「リピート率」とは、新規のお客様が再び来店される割合を表したものです。美容室の経営を軌道に乗せるためには、リピート率を意識することがとても大切! もちろん新規の集客も重要ですが、継続的に通ってくださるお客様がいるかどうかは、お店の収益安定に大きく関わってきます。
では、リピート率を向上させるにはどのような施策を行えばよいのでしょうか? 今回はリピート率が低いお店の特徴や、リピート率の具体的な算出式、リピーターを増やす方法などを解説していきます。
美容室がリピート客を獲得できない理由
リピート率が低い美容室には、いくつかの共通点があります。以下のポイントを参考に、リピート率が上がらない理由を探ってみましょう!
ターゲットが明確でない
リピート率が低いお店は、ターゲット設定が明確になっていない可能性があります。たとえば主な客層が10~20代の若いお客様なのに、ミセス向けの雑誌が多かったり、店内BGMがレトロな雰囲気だったり……。お店づくりの方向性がターゲットからかけ離れている場合は自然と客足が遠のいてしまいます。
ターゲット設定は開業当初からしっかりと定めておくべきですが、実際にサロンを運営していくなかで「予想以上に親子連れが多い」「意外と若いお客様からも評判が良い」など、想定していなかった層のお客様からご好評いただくこともあると思います。その場合は今いるお客様を第一に、サービス内容を柔軟に変更しましょう。
他店との差別化ができていない
「美容室の数はコンビニより4倍も多い」と言われているように、少し街を歩くだけでたくさんの美容室が目に入ると思います。その中から自分のサロンを選んでいただくためには、競合する他店との差別化が不可欠です。
たとえばエリア内に同じようなコンセプトのお店があると、お客様はより安いほう・今まで通っていたほうに流れがちです。特に代わり映えしないお店だと思われてしまうと、新規のお客様をつなぎとめることはきわめて難しいでしょう。リピート率を向上させるためには、たくさんの選択肢の中から「ここが良い」と思われるような独自性を持つことが重要です。
来店後のフォローが足りない
心を込めて施術をしても、来店後のフォローが不十分ではリピートにつなげることはできません。多くのお客様は2~3ヶ月くらいの周期で美容室に通っているため、フォローがないままだとその間に存在を忘れ去られてしまいます。お客様に2回、3回と再来店していただくためには「決め手となる何か」が必要ですが、初回の施術だけでお客様の心をつかむのはとても大変です。まずは再来店のきっかけをつくるためにも、来店後のフォローを欠かさず行うようにしましょう。
初回クーポン価格を安く設定しすぎている
新規のお客様を呼び込むため、初回限定クーポンを配布している美容室も多いはず。それ自体は間違いではないのですが、割引率があまりに大きいと、2回目以降の施術に割高感が生まれてしまいます。
「安さ」を重視しているお客様にとって、最も効率的なのは初回クーポンを配布しているお店を渡り歩くこと。「次は高くなるなら、他のお店へ行こう」と思われてしまう可能性が高いので、初回クーポンを破格の値段にするのはできるだけ避けましょう。
美容室のリピート率を上げる方法
ここからは具体的に、リピート率をアップさせるための施策をご紹介します。
ターゲットを明確にする
まずはメインのターゲットを明確にしましょう。幅広い層のお客様に対応できるお店を目指すよりも、ターゲット層を絞り込んだほうがより効果的な施策を打ち出しやすくなります。ターゲット設定は細ければ細かいほどいいので、「30~40代」→「30~40代女性」→「30~40代で、髪のうねりや白髪が気になりはじめた女性」というように、客層をより明確に絞り込んでみましょう。
その際に、ターゲットの具体的なプロフィールを設定するのもおすすめです。たとえば「◯◯市に住む30代女性。夫と小学生の子どもと3人暮らし。主な買い物スポットは□□で、休日は家族と△△で外食することが多い」など。このように架空の人物を想定し、趣味趣向や行動パターンを詳細に設定することを「ペルソナ設定」と呼びます。近年、ライフスタイルやニーズの多様化にともない、顧客を大枠でグルーピングするのが困難になったことにより生まれたマーケティング方法です。架空の人物を設定し、「この人にとって心地よいサービスとはなんだろう」と想像することで、ターゲット層へ向けて効果的にアプローチできるようになります。
リピーターが喜ぶクーポンを作る
再来店のきっかけをつくるため、リピーターが喜ぶクーポンを作成しましょう。割引券やヘッドマッサージ無料券など、再来店を促すようなクーポンを配ることで、来店のハードルがぐっと下がります。お得感や限定感を演出するために、「2回目のお客様限定」といった文言を追加するのもおすすめです。
ライバル店を調査し差別化を図る
お客様に選ばれるサロンになるために、ライバル店を調査して差別化を図りましょう。たとえば周辺地域に高齢者向けのサロンがなければバリアフリー化を検討する、30~40代向けの美容室が多ければ、逆に若者に特化したサロンをつくるなどなど……。他にはないサービスで、「その地域でただひとつの美容室」を目指しましょう。
DMを送る
来店後のフォローとして、一度ご来店いただいたお客様にはDM(ダイレクトメール)を送るようにしましょう。サンクスメールやバースデーメールなど、定期的にDMを送ればふとした時に「そういえば、あのサロンへ行ってみようかな」と思っていただける可能性は十分あります。来店後のフォローを充実させるためにも、お客様にはできるだけ連絡先をご登録いただくように促すといいですね。
サイクルコントロールを意識
サイクルコントロールとは、個々の来店スパンをある程度コントロールする施策のことです。たとえば「3ヶ月以内のご来店で使える割引クーポンをお配りしております」「1ヶ月くらいすると、根元が目立ってくるかもしれません」といったように、お客様が次回来店するタイミングをそれとなく意識していただくことで、自然と再来店を促すのにつながります。
知っておきたいリピート率の計算方法
リピート率は、以下の計算式で算出できます。
ここでの「リピート顧客数」は新規のお客様が再来店した数になります。リピート率を正しく把握するためにも、2回目にいらっしゃったお客様の数は別途記録しておくと便利です。また、この他にもお客様の年齢別・メニュー別・スタイリスト別のリピート率を算出すると、経営戦略に役立てることができます。
さらにそれぞれのリピート率をかけ合わせれば、スタッフの長所を見つけることも可能です。たとえば「Aさんはカラーのリピート率が高い」「Bさんには40~50代のお客様がよくついている」など、スタッフ一人ひとりのリピート率を細かく分析すれば、各々の強みが明確になります。どのリピート率も、計算方法はまったく同じです。パーソナルデータや施術内容といった顧客情報が重要になってくるので、POSシステムなどを活用しつつ効率的に管理しましょう。
まとめ
美容室経営において、リピーター獲得は大きな課題です。ターゲットの設定や他店との差別化などさまざまな施策をご紹介しましたが、もっとも大切なのはお客様に「また来たい」と思っていただけるような美容室を目指すこと。
「一度で十分」な美容室から「何度でも来たい」美容室へと進化して、より多くのリピーター獲得を目指しましょう!