「美容院」と「美容室」って何が違うか、疑問に思ったことはありませんか?
この記事では美容院と美容室、さらにヘアサロンや理容院まで、さまざまな理容・美容に関わるお店の呼び名を整理しながら由来などについても解説していきます。
美容院と理容院の違い
まずはよく耳にする「美容院」と「理容院」の違いについて調べていきましょう。美容院の「美容」の定義は、美容師法によれば「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう」とされています。美容院は、デザイン性のあるヘアスタイルを作り出すことに優れていて、お客様の髪の悩みに対して改善策を提案しながら仕上げていきます。
一方で理容院の「理容」の定義は、理容師法によると「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えることをいう」とされています。理容院は技術に重点を置いていて、正確に長さを揃える、真っすぐ切るなど髪をきっちり整えることでヘアスタイルを作り上げていきます。顔そりは理容院だけにしか認められていない点も大きな違いでしょう。
ちなみに近年では、美容院でも理容院登録が可能になっていますし、流行に敏感な理容師さんが技術とデザイン性に優れたヘアスタルを提案するといった具合に、両者の区別が以前ほどはっきり分かれていない傾向が見られます。
美容院と理容院、どっちが儲かる?
美容院と理容院はどちらが儲かるのでしょうか。「利用者が多く客単価も高そう」なのはイメージ的に美容院なのでは、と感じますよね。ですが、美容室と違って理容院が潰れることは少ないと思いませんか? また、美容院のクーポンはたくさんありますが、理容院のクーポンってあまり見かけませんよね。
店舗数がどんどん増加し続けている美容院は、ライバル店との価格競争に巻き込まれて疲弊したり、集客のため宣伝活動に費用を投じたりと、お店を経営するのに日々試行錯誤しているところが多いと考えられます。
対照的に、理容院は厚生労働省のデータによれば、店舗数が減り続けて過去最低ペースを更新しています。主な原因は理容師の高齢化と後継者不足ということで厳しい現実が見えますが、言い換えればお客様をそこまでライバル店と取り合う必要がなく、派手さはないものの安定経営しやすいとも考えられます。一概に美容院が儲かって理容院は儲けが少ないとは言えないということです。
美容院と美容室、ヘアサロンの違い
美容院と理容院の違いを見てきましたが、それでは「美容院」と「美容室」に違いがあるのでしょうか。実は、呼び方が違うだけで同じ意味です。どちらを使っても間違いではありません。
また、美容室のことをヘアサロンと呼んだりもしますが、こちらはどのような違いがあるのでしょうか。「ヘアサロン」とは、髪をカットしたり、シャンプーしたり、スタイリングする理容院や美容院のことを指します。美容室だけでなく理容院まで含めた全体を「ヘアサロン」と言うのです。
つまり美容師として働くお店であれば、美容院・美容室・ヘアサロン、3つの中のどれを使用しても問題ないということです。それぞれの経緯や意味を覚えておくと、お客様に聞かれたときに豆知識として教えることができるかもしれませんね。
辞書に「美容室」とは載っていない
主要な辞書に「美容室」は載っていないので、「美容院」が言葉の意味としては正しいのではないかと思います。ただし美容師さんなどの美容関係者は「美容室」を使うことが多い印象です。
「美容室」と呼んでいる理由には諸説あって、「病院」と「美容院」が似ているので聞き間違いを防ぐ目的だとも言われています。また、もともと「美容院」と呼ばれていたことについては、昔は髪を切るという行為が医学の一部だったため、「院」の字がつけられたという話もあります。このような経緯を見ると、「美容院」と「美容室」の2つの言い方が生まれた理由がなんとなくわかりますよね。
正式には「美容所」だった!?
補足として、厚生労働省(現在の呼称)が昭和32年に発行した美容師法の記載では、美容院ではなく「美容所」になっています。そのため正確さを追求すると「美容所」が正解だと思いますが、認知度が低いのであまり使われることはないです。
「美容所」は現在、主に役所などの行政が使用しているので、美容師なら耳にしたことはあると思いますが、普段から意識する必要はありません。「美容所=美容室・美容院」とだけ認識しておけば十分でしょう。
一般的によく呼ばれているのは?
「美容院・美容室・ヘアサロン」の中で一般的によく呼ばれているのは一体どれなのでしょうか。Googleトレンドで3つを比較した結果、1番多く検索されているのは圧倒的に「美容室」でした。店名に美容室とついている場合が多いので、検索回数が多くなったと思われます。
2番目は「美容院」で、美容室派よりやや少なくなりますが、美容院と呼んでいる方も多いことが判明しました。特に岐阜県、愛知県、広島県、静岡県など全国のうち10県は美容室よりも「美容院」での検索が多いようです。
「ヘアサロン」に関しては、検索数はグッと減って最下位で、美容室をヘアサロンとして検索している人はあまりいませんでした。地域的に差はありましたが、「美容室」も「美容院」も認知度は同じ程度だとわかりましたので、それほど呼び方を気にする必要はないでしょう。
理髪店、床屋とは?
理容院のことを「理髪店」と呼んだり「床屋」と呼んだりしますよね。美容室と同様に「理容室」と呼ばれる場合もありますが、基本的には全部同じ意味です。呼び方に違いはあるものの、理容師免許を持った理容師が髪を整えてくれるお店のことをいいます。
床屋とは理髪店や理容院の昔の呼び方で、江戸時代にはすでに床屋がありました。当時は髪を結うのを目的としていて、明治維新以降に「理容院」と呼ばれ始めたとされています。しかし理容院よりも床屋という呼び方のほうが浸透しており、現代でもその名残があるようです。
ところで理容院と言えば、赤、青、白のサインポールが印象的ですが、どういった意味があるかご存知でしょうか。一説によれば、これには中世のヨーロッパが関係しているそうです。当時は髪を切ることは体を切ることと同じ意味として考えられていました。そして「瀉血」という血液を抜き取る治療が行われていて、患者の血液を赤い棒を伝って受け皿に流し込んでいたようです。そこに白い包帯を巻きつけて干していたことがサインポールの始まりだという説になります。
のちに医療と理容が分けられたのをきっかけに、差別化を図るために青色が追加されたと言われています。なにげなく目にしていたサインポールにこんなに古い歴史があったなんて驚きですね。
まとめ
昔は、女性が美容室、男性が理容室に行くのが一般的でしたが、性別問わず美容室を利用する方が増えてきています。これからは、美容室や理容室のあり方も変えていかなければいけないのかもしれません。実際に理容室のことを「メンズサロン」という呼び方に変えているお店もあります。美容室も時代の変化に対応していけるように、常にアンテナを張っておきましょう。