにうまく活用して大幅な集客効果を得るかは、美容室にとって重要課題でした。ただコロナ以降、その重要性はさらに増しています。
美容室検索サイトへの掲載は依然として最も有効なWeb集客方法のひとつとなります。ただし同じエリア内で競合も掲載しているため、SNSや他の集客ツールとの併用が欠かせません。代表的なSNSとして、FacebookやInstagram、Twitterが挙げられますが、特にInstagramは写真や動画を使った投稿がメインなのでカットやカラーの施術例を紹介しやすく、美容室の集客ツールとして最適です。またGoogleマップを利用して美容室を探すお客様が増えている中でGoogleマイビジネスに注力する美容室も増えています。
コロナ対策の設備充実
これもすでに一巡した印象がありますが、ウィズコロナの中で感染対策にしっかりと備えている姿勢を設備の充実によって示すことが重要です。お客様は安心のできる美容室に通いたいという思いから、コロナ対策にどのくらい取り組んでいるかチェックしています。
非接触式体温検知を兼ね備えた自動消毒ディスペンサーの導入はその典型でしょうか。ほかにも空気清浄機、飛沫感染防止パーテーション、紫外線除菌庫、キャッシュレス決済専用機器などを導入した美容室も多いです。店内に個室、半個室を増やすレイアウトに変更する美容室もあります。
お客様を離さないコミュニケーション・おもてなし
コロナ以降、多くのサロンオーナーから聞くのは、お客様とのつながりを長年重視してきた美容室がこのような状況でも強いとのことです。クーポンや割引を武器に新規の獲得に力を入れることも大事ですが、きっちりと顧客管理をして、リピーターのお客様とコミュニケーションがとれている美容室がお客様をつかんで離さないというわけです。
当たり前の話ですが、接客における「おもてなし」こそがお客様の信頼を得るための唯一無二の方法です。その上でSNSを活用してコミュニケーションをしっかりと保ち続けられるかどうかが生き残りの命運を分けると言っても過言ではありません。
雑誌の電子書籍化やタブレットの導入はますます進む
コロナ禍によって、美容室の中で静かに、しかし確実に変化したものがひとつあります。それは雑誌の電子書籍化です。雑誌代のコストダウンがしやすく、豊富で多様なコンテンツがそもそもの導入メリットでしたが、タブレットだと消毒しやすいということがあってコロナ対策として導入する美容室が増えました。この電子書籍化の流れは今後ますます進んでいくと思われます。
コロナ禍をきっかけに雑誌の提供を止めてしまう美容室もありますが、お客様の声を聞くと、何も提供されないとやはり手持ち無沙汰であるというのが本音のようです。「お客様は自分のスマートフォンを見ているから」というのは一見正論ですが、手持ち無沙汰になっているお客様に対しても気配りをしてこそ「おもてなし」の接客ではないでしょうか。
実は雑誌から電子書籍に切り替えた美容室で、電子書籍以外にタブレットを活用している話をよく聞きます。施術例をタブレットに保存してスタイルブックのように使ったり、オプションメニューや店販商品の宣伝広告をサイネージ化する事例が多いようです。客単価が上がったという声も多く、電子書籍化による経費削減だけではなく、タブレット導入による収益への貢献という効果も生み出せるのです。電子書籍をまだ導入していない美容室では「タブレット購入の初期投資が煩わしい」というお悩みの声もありますが、春うららかな書房ではタブレットの格安レンタルサービスもあり、初期投資を不要にします。電子書籍導入なら春うららかな書房におまかせください。